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第三十二話 届かぬ夢
ハヤク。
ハヤクハヤク。
『スナノクニ』ニモドッテ。
ワタシハ。
ワタシモ。
『スナノクニ』ヲウゴカスハグルマニ。
その願い、叶えてあげよう、か。
「………変な夢を見………夢を」
男性は自身を襲った強烈な違和感に眉根を寄せた。
眠っていたのだ。
何の前触れもなく。
自分が。
「………何だ?嫌な、予感、が」
する。
そう言葉を紡いだ瞬間。
男性の耳に飛び込んで来た。
ハシビの叫び声が。
土羽梨が木の根に連れ去られたという信じられない事実と共に。
(2023.8.25)




