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60.フィアレアラの新学期 2

休み時間にリマリーエに言われてしまった。


「フィアレアラ様。授業中に私を見ないでください。私まで巻き添えになって先生に注意されたら嫌ですから。」


「ごめん、ごめん。あまりにも授業が面白くなかったから。ついつい遊んでしまったわ。」


「遊ぶならば、一人で遊んでください。私は、真面目に授業を受けますから。」


「へ~~。私と一緒でリマリーエもつまらないって思っているって思ったわ。」


「それは…、まぁ…、思ってしまいましたけれど…。」


と、ソマリリアも笑って話し出す。


「ふふっ。ふふっ。フィアレアラ様とリマリーエ様は仲良しですわね。五星の方々に魔法の教科書なんて要らなかったりするのですか?」


「要らないっていうか…、あまりにも当たり前のこと過ぎて…。五星だからってことではないわ。」


と、三人で話していたら近付いてくる男子児童。


「フィアレアラ皇女殿下。殿下の歓迎パーティーの時にもご挨拶申し上げましたが、ぼくは、バッシュ・マ・イットーと申します。リマリーエ様もソマリリアもいつの間にか皇女殿下とお友達になられたみたいですね。ぼくも仲間に入れてください。」


「あら。バッシュ。ごめんなさい。そうよね。男子児童はあなた一人だからよね。

フィアレアラ様、バッシュは、我が国の剣術の五大流派の一つイットー流の本家イットー侯爵家の嫡男ですわ。

バッシュ、リマリーエ様と私は、先日、クララ王姪殿下のお誕生日会で友人になったのですわ。ねぇ、リマリーエ様。」


「ええ。」


私の歓迎パーティーの時にいたんだ…。ヤバい、リマリーエとトラブったせいで全く記憶にない。


「バッシュ『様』、この国では、初等学校は、皆平等と聞いています。私も特別扱いはなしでお願いいたします。『皇女殿下』ではなく普通に呼んでください。」


「ならば、遠慮なく。ぼく、いや、オレのことはバッシュと呼んでください。『様』は要りません。実は、オレ、フィアレアラ様のことをオレの父上からお聞きしました。剣術の腕前が凄いと。父上はフィアレアラ様をベタ褒めしています。オレの父上は、第一王子殿下の剣術の指南役をしています。」


「第一王子殿下とは同じ時間に剣術の稽古をしています。イットー侯爵様にお褒めいただいているならば、光栄に思いますわ。」


「他国の皇女殿下なのに我が国の五大流派全て完璧に扱えるというのは本当なのですか?父上が言っていたのですがオレは信じられません。」


「私に剣術を教えてくれた方が貴国の五大流派扱える方だからですわ。私のは見よう見真似です。剣術は嗜み程度で体を鍛えてませんから。」


「へー。見よう見真似で。へー。それは凄いですね。へー。」


…なんだろう?彼、何故か不満げに見える。何故私は初対面の彼に気に入らないような顔をされないといけないのだろうか?


「バッシュ、失礼ですわよ。

申し訳ありません、フィアレアラ様。バッシュは、幼い子供の頃からイットー侯爵家の嫡男として剣術に励んできましたので、そっちにプライドがあるのですわ。」


つまりは、父親が私の剣術の腕前を褒めるのが気に入らないのか。ふふん。子供ね。


「別にソマリリアが謝らなくていいのよ。

バッシュ、私に剣術を教えてくれた方は、あなたの父親に負けないくらい剣術を極めた方なのよ。信じられないならば、実際に相手をしてあげるけれど?」


「願ったり叶ったりです。フィアレアラ様。是非お相手して頂きたいと思ってましたから。」


こういうタイプの男児は、口で言うのは良くないのだ。相手の望む手合わせで分からせるのが一番いい。私の頭の中でフェリオがそう言っている。だから自分にやらせて欲しいと。イットー流は、ガンガン打ち込んでくる流派だから自分が対応したいと。


『別にいいわよ。私、剣術勝負なんてどうでもいいし。』


『やったー。ありがとう、フィアレアラ。』


何が嬉しいのか、何がありがとうなのか、男児のフェリオの気持ちは私には分からなかったりする。

そして、目の前の彼の気持ちも。バッシュはニコッっと笑ってはいるが本当に笑っているのではない気がする。何か企んでいるような、自信満々な顔をしているから。


まぁいいわ。よく分からない男児の対応は、フェリオに任せよう。明日のお昼休みに私達は剣術勝負をすることになった。

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