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運命(さだめ)の迷宮  作者: 刹那玻璃
目を背けていられない事態に発展しそうです!!
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雲の切れ間から光が差す。孤独と悲しみを胸に秘めて……

 その日の深夜、特別機で到着したのは采明あやめの両親と、一番下の弟の孔明こうめいである。


「采明‼実明さねあき‼ついでに……えーと、新次郎しんじろうくんだっけ?」

「違うでしょう‼新太郎しんたろうくんよ‼」

「違うじゃん‼父さん母さん、神五郎しんごろう兄さんでしょ‼初めまして‼お兄さん、お姉ちゃん‼僕は孔明だよ!」


 はにかむ顔は、采明に似ているが、


「この子も腹黒……」


呟いた神五郎に、ニッコリと、


「あ、兄さん。大丈夫だよ‼兄さんを苛めたりするのはしないから。するのなら‼名前のように参謀として‼」

「馬鹿者‼本当に、何でお前はそうやって、実明を苛めるの‼本当にごめんね~!采明に、新三しんぞうくん‼」


とぼけたところは全く変わらない父親、圭吾けいごに、蓮花れんげが、


「ごめんなさいね‼神五郎くん‼一応、この人が夫の圭吾で私は蓮花です。そして末っ子の孔明です。頼りない両親だけど、よろしくね‼」

「は、はい‼采明と実明は……」

「違うヨォぉ‼お父さんは研究旅行に出掛けたいの~!だから、采明の婿養子になって、家のことよろしくね!」


 エヘヘ?


邪気のないしかも、年が10才も離れていない義父の一言に、


「何考えているの‼でも、婿養子は本当にお願いします‼孔明は本当に駄目だから‼」

「あの、私が……」

「采明の婿は頼りないパパよりまし‼」

「そうだよ。兄さんお願いね!父さんは歴史研究の第一人者だから何かを見つけたら内緒で飛んで行くからね。捕まえておいてね!」

「それは大変だ‼……でも、私には似たような采明もいるし……やるしかないか。では、婿養子として柚須浦ゆすうら家を支えましょう。その前に‼皆好き勝手言わない‼落ち着く‼そうすれば、順番に話が聞けますからね‼」


実綱の一言に、柚須浦家の人間はおとなしくなった。


「私は、甘やかしませんよ!特に父上‼良いですか?」

「わぁぁ‼りょうが増えた‼」

「私が動けるようになったら、まずは柚須浦家の改革からさせていただきます‼」




「采明‼頑張りなさい。もうすぐだよ‼」


 おろおろとした夫実綱と、実明が立ち会いつつ出産を待つ産室。


「あ、采明‼」


 怪我も癒え、動けるように合った神五郎は正式に柚須浦家に婿養子に入り、体を直しつつ、勉強を始めた。

 采明には、


「あんなにやりたがっていたんだから、無茶しない程度に、声楽を勉強したらいい」


と説得していると、学園総長の一言、


「大丈夫ですよ。君も入るから」

「えぇぇ‼」


と言う具合に、学校に押し込まれた。


『これでもいい年なのに……』


と遠い目をする実綱……神五郎よりも実綱と名前を一定にすると決めたのである。


「良いじゃないですか。入院後とは思えぬ体力で……」


 アハハ~!


とロウディーンが笑う。


「それに、童顔っていいねぇ。君、喋りは大人びてるけど、周囲の生徒に紛れてるよ。良かったね」

「あ、はぁ……采明と同じ教室で勉強できるのは嬉しいんですが、男達に囲まれて……非常に心配です」

「あぁ、それは大丈夫」


 本を読んでいた采明は周囲の男子生徒に、バッサリ、


「あの。私は結婚しているので、旦那さま~‼」

「何だ?」


近づいていくと、


「すいませんでした‼兄貴の嫁だとは思っていなくて‼」

「俺はお前たちの兄になった覚えはないが……あぁ、街で、女性にちょっかいを出していた者たちか?バカも休み休みしろ」

「はい‼兄貴‼」

「だから、兄貴じゃないと……」


困った顔をする実綱に、


「実綱。申し訳ないが、生徒の立場の君に言うのも申し訳ないが……」


近づいてきた総長の司馬朗しばあきら


「彼らは、親や祖父母と言った親族が身分のある人物の子や孫に当たる者たちなのだが、学問の意欲がなく、親は親で忙しいからと言った言い訳で子供をほったらかして、遊んでいるような存在でね。幾つもの学校を転々として、最後に押し込められたのがここだよ。ここは名門で親の押しはできないのが表向きだけど、溜まってきてね。しかも、君の弟もいるから」

