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65.春の遠足

2の月になった最初の週に、遠足があった。

二年生は、近くのキャンプ場まで歩いて行き、バーベキューをして、キャンプ場で自由に遊び、また学校に戻って来るという予定だった。


バーベキューをしてお腹いっぱいになった後、キャンプ場を流れる小川で水遊びをする男児達を私達女児も近くで見ていた。


「ねぇ、リマリーエ。私達も水遊びしない?」


見ているだけなんて面白くない。私も遊びたい。でも…。


「遠慮いたしますわ。冷たい水に触るなんて。濡れるのもイヤですわ。」


…やっぱりそうよね。予想通り断られた。


「ソマリリアは?」


「私も冷たい水に濡れるのはイヤですわ。」


やっぱり…。女児ならば仕方ないけれど…。


「ならば、水に濡れなければいい?」


「水に濡れない水遊びですか?」


貴族女児ならば、冷たい川の水で濡れるのを嫌がるのは分かるが、濡れなければ大丈夫よね?


「そうよ。私と一緒に水遊びしたい子、私のところにおいで。」


それでも嫌がるリマリーエたちを置いて、何人かのクラスメートの女児を連れて川岸に行く。


「まずは川の上を歩くわよ。」

「ええっ。どうやってですか?」

「魔力。」

「…怖いですわ。」


足元だけに結界を張り、それでも私と一緒に遊びたいと言った友人達だけを連れて川の真ん中付近まで歩く。


「見て見て。お魚が泳いでいるわ。」

「本当ね~。」


五人のクラスメート達は、きゃあきゃあと楽しそうだ。ふふっ。よかった。


「水面、怖くない?」


念のために聞いてみる。


「大丈夫ですわ。怖い子達はフィアレアラ様についてきてませんでしたから。水面を歩くなんて不思議で楽しいですわ。」


それもそうだ。ナノハ達は川の上が怖いらしくついて来なかった。



「おーい。フィアレアラ様~。水面を歩くなんて凄いね~。」


バッシュ達男児が私達の近くまで来て、手を振っている。私達は、バッシュ達に手を振り返した。


「そっちまで行きたいけど~、オレ達はここまでだよ~。」


バッシュ達は、体操服のハーフパンツを限界まで引っ張り上げているが、川の水は彼らの股下ギリギリまである。


「うわっ。」

アレクが足を滑らせて転んでしまった。立ち上がろうとするが水の流れが速いのと川底も滑りやすい。立つことが出来ず流されはじめた。


「アレク~。アレク~。」


バッシュ達はアレクを助けようとするが、川の水は彼らの股下まであり、どんどん流されるアレクのところに行くことが出来ない。


「みんな、アレクを助けるわよ。」


足元だけの結界の上から新しく結界を張り、アレクのところに転移魔法で移動する。上の結界を解き、足元の結界だけ残す。溺れているアレクを掴み、みんなでアレクを足元の結界の上に引き上げた。再び新しく結界を張り、川岸まで転移魔法で移動する。もちろん全ての結界の魔力は隠蔽した。友人達は皆三星だから。


アレクを横向きに寝かせると、彼はゴボゴボと飲んでしまっていた水を吐き出した。

川遊びをしていたみんなが心配そうに私達のところに集まってくる。先生方も駆け付ける。

十分に水を吐いたところで回復魔法でアレクを回復させた。


「大丈夫?アレク。」


「はい。大丈夫です。ありがとうございます。フィアレアラ様。」


「うん。よかったわ。ついでに服も乾かしてあげるわ。」


アレクの着ていたずぶ濡れの服を乾かしたところで、びしょびしょのバッシュ達が私達のところに走ってきた。


「アレク、大丈夫か?アレク。」


「うん。フィアレアラ様達が助けてくれたから大丈夫だ。」


「良かった。ありがとう。フィアレアラ様。ありがとう。みんな。」


バッシュは泣きながら私達にお礼を言った。



二年生になってすぐの頃のバッシュ達三人は、乱暴者で女児達に人気がなかったが、今は違う。運動神経がよくて格好いい男児とまぁまぁ女児達の間の評価が上がってきている。


バッシュは、友達思いの結構いい奴だ。


先生方がアレクの健康状態を本人に確認しているが、大丈夫のはずだ。私が完璧に回復させたから。先生方にも私の回復魔法を褒められたが、川の真ん中に行くなんて危険なことをしてはいけないと注意もされた。



遊びの時間は、もう終わりだ。学校に帰るためにキャンプ場入り口の集合場所に集まる時間まで後10分。


バッシュ達水遊びをしていた男児は、当然、みんなびしょ濡れだ。春先の今は、少し寒い。着替えなんて持ってない。


「あなた達、遊び時間はもう終わりよ。集合時間まで後10分しかないのにびしょびしょなんてどうするの?服乾かすならば、手伝ってあげるわよ?」


先生に注意をされた後、バッシュ達びしょ濡れの男児達に声をかけた。


「オレ達は大丈夫です。自分で乾かしますから。フィアレアラ様が手伝ってくれるならば、二星の奴らをお願いします。」


「ええ。いいわよ。」


バッシュ、友達思いの結構いい奴。


びしょ濡れ男児達は急いで服を脱ぎ、ぎゅっと絞り、その後魔法で風を送り濡れた服を乾かしている。私は、二星の男児達が魔法で服を乾かすのを手伝った後、ついでに三星の男児達が乾かすのも手伝った。


四星のバッシュも自分の服を乾かした後、三星の男児達が魔法で服を乾かすのを手伝っていた。


因みに、女児たちは、びしょ濡れ男児たちが服を脱ぎ出すとざわざわと騒がしくなり、上半身裸、ハーフパンツまで脱いでパンイチになると、さらにきゃあきゃあ騒いでいた。

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