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第九十七話 魔法を使いたかった人たち

悪役令嬢は愛されている


第九十七話 魔法を使いたかった人たち


王国歴三百二十八年、四月二十三日。


王立魔法学院、大講堂。


「魔法を使えない方は、使えるようになりたいと思いますか?」


ガルド・レイスの問いかけに、一人の少年が手を挙げた。


ノエルだった。


「僕は、使えるようになりたいです」


ガルドは微笑んだ。


「ありがとうございます」


そして、客席を見渡した。


「ほかには?」


一つ。


二つ。


三つ。


次々と手が挙がった。


その数は、決して少なくなかった。


一方で、手を挙げない生徒たちもいる。


ガルドは、その両方を確かめるように見つめていた。


「では、もう一つ質問しましょう」


黒板に、新しい文字を書く。


『才能』


「皆さんは、魔法の才能とは何だと思いますか?」


最前列の生徒が答えた。


「生まれ持った魔力量です」


「なるほど」


別の生徒が言った。


「術式を理解する頭のよさだと思います」


「それも正しい」


ガルドは頷いた。


「魔法には、さまざまな才能が必要です。魔力量、制御能力、術式への理解、そして発想力」


黒板に四つの項目が並ぶ。


「ですが、この中には、生まれた時点で大きな差がついているものがあります」


彼は最初の項目を指さした。


魔力量。


「努力によって増やすことが難しい力です」


講堂が静かになった。


「どれほど術式を理解していても、魔力が足りなければ発動できない魔法があります」


ガルドは、ゆっくりと客席を見渡した。


「では、その人間は、魔法を諦めなければならないのでしょうか?」


誰も答えなかった。


◇


「……先生!」


エリザベートが手を挙げた。


ガルドが振り返る。


「どうぞ」


「魔法が使えなくても、魔法の勉強はできるでしょう?」


「ええ」


「だったら、諦めなくてもいいのではなくて?」


ガルドは、少しだけ笑った。


「それは、現在の学院だからこそ言えることですね」


「そうなの?」


「はい。以前は、魔法適性によって学べる内容にも制限がありました」


エリザベートは首を傾げた。


「変なの!」


客席から、小さな笑いが起きた。


「そうでしょうか?」


「だって、知らないから勉強するのでしょう?」


少女は当然のように続けた。


「最初から何でもできるなら、学校なんていらないわ!」


今度は、少し大きな笑いが起きた。


ガルドも笑った。


「確かに、その通りです」


そして、黒板の前へ戻った。


「ですが、エリザベート様」


「なあに?」


「学ぶことができても、実際に魔法を使えるとは限りません」


「……そうね!」


「私は、その違いをなくしたいのです」


ガルドは、客席を見渡した。


「この学院には、魔力量が少なくても学べる生徒がいるそうですね」


その視線が、フィオナへ向いた。


「ですが、学んだ術式を自分で使えないこともある」


フィオナは、黙っていた。


「それを、私は変えたい」


ガルドの声は、穏やかだった。


「勉強したことを、実際に使えるようにしたいのです」


◇


「……でも」


一人の少女が手を挙げた。


エルナだった。


ガルドは、少女を見た。


「どうぞ」


「……そのために」


彼女は、一度言葉を止めた。


そして。


「誰かが、魔法を使えなくなるんですか?」


講堂が静まり返った。


ガルドは、しばらく少女を見つめていた。


「今回の実験では、そのような結果が生じました」


「……私は」


エルナは、自分の手を握った。


「魔力を増やしてもらえるって聞いたんです」


「ええ」


「なのに、減りました」


「……そうですね」


「だったら」


彼女は、顔を上げた。


「私の魔力は、いつ戻ってくるんですか?」


誰も動かなかった。


ガルドも、すぐには答えなかった。


やがて。


「現在、回復方法を研究しています」


静かに答えた。


「……いつですか?」


「申し訳ありません。今は、明確なお約束ができません」


エルナは、俯いた。


「……そうですか」


ガルドは、少女を見つめた。


そして。


「ですが、必ず方法を探します」


「…………」


「私は、この研究を完成させたいのです」


その言葉に。


エルナは、顔を上げた。


「……私の魔力を戻すために?」


ガルドは答えた。


「それも、研究を続ける理由の一つです」


少女は、何も言わなかった。


◇


「……皆さん」


