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虹と戯れる砂の底魚  作者: 藤泉都理
第二章
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第五十六話 土下座




「………」

「………」


 あなたの目元を片手で覆いたくなっただけです。

 毅然とした態度で言ったらどうだろうか。

 理由を問われれば、わかりませんと正直に言えばいい。


(うん。だって本当にわからないんだから)


 よし。腹を括った土羽梨が口を開こうとした時だった。

 やおら顔に近づいて来た冴野の手を反射的に掴み、どうしたんですかと問えば、私もあなたの目元を片手で覆いたくなったと言い始めた。


「嫌です」

「あらら。つまりあなたは自分がされて嫌がる事を私に断りもなしにしたという事か」


 あ、なんか調子が戻った、のか、な。

 『緑の国』にいた時の空気が戻った冴野を前に、けれど、土羽梨は何とも言えない気持ちを抱いた。

 調子が悪くないならそれに越した事はないけれど、戻らなくてよかったなー。静かなままでよかったなー。と。


(まあ。うん。うん)


 心を穏やかにさせた土羽梨は膝を抱えた状態から冴野の手を離し、正座の姿勢を取ると地面に手をつけて深々と頭を下げ、申し訳ありませんでしたと言ったのであった。











(2023.9.7)




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