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26話 始まりの勇者と魔法使い像

「これがコンカルノーにある始まりの勇者と魔法使い像か。

エルラドにある2人の像と、顔の作りとか背格好とかは似てるけど、こっちの方が随分豪勢にに作られてるね!

やっぱり、世界を救った2人に対しての感謝の気持ちがそうさせたのかな?」


コンカルノーにある始まりの勇者と魔法使い像は、遠目から見ても、全身金ピカで煌びやかだったけど、近くで見ると、それはもう凄かった。


着ている洋服や装飾品にも、とても繊細な彫刻が掘られ、色とりどりの宝石も散りばめられており、とても手間暇をかけて作られたことが見て取れた。


エルラドにも始まりの勇者と魔法使い像はあるが、青銅で作られた質素な作りのものに宝石が数個ほど取り付けられたような像だったので、僕はその違いにとてもびっくりしたのだった。


僕の言葉に、サーシャは、マジマジと像を観ながら、能天気な感想ね、アンタらしいけど。そう言葉をかけてきたのだった。


どういう意味さ!と僕が反論すると、サーシャはやれやれといった様子でこう話を続けた。


「装飾品が豪華なのは、表向きは、エルラド国王へのご機嫌取りだと思うわ。コンカルノーは国益の大半をエルラドからの魔具開発費支援費や魔王討伐隊からの魔具製作費で賄まかなっているからね。

まぁ、裏の思惑は、魔力の高いエルラド人には武力では敵わないけど、資源は豊かにあるぞというアピールと、あとは、高い技術力の誇示ってどこかしら」


「…そんな穿った見方しなくたっていいじゃん。ね、ラルム」


「俺は、お嬢ちゃんの考察がいい線いってると思うぜ。今でこそ二国間は協力関係だが、昔はいがみ合ってた仲だからな。魔王さえ現れなけりゃ未だに仲違いしたままだったかもしれねーし」


僕に話を振られたラルムは顎に手をやりながら、そう言葉を返してきた。


その言葉に、サーシャは目を丸くしてラルムの方へ振り向いた。


「あ、やっぱりそうなの?

昔気になって、エルラドの歴史を調べてみようと思ったことがあったんだけどね。

エルラドの国史では、魔王が現れる前の出来事は、その多くが機密扱いになっていて、閲覧できなくて。

しょうがないから、国立図書館の資料で、拾い集められる断片を繋げてみたのよ。そしたら、この大陸の覇権を争って、五カ国の間で長い戦争状態だったらしいというところまでは突き止めたんだけど。合ってるの?」


サーシャの問いに、よく調べたなと少しびっくりしたようにラルムは言葉を続けた。


「あぁ。概ね、お嬢ちゃんの認識で間違いねぇぜ。皮肉な話だが、魔王が生まれた結果、五カ国間はいがみ合うのをやめ、協力関係を結び、戦争が終結したのさ。もしかしたら、魔王が居なくなったら、また戦争を繰り返しちまうかもしれねーな」


「…なんだか悲しい話だね。平和のために、魔王が利用されてるみたい」


僕の言葉に、ラルムは僕の頭をわしゃわしゃと撫でてこういった。


「そんなふうに、 魔王(あいつ)に思いを寄せてくれてありがとな。」


そういったラルムの顔がどこか切なげで、なんだか僕まで悲しくなったのだった。



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