ガルドは、再び客席へ向き直った。


「今回、私たちの研究によって被害を受けた方々がいます」


男は、深く頭を下げた。


「まず、そのことをお詫びします」


講堂は静かだった。


「そして、被害を受けた方々については、今後も調査と回復のための研究を続けます」


ガルドは、顔を上げた。


「ただし」


その声が、少しだけ強くなった。


「私は、魔力を持たない人々が魔法を使えるようになる未来を、諦めるつもりはありません」


ざわめきが起きた。


「研究を止めるべきだという意見があることも、理解しています」


彼は続けた。


「ですが、研究を止めれば、今まで魔法を使えなかった人々は、これからも使えないままです」


「…………」


「それを、仕方のないことだと言ってよいのでしょうか?」


講堂の後方。


オスカー・ベルンハルトは、静かに目を閉じた。


昔。


自分も、同じことを言った。


同じ言葉を。


同じ研究室で。


そして。


同じ男に向かって。


◇


「……ですが!」


ガルドは、声を張った。


「私たちの研究には、一つ大きな問題がありました」


黒板に、文字を書く。


『供給源』


「魔力を外部から与える以上、どこかから魔力を用意する必要があります」


彼は、一つの小さな魔法石を取り出した。


「魔法石でも構いません。しかし、魔法石には限りがあります」


そして。


もう一つ。


透明な容器を取り出した。


「こちらをご覧ください」


容器には、二つの小さな魔法陣が刻まれていた。


「これは、私が昨日調整した術式を応用したものです」


フィオナが身を乗り出した。


「……昨日の?」


ガルドは頷いた。


「ええ。王都で起きた魔力異常を抑えるために使用した技術です」


彼は、容器へ手をかざした。


小さな光が生まれる。


光は、一方の魔法陣から、もう一方へと移動した。


「……つまり」


フィオナが呟いた。


「魔力を、別の場所へ送っている……」


「その通りです」


ガルドは微笑んだ。


「では、これを人間に応用するとどうなるでしょう?」


一瞬、講堂が静かになった。


そして。


「……あの」


フィオナが手を挙げた。


「はい」


「その装置、魔力の供給先を変えられるんですか?」


「もちろんです」


「……でも、どうやって?」


ガルドは、楽しそうに笑った。


「よい質問ですね」


そして、黒板に複雑な術式を書き始めた。


◇


十分後。


「…………」


フィオナは、黒板を見つめていた。


その隣で。


エリザベートも、黒板を見つめていた。


「……フィオナ」


「はい?」


「分かった?」


「……半分くらいです」


「まあ!」


エリザベートは目を輝かせた。


「すごいわ!」


「……え?」


「私、一つも分からなかったもの!」


フィオナは、少し困ったように笑った。


そのとき。


ガルドが振り返った。


「……では、ここまでで質問はありますか?」


エリザベートが手を挙げた。


「はい、エリザベート様」


「その装置、とっても便利なのね!」


「ありがとうございます」


「でも、どうして人間に魔力を送るの?」


ガルドは、少し不思議そうに尋ねた。


「……どういう意味でしょう?」


「だって、魔法装置に送ればいいじゃない!」


「…………」


「私、魔法装置を作っているの!」


少女は、嬉しそうに続けた。


「人間に魔力を入れなくても、装置が魔法を使ってくれたら便利でしょう?」


ガルドは、少し考えた。


そして。


「確かに、それも一つの方法です」


「でしょう!」


「ですが、それでは使用できる魔法が装置の機能に制限されてしまいます」


「……そうなの?」


「ええ。私は、人間自身が自由に魔法を扱えるようにしたいのです」


エリザベートは、しばらく考えた。


そして。


「……なるほど!」


満足そうに頷いた。


「あなたは、人間を魔法装置みたいにしたいのね!」


講堂が静まり返った。


◇


「……お嬢様」


隣のクラリスが、小声で呼びかけた。


「なあに?」


「少し、言い方が……」


「……そうなの?」


エリザベートは首を傾げた。


そのとき。


ガルドが笑った。


「……実に面白い表現ですね」


「そうでしょう!」


「ええ」


男は頷いた。


「確かに、人間の身体には魔力を扱うための回路があります」


黒板に、新しい図を書く。


「それを外部の装置と接続できれば、人間自身が魔法を使うための仕組みになります」


フィオナが、思わず声を上げた。


「……それって!」


ガルドが振り返る。


