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虹と戯れる砂の底魚  作者: 藤泉都理
第三章
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第九十二話 適任者




「期間限定。私の中から木の根を取り除く事ができるまで。結婚したままでお願いします」

「自分の目的を果たせたら、あとは私がどうなろうと知った事ではない、か?私もあなたを守れるかなど。どの口が言えたのか」

「いえ。適任者がいるので、その方にあなたを託します」

「適任者?」

「はい。私よりよっぽどあなたを想って、心配している方です」

「………誰だ?」

「気づきませんか?」

「………」

「認められようと奮闘しているあなたに休ませる方法を教えてほしい。その方は私にそうお願いしました。どこか私とあなたが似ていると思ったのでしょうね。よっぽどあなたが大切なんですよ。正体不明の得体の知れない私にお願いするくらいですから」

「いや。私を大切に想っているのならば、正体不明の得体の知れないやつにそんな事を頼むか?もっと詳細に調べて頼むに値するかどうか判断を下して頼まないか?」

「まあ、そういう考え方もありますが、あなたを想う余り切羽詰まっていてきっと手あたり次第だったのでしょう。その方のあなたを想う気持ちが感じられますよね?熱い心が」

「………考えようによっては感じられない事もない」

「そうですよね。思い当たりますよね?」

「………………もしや、ハシビの事を言っているのか?」

「わあ!やっぱり!」

「何がやっぱりなんだ」

「いえ。あなたとハシビには強い縁が結ばれているんだろうなと思っていたんですよ」

「………仮に私とハシビが結婚する事に適任だとしたら、あなたは邪魔者になるが?」

「いえもしもすぐに結婚したいというなら私は即離婚します。あなたも納得しての結婚ですから。納得していない結婚で強い縁が結べるわけないですもんね。徐々に強く結んでいく結婚もあるでしょうが、私たちには当てはまりませんし」

「あなたは一応納得しているという事か?」

「そうですよ。私もあなたも互いに守れそうだなと思いましたので納得しています」

「………こんな姿の私でもあなたを守れると本気で思っているのか?」




 パキンと。

 とても小さく控えめで、けれど、どこまでも響き、突き刺さる音がした。

 倒木が裂け落ちたのだろうか。











(2023.9.18)




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