表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/16

エピローグ






ギィ…


「ただ今戻りました、フレリックさん」


「おお、よく戻ってきてくれた……って、これはどういう事だい?」


「あははは…」


理事長室のドアを開け、報告に戻ったユーブメルトたちは、いきなりフレリックを驚かせることになった。


フレリックを驚かせることになった理由、それはユーブメルトの周りにあった。


「…ふー!」


「……?」


ユーブメルトの右にいるのは白の少女。腕ごと抱き着く形でユーブメルトに引っ付いている。そして、その反対側にいるのはユミナ。かんっぜんに対抗意識を燃やしまくりの図だ。


生える2本の尻尾の毛が威嚇のために逆立ってしまっている。


そんな二人に挟まれたユーブメルトは、両側から腕を綺麗に抑えつけられているために、頭をガシガシと掻くこともなく苦笑いしか浮かべられない。


「えーと、幸せ者は放って置いて報告です。すいません、『黒』は逃がしました」


とても受け答えなどできる状態ではないユーブメルトに変わり、セリスクが報告を肩代わりする。


普通なら突っ込まれている所だが、あいにくユーブメルトにはその手段がない。口を出そうとしても報告の邪魔になるからだ。


「そうか。なら、こちらで引き続き捜索は続けるよ。皆、ご苦労だったね。後、エンディー君はどこに?」


「それなら、いろいろと調べる物が出来たから、申し訳ないけど報告は頼みますねって言ってました」


スフィアがセリスクの隣に立ちながら、レオリスの動向を伝える。


ユーブメルトたちが連絡通路を出た辺りで、一応合流はしたのだ。だが、ユーブメルトの今の状況を見て呆れでもしたのか、そう言ってそそくさと退散してしまった。


「ふむ、なら構わないか。それと、ユーブメルト君。その子は、どうするんだい?」


まるで蓑虫のように引っ付いて離れない少女を指さしながら、フレリックはユーブメルトに質問を投げかける。


「…どうするも何も…保護って言うか、俺はただ仲間として迎えたいんですけど…」


「…なら転入手続きでもしようか。えーと、書類はどこにやったかな…」


とんでもない爆弾発言をしながら、フレリックはごそごそと棚の中身を探していく。


あまりにも普通にしゃべった事柄だったため、誰もその行動に反応が出来ていなかった。


そして―――


「「「「えええぇぇぇ!!!」」」」


案の定、そんな声が木霊した。


「フレリックさん、それ職権乱用ですよね!?」


「構わないさ、それぐらい。あー、そうそう。転入するんだったらユーブメルト君の家名を使わせてもらうよ。君に懐いているんだろう?」


「それぐらいは構わないですけど…って、え?」


「だから、便宜上は君の親戚と言う事にするって言ってるんだ。それなら僕でも面倒が見れるし、なんたって楽だろう?」


「…そんな簡単に…」


フレリックの考えに、ユーブメルトは項垂れてしまう。


だが、項垂れた先にあったのはユーブメルトを見つめていた少女の真っ赤な瞳。


上目づかいで見つめられては、断ることなどできるはずがない。


「……?」


「ったく…。なら、それで行きましょう。こいつには名前もないし…あ、そうだ」


手を叩くことはできないが、何かを思いついたかのように言葉を口にするユーブメルト。


「お前の名前、決めてなかったな」


「それもそうだな、なににするんだ?」


「やっぱりかわいい名前がいいですよ!」


「ふー!」


約1名、人間としての言語を喋れていない輩がいるが、そこはまああまり気にしてはいけない所だろう。


セリスクとスフィアもユーブメルトの言葉には賛同したようで、少しだけ悩むそぶりを見せるが、実際の所はユーブメルトに任せていた。


「そうだな……よし、決めた。お前の名前はイネージュだ。お前の白い髪見てたら、そう思ったんだよ。安易な考えだけどな」


「ふむ…雪の違う言い名か…いいんじゃないかな? なら、イネージュ・レディナスで進めておくよ。それでいいかい?」


「……うんっ///」


よほど嬉しいのか、首を千切れんばかりに縦に振るイネージュ。


そして、イネージュはユーブメルトの方を向きこう言った。


「…ありがとう」


初めて見せる満面の笑顔で、イネージュは笑った。


その笑顔を向けられてユーブメルトはつられて、本当に久しぶりに心の底から笑った。


「ああ、これからよろしくな、イネージュ!」




感想等々待ってます。


誤字脱字誤変換等の指摘も歓迎。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