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第六十九話 協力申込
本気ではない。
けれど、手加減をしているわけでもない。
それとも、この砂色のマントが攻撃力を軽減させているのだろうか。
マント越しに受け止める片腕の皮膚も肉も骨も、痛みに悲鳴を訴えるが、損傷があるかと問われれば、ない、と断言できる。
(もしくは、木の根が身体に何か作用をもたらしている、か)
瞬発力や防御力を上昇させている、とか。
莫迦げた発想に、失笑する。
『緑の国』に属する木の根が自分に利のある行動を取るわけがない。
はず。
だけど。
(………今の冴野の状態を木の根がよしとしていないなら。冴野を元の状態にする為に、一時的にでも私に協力している、なら)
通常ならば片腕だけで、冴野の殴打をさばけるわけがない。
命の危機に瀕して、体力が一時的に格段に向上した、との考えも捨て切れないが。
「早く、調子を戻してあげないと」
だから、協力して。
土羽梨は冴野の殴打を受けていない、もう一方の自由な腕を冴野へと近づけた。
(2023.9.11)




