20.第一王妃クノン 2
テラ・ダール・ヤ・マティス帝国。
今では世界一の大国だ。レリーリアラだった頃の帝国とは全然違う。あの頃は…。
レリーリアラだった頃の記憶を取り戻した私は、帝国との関係を考えていた。そして、なんとなく孫のレアラがどうなったかが気になり始めた。息子ヴィアランの娘のレアラは、あの帝国の大皇帝第50代エリザベート・F・ヤ・マティス陛下の養女皇女になって中等学校三年間留学していた。
前世の私は、孫のレアラがまだ中等学校三年生の時に亡くなったみたいだから、レアラが留学後どうなったのか分からない。中等学校卒業後に我が王国に戻ってきたとは思うが、孫は四星だったから、王族に残ることなく成人後は四大公爵家のサザリーナンダにあたりに降嫁したのだろうか?
そして、レアラを知らべていた私は驚いた。レアラは、中等学校を卒業後、我が王国に戻り、高等学校の医療学科を選択し、医師になっていた。そして、再び帝国に行き、成人後も皇族医師として働いていたらしいのだ。
【帝国名誉医学博士『レアラ・レリ・アール・ヤ・マティス』】
~第50代皇帝エリザベート・F・ヤ・マティス陛下の第一皇女。第一国籍テラ・ダール・ヤ・マティス帝国。第二国籍ゴ・リキ・マ・アール王国。
帝国女性医療の功労者である医師カレンレイア・レリ・アール・ヤ・サーンバンメの姪。
伯母と共に魔法医療において優れた技術力のあった四星女性医師。帝都第二高等学校医学部医学科永久名誉教授。皇子アラン・R・マティス、第二配偶者カンノ・マティスも医師。医師皇族一家として帝国医療の発展に大きく貢献する。~
孫のレアラは、帝国の歴史に出てくるほど優秀な医師になっていた。そして、晩年は、皇族を離れ、レアラと皇子は共に平民を無償で助ける医師をしていた。ところが、二人とも流行り病で亡くなり、子孫は平民になっていた。
その後、何世代後のレアラの子孫が皇帝陛下の養女皇女になっていた。彼女の名前は、第一皇女『サミィ「レアラ」・ヤ・マティス』殿下。殿下は、成人後、皇族男性に嫁いだのだが、双子を懐妊し、既に亡くなっていたのだった。
そして、彼女の双子の子供のうち、一人は亡くなったらしいのだが、もう一人は生きている。名前は、『フィア「レアラ」・マティス』皇女殿下。MR五星。
『フィオナ様だ。フィオナ様に違いない。』
私はそう思った。幼いフィアレアラ皇女殿下にまだフィオナ様だった頃の記憶はないと思うが、もし、フィアレアラ皇女殿下がフィオナ様の記憶を取り戻したならば、我が王国を守ってくれるはずだ。我が国の未来を。フィオナ様がかつてエリザベート様の後悔をなくしたように。帝国の未来を守ったように。
私は、藁にもすがるような気持ちでフィアレアラ・マティス皇女殿下の留学を提案した。
そして、漸く、フィアレアラ皇女殿下の留学が決定したのだった。
………………………
王都に来たフィアレアラ皇女殿下に初めて会う。
目が大きな可愛い女の子だ。フィオナ様にはあまり似ていない。目が大きいところが同じな感じにみえるくらいだろうか。だけど、とても可愛いくて、将来は超美少女になりそうだ。
お行儀よく挨拶する皇女殿下。可愛い。私の娘にしたいくらい。
その日の夕刻、歓迎パーティーが始まった。そして、すぐにトラブルが起きた。殿下と同い年のサザリーナンダの五星令嬢との魔力勝負。私は、フィアレアラ皇女殿下をみていた。もし、殿下がフィオナ様ならば、勝負は一瞬の可能性が高い。
フィアレアラ皇女殿下は、相手の様子をみている。…フィオナ様ではない?と思っていたが、次の瞬間、あっという間に相手を気絶させて、回復させた。
側にいる私に伝わってくる極上の回復魔法。…ああ、この魔力。やはりフィアレアラ皇女殿下はフィオナ様だ。フィオナ様に間違いない。殿下にまだフィオナ様だった頃の記憶はないかも知れないがこの方は私のフィオナ様だ。
回復させてもらったサザリーナンダの令嬢は、真っ赤だ。…ああ、この娘、フィアレアラ皇女殿下に惚れてしまったわね。フィオナ様の時と同じね。そして、フィアレアラ皇女殿下は、令嬢に嫌われたと勘違いしているように思える。
…鈍い。フィオナ様の鈍さは健在だわ。何故そんなことが分からないのか不思議に思う。だが、私は、確信した。フィアレアラ・マティス皇女殿下。彼女は間違いなくフィオナ様の生まれ変わりだと。




