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33.王族クノハ 3

フィアレアラ皇女殿下は、一重、二重、三重…とどんどん結界を重ねて張っています。まさか?信じられないことです。10、11、12、13…まだストップがかかりません。いったいどうなっているのでしょうか?


「まだ~?何重でも出来るけど、面倒なんだけど~。」


『【もういいわよ、フィアレアラ。】』


フィアレアラ皇女殿下は、重ねて張っていた結界を一気に全て壊しました。凄い。殿下は、椅子に座って孫の様子を見るようです。凄い技術でした。私は、まだ目の前で起きた現実が信じられません。


『【さっきフィアレアラがお手本見せたように、結界なんて何重でも張れるのよ。魔力量を調整すればね。さぁ、やりなさい。今すぐに。】』


「【はい。】」


孫は大きな声で返事をしました。やる気になったみたいです。私は、孫は大人しく消極的な子供だと思っていたのですが、積極的に技術を学ぼうと、元気に返事をした孫を頼もしく嬉しく思いました。


私は、フィアレアラ皇女殿下と一緒に孫の様子を見ることにしました。殿下の幻影のあのお二人が孫にどのように指導するのかも興味があります。孫は、当たり前に一重目から全力で結界を張ります。そして、二重目も全力…。私だったとしても孫と同じです。私には魔力量を調整する技術なんてありませんから。


『【はい。ストップ。フィアレアラの結界見たでしょ。全力で張るからいけないのよ。】』


『パリーン。』

フィオナ王女殿下が容赦なく外側の二重目の結界を壊しました。エリザベス王太后陛下は、内側の結界を片手で掴み、もう片方の手を孫の体の中に突っ込みました。


「はぐっ。」


孫が辛そうな悲鳴をあげました。


『【クララ。自分の『幹』が分かるかしら?私が今掴んでいるのがあなたの『幹』よ。魔力が集まっているって分かるかしら?】』


孫にその言葉が届いたかどうかで、孫は、気絶してしまいました。そしてエリザベス王太后陛下に強制回復させられています。『幹』?『幹』?って何のことでしょうか?幻影のお二人が孫に何の指導をしているのかさえも私には分かりません。


「(フィアレアラ皇女殿下、フィアレアラ皇女殿下。申し訳ありません。殿下の幻影のあのお二人は孫に何をしていらっしゃるのですか?)」


フィアレアラ皇女殿下にこそこそ聞いてみます。本当に全くわからないのです。


「『幹』を掴んでいるのです。めちゃくちゃ強引に。魔力量を調整する技術を体に強制的に覚えさせようとしています。」


「『幹』とは?何でしょうか?」


「魔力の源です。体の中心、心臓の辺りにあります。家系によって『幹』が違います。相手の魔力を通して『幹』に触れることで相手の家系が分かりますが、普通の五星では分かりません。分かるのは魔力量の違いくらいです。」


「『幹』って掴めるのですか?」


「普通の五星には無理です。通常、魔法の練習は、自分自身の『幹』を感じることから指導します。あんな風に直接『幹』掴むなんてありえません。少しでも『幹』を傷付けてしまったら、壊れてしまいます。そうなれば、終わりです。あんな指導をするのはあの二人だけです。特にエリザベートですね。フィオナも出来るとは思うのですが、万が一のことがあってはいけませんので、エリザベートに任せています。エリザベートの方が技術が上ですから。」


全く知らない方法。これが、さっさおっしゃっていた魔力量を調整する技術につながることなのでしょうか?


「魔法の練習は、『幹』を感じることから始まるのですか?」


「そうです。エリザベートの時代はそれが普通でした。フィオナは国王として忙しかったので娘のアリアに妹達の面倒をみるように命令して放置していましたが、アリアは妹達に『幹』を感じることから指導したはずです。」


「アリアレイア国王陛下のことでしょうか?フェリオ国王陛下の次の国王の?」


『アリアレイア・マ・アール国王陛下』

もちろん知っています。我が王国初の女性の国王陛下。とても強い魔力を持っていたことも知られています。その次の国王陛下は男性、その次の国王陛下は女性で私の曾祖母アクアリア国王陛下です。我が王国の歴史で女性の国王陛下は、アリアレイア国王陛下とアクアリア国王陛下の二人だけなのです。


「そうです。フィオナの第一王女のアリアレイア・マ・アールです。先生は、旧マ・アール史に出てくる初代国王ジュリアスの妹王女のティアララをご存知ですか?」


当然知っています。我が王国の歴史に出てきますから。中等学校以上の学習をした者ならば全員知っています。私は、王族なので王族史でも彼女のことは習いました。


「とても強い魔力を持つ妹王女殿下で兄ジュリアス王の右手として王国創建を手伝い、成人後は、旧ナンダン王国に嫁いでサザリーナンダ公爵家の祖となった妹王女殿下と習いました。」


「そうです。その妹王女のティアララ・マ・アールです。アリアレイアはその妹王女ティアララの記憶があったのです。ティアララの魔法の先生は彼女が幼女の頃からずっとエリザベート、エリザベスと言った方がいいでしょうか?母親のエリザベス王妃でした。あの時代も王子の魔法の先生は男性、王女は女性と決まっていましたので、エリザベス王妃は一人娘のティアララに幼少期から丁寧に丁寧に魔法指導しました。なのでティアララの魔法の技術は兄ジュリアスよりも上でした。息子ジュリアスは、妹のティアララに九割やらせて自分は1割の美味しいとこ取りでしたから。」


「えっ?そうなのですか?」


「そうですよ。息子ジュリアスは魔力量を調整する技術を母親のエリザベス王妃から学んでません。妹に全部やらせていたのです。妹をいいように使って自分はトドメを刺すだけ、な、感じですね。」


「…マジですか?」


マジか~。習った歴史と全然違うではありませんか。妹王女は兄王の補佐していただけだと思っていました。


「マジです。ちなみに、兄ジュリアスには妃が三人いました。第一妃に五星第一王女。第二妃に四星第一王子。側妃に五星第二王子。兄ジュリアスは、妹のティアララを自分の娘の魔法の先生に指名して娘の第一王女の魔法の技術を磨かせ、後の二代目国王になった彼女の異母弟の第二王子をサポートをさせました。第一王女は、ウェスターナルの祖となったのですが、しょっちゅう新帝国の対応をさせられていました。第一王女の魔力は第二王子よりも上で魔法の技術もティアララが指導していたので素晴らしい技術でしたから。

で、そのアリアレイアはティアララなので、フィオナは魔法の指導なんて必要なかったのです。アリアを放置して、おまけに妹達の面倒をみるように命令してね。お気の毒な方々ですよ。ティアララもアリアも、ジュリアスの娘も。」


殿下のおっしゃっる通りお気の毒な話だと思いました。

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