デート最終回 彼の車で1泊2日 その9
「よし、食休み終了、出かけるぞ」
花織さんがそう言って、浴衣の帯ほどいた
えぇぇぇ?!
ちょっと待って下さい、僕らいますよ
僕のあわてっぷりがまた、鹿島さんのツボに入り
大笑い、それに気付いた花織さんが、あっと声を上げた
「すまん」
そう言って、隣りの部屋に消えていったけど
ちょっと残念・・・なんだよね・・・
するりとほどけた帯
そして、崩れた襟元からのぞく柔らかで白い肌
慌てながらも、ばっちり見てる僕も男だよね・・・うん
さて、僕も着替えよう
「あれ?脱いじゃうんだ」
僕が帯に手を掛けたら、鹿島さんがそう言った
脱ぎますよ、だってこれ女物ですから
今から、外に行って、かつお風呂にまで行くんでしょ?
そう思って、鹿島さんをじとめで見ると
鹿島さんは、僕の手を取って
「そのままで居てくれ」
なんて、真剣な眼差し
「私も、そう願うね
・・・いや、風呂に行くから無理か」
そう心底残念そうな顔をされると複雑です、
そういう顔は、今日はお別れだね・・・みたいな時にしてください
・・・絶対無理だろうけど
「罰ゲームってことにすりゃいけるけどなぁ」
本当の本当に現状ですら罰ゲームです
「いやです、絶対脱ぎます」
そう言う僕に、二人は、ふかーいため息をついて
男物の浴衣を渡してくれた
45分程度の食休みの後なので
まだまだお酒は抜けきってない
だから、冬の身を引き締めるようなこの寒さが気持ちいい
「おー、夜もいいな」
からりと、下駄を引っかけて、扉を出た鹿島さんが、そう言った
ひやりとする空気が鹿島さんの向こうから来てるけど
外に出た僕も同意見だった
温泉街といえども、流石に、提灯ではないけど
街灯に照らされた街並みは、綺麗だった
「雰囲気変わっていいだろう?」
そう言って、花織さんも出てきた
上機嫌なのか、夜のほうが得意なのか、
それとも、この場所が好きなのか
にっこりと笑った花織さんは、いつもの倍以上綺麗だった
惚れた欲目とか抜きにして、
夜、そして、浴衣、軽く結んだ髪
そして、やわらかな笑顔に見ほれた
「いいですねぇ、すぐ風呂行くのが勿体ないですね」
そう言う鹿島さんに、さもありなんという風にもったいつけて頷くと
花織さんは、こういった
「夜の遊びでもしようか」
と
夜の遊び・・・と聞いて、いかがわしいことを想像した僕を許して下さい
キャバクラとか、そういう所イメージしましたよ
なんで、花織さんが・・・とか思ったけど
むしろ、通い慣れた花織さんだからこそな・・・
いや、温泉街だからこそな夜の遊びでした
「さて、勝負だな」
そう言って、花織さんは、僕と鹿島さんをみる
僕らの手に持ってるのは銃
銃といっても、夜店の射的銃
なんか、懐かしい雰囲気満載で、
浴衣姿の子たちが、難しいよ~
おばちゃんもう一皿!なんて言いながらやってる
「多く取れたほうが、だよな」
そう言う鹿島さんは、さっそく玉をつめている
「もちろんだ」
うーん、二人とものりのり
・・・僕、射的って・・初めてなんですが
花織さんが、すっと銃を構える
その綺麗な姿勢に見ほれる間もなく、ぱんっと引き金を引いた
ぽこっと音がして、置物が落ちる
あれ?この置物、女の人のヌード?
あっはーんなポーズ・・・たしかに、夜の店かも
「べっぴんさん1つ目ね!」
そう言って、おじさんが威勢のいい声で盛り上げてる
「1つ目な」
にやりと笑う花織さん
「じゃ、二番手は、オレね」
鹿島さんも、銃を構え、肩まで上げると、何かを合わせて
引き金をひく・・・
ん?標準点あるの?ううう、今から聞き難いよね
ぱしっと音がして、人形当たったけど、落ちなかった
「おしぃねぇ」
でも、落ちるわけないと思う
鹿島さんが狙ってるのは、台にのった人形の下の部分
積み重なって、重いのに、んなんで狙ってるんだろう
「ほれ、次は兄ちゃんだぞ」
そう言って進められてもやり方知りませんから
ううう、ここは聞くしかない
「あ・・・やり方知らなかったか」
悩んでる間に花織さんに気付かれた、
ちょっと恥ずかしいかな・・・
「まず、玉を込める、あとは、こことここが直線上になった所に
打ち出されるが、玉がコルクだから、どこに行くかはお楽しみだな
ま、難しいこと考えず、できるだ的に手を伸ばして打つがポイントだな」
頑張れ、というようにポンと肩を叩かれた
よしっやってみよう
まぁ、結果は、見るも無残な感じだけど
単純だから面白い、そんなゲーム
あとは、スマートボールとか手打ちのパチンコとかもある
スマートボールって名前はしらないけど
小学生の時、夏休みの工作でつくつたやつだよね、と思った
お酒の力もあるけど、楽しかった
スマートボールでは検討して、僕が一番
パチンコは全員敗退
もう一度とやった射的は、花織さんに二人とも叶わず
酔いも丁度さめて、僕ら温泉に浸かって、宿に戻ってきた
さーて、今から、人生初体験のエステだー
1ヶ月に1回更新になりつつある、あと、数話なのにね
待ってて下さった方、お待たせしましたー
夜店で、盛り上がるゲームの温泉街ヴァージョン
貰ってもしょーもない景品、でも、ものより思いで・・・何ですよね
これって・・・笑
もし、見つけたら、笑いながら体験してみてくださいね~!