28話 アイゼンリッヒってどんな人?
「ラルム、どうせならアイゼンリッヒについても喋ってよ」
「そうね、今度こそあんなのバカ丸出しなものじゃなくて、まともなエピソードをしゃべって欲しいもんだわ」
僕とサーシャがそういうと、ちぇー!わかったよ!とラルムは面倒くさそうに頭をかきながら言葉を続けた。
「アイゼンについてだっけか?アイツはなぁ、あの銅像を10倍貧相にして、お人好しにしたような奴だったよ。各地に作られたアイゼンの像を見たときは、随分威厳のある風貌になっちまったもんだって、笑ったもんさ」
「そうなの?…なんか夢が壊れるなぁ」
僕が、そうぼやくとガハハと笑いラルムが言葉を続けた。
「真実なんてそんなもんだろ。まぁ、セオお前、どことなくアイゼンに似てる気もするぜ」
「えっ!ほんと?」
「おう!お嬢ちゃんに尻敷かれてるところとか、アイゼンにそっくりだ!あいつもマリアと2つ下の弟にいつもどやされてたからなぁ」
「ちょっと!それじゃ私がセオのことをぞんざいに扱ってるみたいじゃない!失礼しちゃうわ」
「えっ…サーシャのそれって無自覚なの?」
「セオ、どういう意味よ?」
「いえ、何でもないです!」
サーシャが僕を横目に睨みながら、杖を出してきたので、慌てて口を塞ぐ僕。
そんな僕らのやり取りをゲラゲラと笑いながらラルムは見つめていたのだった。
「いやぁ、お前らの夫婦漫才、いつ見ても笑えるわぁ」
「「夫婦漫才じゃない!!」」
「なんだよ、息ぴったりじゃね〜か」
そんなふうに茶化すラルムは、僕とサーシャがいくら抗議したところで笑って受け流すだけだった。
「おーい!セオ殿、サーシャ殿、ラルム殿ー!」
遠くから、僕達を呼ぶ声がして、僕らは声の方へ振り向いた。そこには、ブンブンと大きく手を振るフレディの姿があった。
「フレディさん!どうしてここに?」
お互いに歩み寄り、合流しながらフレディにそう声かけた僕。フレディは、人の良さそうな笑みを浮かべてこう答えた。
「ベルから、君たちがセントラル広場に向かったと聞いてな。そろそろ夕食の時間だろう?よければ、うちで一緒に夕食を食べないか?」
「いいの?」
「僕達が行ってお邪魔じゃないですか?」
僕らの問いに、フレディはハッハッハッと豪快に笑って言葉を返した。
「そんな事ないさ。いつもは妹と2人きりの食事だからな。大勢で食事など久しくしていないから、君たちが来てくれると、私もベルもとても嬉しいよ」
「それじゃ、お言葉に甘えて、お邪魔させてもらうわ」
「ありがとう、フレディさん!」
こうして、フレディの厚意に甘えることにした僕たち。
その返事を聞いたフレディは満足そうに頷くと、そうと決まれば我が家へ行くぞ!さぁさぁ急いだ!と楽しそうに僕らの背を押したのだった。




