第十四話 The thoughts of girls intersect
あああ任天堂ダイレクトたのぢみなのぉぉおおおおおお
「………」
「………」
パンとこの空気を打破するために大きく響くように手を叩いた。
「はいはい。今やっても仕方ないわ。取りあえずご飯の用意をしましょう」
時計の長針はは4時を指しており、
二人は顔を上げ部屋を見渡すと。
「あれ?アシスタントはないの?」
「アシスタント?」
聞きなれない単語だ。
どうゆう物なのか考えていると、ハーツが補足説明してくれた。
「アシスタントとは、主に掃除洗濯料理などをやる、いわゆる家事補助機械です。今では100家計中89人以上が持っている機械ですが………。ご存じありませんか?」
「えぇ、見たこと無かいわね。家事全部自分でやってるし」
それを聞いた途端一人は驚き、一人は感心していた。
「ご主人様、アシスタントが復旧した現在、料理などを自作するのは料理人程度です」
便利なものだとサクヤは思った。
「まぁ期待してなさい」
サクヤは包丁を取りだし手際良く切っていく。
さくさくとリズムよく切られていく野菜。
「………これ私いらないのでわ」
◇
コトと木目調のテーブルに優しく食器を置いた。
「さて、聞きたい事はたくさんあるけれど、どうせ話してくれないのでしょう」
「えぇ情報は自分で調べた方が面白いだろ?と主は言っていましたので」
ふぅとコップから唇を離し。椅子から立ち上がった。
「え?聞かないの?」
「シエルたぶん無駄よ」
すぅと咲夜の視線が時計に止まった。
もうこんな時間なのかと、長々と問いただしていたため窓から移る景色はとっくの前に暗くなり街灯が辺りを明るく照らしている。
廊下に向かい歩み始めるとシエルから何処へ行くのと声をかけられ、汗を流しに行くのと伝え脱衣所のドアを開けた。
「………広いわね」
そこは縦6m横4mの大きな部屋だった。
ドアのすぐ傍に衣服を置くロッカーに、向かいには最新鋭の洗濯機と大きな鏡付きの洗面所。
此処は本当に一人用なのだろうか?と思ったが気にしないことにした。
しゅるしゅると布が崩れ落ち、裸体が露になる。
………いつ見ても違和感を覚える。
頬を紅く染めながら鏡から目をそらし、少し体を洗いて湯に沈み混む。
凄く疲れたな…初日にこれだから学校が始まったらどうなるだろうか。
サクヤが今後について思いをふけていた時。
ガチァンと扉が開く音が響いた。
自然と音の方向に目をむけると。
「ぁ」
シエルだった。
細いながらもスタイルのバランスがよく、掌ほどの大きさの胸が微かに揺れている。
着痩せするタイプか…じゃなくてぇ!
「へ、え?なにしてんの」
彼女に目を反らしながら話しかける。
「え?一緒に入ろうと思ったんだけど」
「いやいやいや、まて、wait、待ってくれない」
「何で?」
「何でって、女の子でしょう?」
「え?同姓じゃん」
……………。
「ともかく出ろぉぉぉお!」
◇
「………」
怒らせちゃたかな?
日本だと裸の付き合いとか言って、一緒風呂に入るといいてっ聞いたのに……。
服を着直し、しょんぼりしている。
そう言えばサクヤの事あまりよく知らないなと思い、一緒だけ迷ったが部屋を探検事にした。
カチッとスイッチを押し、長い耳をピクピクと微かな物音を逃さないように彼女は周りを見渡した。
そこは部屋いっぱいに本が敷き詰められていた。
昔風に言うなら書庫だろうか。
シエルは、現在本なんて珍しいと思っていた。
22世紀(C)現在、紙を媒体とする記録用紙はほぼ無いと言っても良い。
何故なら、コンピューターの性能が上がり軽量、うすくなった事により使われなくなった。
また情報量の多さや保存のしやすさ、風化防止など理由でこのような事になっている。
おもむろに本に手を伸ばす。
日本語で書かれた本をめくり最後のページを見ると。
第一出版2015/8/14
第六出版2017/8/24
と書かれていた。
役100年前に作られたものがたり。
軽く探索しここにあるのは上と同じような時期に作られた物だった。
「うん?」
突如ピクリと耳を動かした視線をある本に定めた。
大きな本である。
皮で舗装され昔に作られたのか、至るところが朽ちている。
しかし、それには朽ちてもなを人を動かす威厳があった。
彼女は虚ろな目で本に手を伸ばした。
そして何気なく彼女は視線を落とす。
表紙に書いてある字は古い現在使われていないアラビア語。
シエルは何事もなく読めない字を読み上げる。
「AL AZIF」と。
生暖かい表紙にをめくろうとすると………。
「シエル。出たわよ」
「っつ!」
ビクと体が跳び急いで本を戻し部屋を出た。
リビングに戻ると、丁度頬をほんのり染めたサクヤが脱衣所からでたところだった。
赤色のもふもふしたパジャマをだらりとしながら。
「入っていいわよ」
と声をかけてくる。
「ぁ、うんあんがと」
「?」
サクヤはシエルの様子がさっきと違うことに気が付いたが、あまり深くふみこまなかった。
そこまで馴れ合いしてないしね。
故に彼女が自分の出世に関係がある本を知った事がわからなかった。
脱衣所に手をかけたその時。
「あまりかぎ回ると日常に戻れませんよ。まぁ死にたいならよいですが」
とハーツに肩に手を置かれた。
「え」
「ではどうぞごゆっくり」
「あ、ありがとぅ」
湯船に浸かりながら考える。
「アル・アジフ」
口に言葉を濁し、あれはなにかと。
あの引き込まれる感覚、あの時何故だかわからないが、脳が警告をならしていた。
やめろ、めくるな、戻れなくなる、と。
そもそもあのまがまがしい本を何故持っているだとか、いろいろ言いたいことはあるが、かかわってはいけない気がする。
戻れなくなる、ハーツはそういった。
それに誰も隠したいことはある。
そう自分のように。
右目から手を離すと虹色の瞳が輝いた。
光を屈折させさっきの色に戻し。
ならば、そっとしておこう。
そう心に決めた。
◇
街灯で明るく照らされる町をサクヤはみている。
別に理由などなく、ただ夜風に当たっているだけ。
見上げれば、2つの月が輝いている。
ここは21世紀ではないとひしひしと感じられた。
「………これからどうなるのかしら」
右腕にはあの生暖かい本が、左腕には装飾されたナイフが握られている。
『ん?一人なの』
『もしよかったら部活やらない?高校生なんだし』
『うわぁ、綺麗………ちょっと買ってくるね』
『ありがと、付き合ってもらって』
『ごめん…もうわたしは………早くいいから逃げて………………』
………………………。
何時も物静かで、小さく微笑んでいた少女。
確かに強引だったけれど私、いや俺は感謝をしていたんだ………。
「なぁ、君がいたから俺はやって行けたのに、どうして逝ってしまったんだ」
その独り言に答える声は存在しない。
辺りは美しい夜空と微かな塩の匂いがただよっていた。
◇
「その、ありがとうなのかな巻き込んじゃったけど」
「別に大丈夫よ。死ななかったからね」
サクヤはリビングに背を向けシエルを見送っていた。
「じゃあまた、おんなじクラスになればいいね」
大きく手を振り彼女は見えなくなっていった。
サクヤは手を離しリビングにかけていった。
ゆっくりと扉が閉まる。
けれどそれは始まりにすぎなかった。