「何でしょう?」


「つまり、魔力が少なくても、術式を理解している人なら……」


「ええ」


男は頷いた。


「自分の意思で魔法を発動させられる可能性があります」


フィオナは、目を見開いた。


「……すごい」


その声は、ほとんど無意識だった。


ガルドは、少女を見た。


そして。


ほんの少しだけ。


嬉しそうに微笑んだ。


◇


「……先生」


今度は、ルークが手を挙げた。


「どうぞ」


「魔力を渡す人が、自分から渡したいって言った場合はどうなるんですか?」


ガルドは頷いた。


「もちろん、可能です」


「じゃあ、本人が納得していれば、問題ないんじゃないですか?」


講堂がざわめいた。


ガルドは、静かに答えた。


「私は、そう考えています」


そのとき。


「……ですが」


セシリアが手を挙げた。


「どうぞ」


「魔力を渡す人が、あとから返してほしいと言った場合は?」


「……そうですね」


ガルドは、少し考えた。


「その場合は、供給を停止する必要があります」


「では、すでに使われてしまった魔力は?」


「…………」


男は、黙った。


セシリアは続けた。


「例えば、誰かを治療するために使われた魔力を、あとから返すことはできませんよね?」


「……その通りです」


「だったら」


彼女は、静かに尋ねた。


「渡す人は、何をどこまで失うのか、最初に知らなければいけないのではありませんか?」


ガルドは頷いた。


「……おっしゃる通りです」


「…………」


「研究を進めるうえで、十分に考慮すべき問題ですね」


その返答に、セシリアは小さく頭を下げた。


「ありがとうございます」


ガルドも、頭を下げた。


二人のやり取りは、それで終わった。


しかし。


講堂の後方で。


オスカーは、静かに顔を上げていた。


◇


午後零時。


説明会が終了した。


生徒たちは、次々と講堂を出ていく。


「……すごかったね!」


フィオナが興奮した様子で話していた。


「私、あんな術式初めて見ました!」


「そうなの!」


エリザベートが頷く。


「私もよ!」


「……でも」


フィオナは、少し考えた。


「私が作りたいものとは、ちょっと違うかもしれません」


「どうして?」


「私、魔法を使えない人でも便利に暮らせる装置を作りたいんです」


「……そうなの?」


「はい」


「私は、何でもできる装置よ!」


「……そうでしたね」


二人は笑い合った。


そのとき。


「……フィオナさん」


背後から声がした。


ガルドだった。


「……あっ!」


フィオナは、慌てて姿勢を正した。


「ガルド先生!」


男は、穏やかに微笑んだ。


「先ほどは、よい質問をありがとう」


「……いえ!」


「君は、魔法工学を学んでいるのかな?」


「はい!」


「そうか」


ガルドは、少し考えた。


そして。


「もし興味があれば、研究会館へ来てみないかい?」


フィオナは、目を丸くした。


「……え?」


「君のように、自分で考えて質問できる学生は貴重だ」


「…………」


「もちろん、見学だけでも構わない」


フィオナは、何も言えなかった。


憧れていた研究施設。


そこで働く研究者。


その本人から、直接声をかけられている。


「……私が?」


「ええ」


ガルドは微笑んだ。


「君なら、面白い研究ができると思うよ」


フィオナの顔が、ぱっと明るくなった。


「……ありがとうございます!」


◇


「まあ!」


エリザベートが、嬉しそうに声を上げた。


「よかったじゃない!」


「はい!」


フィオナは、笑った。


「……本当に、嬉しいです!」


エリザベートは、ガルドへ向き直った。


「ねえ!」


「何でしょう?」


「私も行っていい?」


ガルドは、少し驚いた。


「……エリザベート様も?」


「ええ!」


少女は胸を張った。


「私も魔法装置を作っているもの!」


「……そうでしたね」


「だから、見学したいわ!」


ガルドは、微笑んだ。


「もちろんです」


「まあ!」


エリザベートは喜んだ。


「では、今度みんなで行きましょう!」


フィオナも、嬉しそうに頷いた。


その様子を。


ガルドは、静かに見つめていた。


◇


同日、午後一時。


学院の中庭。


ノエルは、一人でベンチに座っていた。


その手には、説明会で配られた資料がある。


『外部魔力供給技術』


『人体魔力回路への応用』


『魔力適性によらない術式発動』


どの項目にも、知らないことが書かれていた。


しかし。


一つだけ。


