プロローグ2
3月29日 23:12 晴
「さて、黒崎さんがくるまでは時間がある。その間にこのムカデから取るとするか。」
(そうだね。魔紅石とグラスを取らないとね。出てくるといいね。)
魔紅石とは、魍魎がかつて人だったときの心臓から変化した石である。実力を問わず、長く存在していれば紅色が紅く輝き増すというもの。まあ年季が入っているともいうけれど。それを砕いて様々な滋養強壮や、疲労回復などの薬になるのだからわりかし価値はある。
ただ欠点としては取りすぎるとその日はいわゆる”ハイ”になって次の日にダウナーになりやすくなるらしい。まあカフェインみたいなものかな。
グラスは産まれたときから魍魎だったときに体内で生成される薄い透明なガラスレンズみたいなもの。これもまた長く存在していれば数が増えていく。防具に練り込むことによって、効果や機能が発揮されるといわれている。
ただ欠点としては実際はどんな効果が現れるか作り終わってからじゃないと分からないのが欠点だけど。
いずれにせよこれらについては、その価値に関してはわたしには正直言って興味ないけどね。
ただ…出すべきところに行けばそれなりに買い取ってくれると思う。まあわたしにはそういうコネがないため、私の所属している協会の言い値で引き取ってもらっているのだ。そのほうが楽だしね。
それにこれらは魍魎を倒したからと言って全て出るとは限らないし、全て出てこないとも言えない。つまり全ての魍魎が出すとは限らないため、とてつもなく希少価値があるという。
さてこのムカデからは胸骨の下に若い個体だろうか、暗赤色の魔紅石が一つ確認できた。大きさは一般的なサイズで直径2cmぐらいか。それが私の星形斬の切断面からこんにちわ、をしているから足を少し屈めば採れるから今回は簡単に採れた。運が悪いと魍魎の身体を引き裂かないといけなく、これにより運が悪いと体液を浴びることになるから困る。
グラスに関しては少し骨が折れた。身体周り探しても見つからなかったのだ。今回は出現しないと諦めて外で黒崎さんを待ちに行こうとすると足下にジャリという音が聞こえたので、視線を下にすると直径10cmぐらいの透明なお皿が一枚見えた。割かし大きかったためなぜ気づかなったのかと自分に問いたかった。それを足を屈みながら拾う。
(他にもあるかもしれないけど、一旦黒崎さんがくるまでは待つ?)
と中山君。
[うん。そうしようか。]
今回はお互い心の中で意思疎通。そしてムカデの死体から離れようとする。おっと半分近く折れてしまった大幣も拾わないとね。ごみ捨てはよくない。
外に出ると春でもこの時間帯は冷える。吐く息も白い。ましてや、この服装だからなおさらだ。わたしの服装は巫女服だけどいわゆる改造巫女服なのだ。上は白衣だけど袖の部分がない。袖は袖で腕に別途に括り付けてある。ただし、寒い時や暑いときは上下に上げたり下げたりする。また、巫女服で言う袴は普通に赤い膝上、というより膝間のミニスカート。緋色ともいえるかも知れないけどわたしは赤と緋色の見分けつかないし…。
足首は足袋ではなく純白の靴下。それを踝あたりまで意図的に垂らしている。延ばせば膝下ハイソックスになれると思うけど基本やらない。理由は普通にこうしたほうが足が長く見られると思う。ルーズソックスはあれは動きづらいからNG。
まあ仮にわたしが靴下を伸ばしたのを見たら運が良いことが起きるかもね。基本裸足かこんな格好。靴は草鞋をサンダル風のにしてる。これも有事の際に脱げやすくするため。当たり前だけど屋敷内は基本履かないけどね。これらの服装は協会の支給品で最初グラスを練りこもうとしたけどけどわたしが何も細工しないで、と、協会に頼んだ。つまり基本動きやすさを兼ねてる。
中山君については正直前世からの付き合いのあるわたしの唯一の友人。まあイマジナリーフレンドだから結局自分自身なんだけどね。姿形は他人は見えないのは当たり前で自分自身も見えない。ただ想像上では眼鏡をかけたインテリか、青装束の忍者で眼鏡かけてる。という設定だけど、ほぼ死に設定、だけどわたしの前世も眼鏡かけてるからその影響。出現頻度はランダムでいつ出てくるかはそのときの気分次第。
[にしても寒いっ。何か暖かいもの持ってくれればよかったな。]
(とかいってさ。後で動きづいとか言うでしょ?)
[まあそうだけど。中山君らしいや、この突っ込み。]
そんな心の中のやりとりをしてわたしは露出している両手で太ももを擦り、その後に持っているピンクに近い赤の折りたたみ携帯の時計を見た。時刻は23時55分を回っていた。
黒崎さんは協会の中で真面目な人である。黒毛のスポーツ刈りの薄だいだい色の肌にやや童顔の外見二十代半ばのような顔立ちだが、不老不死の術式にかかって実年齢70を超えている。
約束の時間はいつも時間きっちりか、少し早めに来るし、取ってくる仕事もきちんとこなす。ミスも極端に少ない。
服装はいつも黒いスーツに黒のズボン、黒の無地なネクタイ、糊の効いた白いワイシャツ、さながら葬式の喪服を羽織るそれは、最初見たとき葬式の帰りか、っと思っていた。
まあその後に知ったのは、ちゃんとした理由があったことだけれど。
それは…不老不死が故に協会に属し戦死した数多くの人に対しての供養のためとのこと。
さて気が付けば黒崎さんが紺色の一一闇夜のため暗黒の。協会の車でやってきた。
わたしの元に車を停めるや、すぐにドアを開ける。
「待たせた。大神さん現場に入ろう。」