「はぁ?えーと、変人親父……ではなくて首相に返り咲いた父ですか?」

「そう。上の嫌味系が子桓しかん下は妬み系の子建しけん


 見下ろしたふたりに、


「何だ?お前‼」

「アホだな。変人とは言え、あの親父に喧嘩売るとは」

「貴様ぁぁ!」


振りかぶる子桓を押し留め投げ飛ばすと、何か仕掛けようとした子建を押し潰す。


「全く、自分の実力も解らん奴程、面倒なものはないな。そんなにこの兄と話したいなら、槍でも刀でも持って来い‼愚弟‼」

「な……」

「一応、武術に心得がある。ロウディーン公主には敵わないが、亮……講師とはそこそこまで行けたが?来るか?」


 その声に逃げ出したのだった。

 その姿に、そして普段は愛妻と息子と手を繋いで通学し、男女問わず親切である実綱の評判は上がるばかり。

 逆に采明は下がるのか?と思いきや、采明は采明で可愛らしさに、賢さ、そして男女問わず親切で愛されていたのだった。




 そうして、出産となり、采明は休学した。

 学校は単位制だった為、ある程度単位を取っておいたこととレポートを提出しておいたお陰である。

 復学すればそのまま次の学年にくりあがっている。


 出産の兆しが見えたと聞いたとたん早退し、息子と共に総合病院に駆け込んでいった実綱は、入室して出産を待った。


 すると、


 フギャァァァ‼


と大きな声で泣く赤ン坊が生まれ、


「男の子‼」

「どっちだろうな?」

「元気な女の子ですよ」


看護師さんがおくるみに包んだ赤ん坊を見せに来る。


「わぁぁ‼百合ちゃんだ‼」

「百合ちゃんか?」

「うん‼」


 と、


「ふ、うぇぇぇん……」


小さくか細い鳴き声に、


「えっ?」


二人は顔を見合わせる。


「あ、あきちゃんだぁ‼あきちゃんも一緒だよ‼」

「あら、今度はちょっと泣き虫の妹ちゃんですよ。双子って、奥さまはご家族に伝えていないといっていたのですが、御名前決めてらしたんですねぇ」

「双子……勉強頑張って、卒業して仕事をしなければ‼」


 実綱は意気込んだのだった。


 采明の容態も安定しており、百合と愛生あきと着けた双子に付きっきりの息子が何かしでかさないように、だっこした実綱は、采明を見て微笑む。


「どうしましたか?」


 ベッドの横の台の上に日本の新聞があり、そこには、


『武田信玄の影武者は有名だが、上杉謙信にも影武者がおり、景勝が実子であると言う説を発表!』

『上杉謙信妻帯していた‼奥方の名前は百合姫。直江家の娘であり、当時にはあり得ない170センチを越えた長身用の女性用鎧発見‼』


「……あらあら……すごい世界になっちゃいましたね」

「ふっ……それは未来は無限にあるものだ。ほら、采明がいただけで大騒ぎになっていないし、私もなんともない」

「……本当ですね。それに、百合と愛生ちゃんも戻ってきました」

「……うん、あの時に珍妙なと思っていたが、こんな風になるとはな……アハハ、采明が私に新しい世界を見せてくれた。そして3人の子供も……本当にありがとう」


その笑顔にはにかみ、


「私も旦那さまにたくさん教わりました。これからも一緒にいてくださいね?」

「当たり前だ。私が采明から離れることはない。時を隔てても、その時を追いかけて、必ず取り戻して見せる……」


采明を抱き締め微笑み、そっと額に口づける。


「ずっと一緒だ……世界を失っても、采明や子供たちを選ぶ……誓うよ」




 時を越え結ばれた二人は、永遠を誓い合うのだった……。

本当に、稚拙な恋愛トリップでしたが、読んでいただいてありがとうございますm(__)m

一応、これで終了で、別に小話を書いていこうと思います。


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