理解できることがあった。


この研究が完成すれば。


自分のような人間でも、魔法を使えるかもしれない。


「……ノエル」


声がした。


振り返る。


オスカーだった。


「……父さん」


少年は、資料を閉じた。


「説明会、聞いてた?」


「……ああ」


「どうだった?」


オスカーは、しばらく黙っていた。


そして。


「……危険な研究だ」


静かに答えた。


ノエルは、俯いた。


「……そうだよね」


「…………」


「でも」


少年は、顔を上げた。


「僕、すごいと思った」


オスカーは答えなかった。


ノエルは続けた。


「今まで、魔法を使える人が羨ましかった」


「……ああ」


「でも、どうしようもないって思ってた」


「…………」


「だから、学院に入れるようになったとき、嬉しかったんだ」


オスカーは、ゆっくりと目を閉じた。


ノエルは、小さく笑った。


「魔法が使えなくても、ここなら勉強できるから」


「……そうか」


「うん」


少年は、資料を見つめた。


そして。


「……でも」


小さく呟いた。


「やっぱり、使ってみたいんだ」


◇


オスカーは、息子を見つめていた。


「……ノエル」


「何?」


「……魔法を使えなくても」


老人は、言葉を探した。


「君には、できることがある」


ノエルは頷いた。


「……知ってるよ」


「…………」


「学院に入ってから、ずっと教えてもらってる」


「……そうか」


「うん」


ノエルは、少しだけ笑った。


「でも、父さん」


「……何だ?」


「できることがあるのと、やりたいことができるのは、違うよね」


オスカーは、答えられなかった。


少年は、立ち上がった。


「……僕、戻るね」


「……ああ」


「午後の授業があるから」


ノエルは、歩き出した。


その背中を。


オスカーは、ただ見送っていた。


◇


同日、午後三時。


王都中央研究会館。


「……お疲れ様でした」


助手が、ガルドへ声をかけた。


「……ありがとう」


男は、講義の資料を整理していた。


「生徒たちの反応は、いかがでしたか?」


「……そうだね」


ガルドは、少し考えた。


「予想以上によかったよ」


「それは何よりです!」


「研究に興味を持ってくれた学生もいた」


「……素晴らしいですね」


ガルドは、静かに微笑んだ。


そのとき。


助手が、一枚の書類を差し出した。


「……それと、こちらですが」


「何だい?」


「本日の説明会について、学院側から報告書が届いております」


ガルドは、書類を受け取った。


そこには、説明会の内容と生徒からの質問が記録されていた。


そして。


最後に。


『今後の研究協力については、学院の安全基準に基づき判断する』


という一文があった。


ガルドは、しばらくそれを見つめた。


「……なるほど」


小さく呟いた。


そして。


「……まあ、そうだろうね」


書類を机へ置いた。


助手は、少し心配そうに尋ねた。


「……問題がありますか?」


「いや」


ガルドは、静かに答えた。


「当然の判断だ」


しかし。


その表情は、どこか寂しそうだった。


◇


その日の夕方。


アルヴェイン公爵邸。


「セバスチャン!」


「はい、お嬢様」


「今日、とっても面白い授業を聞いたの!」


エリザベートは、嬉しそうに話し始めた。


ガルドの研究。


魔力を外から供給する装置。


魔法を使えない人でも、魔法を発動できる可能性。


老執事は、静かに聞いていた。


「……なるほど」


「すごいでしょう!」


「まことに、興味深い研究でございますね」


「ええ!」


エリザベートは、満足そうに頷いた。


そして。


「……でも」


首を傾げた。


「私、よく分からないことがあるの」


「何でございましょう?」


「ガルド先生は、どうしてそんなに魔法を使えるようにしたいのかしら?」


セバスチャンは、少し考えた。


「……さまざまな理由が考えられます」


「そうなの?」


「はい」


「ふうん」


エリザベートは、しばらく黙っていた。


そして。


「……私なら」


小さく呟いた。


「魔法が使えるようになったら、誰かに見せたくなるわ!」


「……左様でございますか」


「ええ!」


少女は、嬉しそうに笑った。


「だって、頑張ってできるようになったことなら、褒めてもらいたいじゃない!」


セバスチャンは、静かに微笑んだ。


「まことに、その通りでございます」


「でしょう!」


少女は、満足そうに頷いた。


そして。


「私も、次の試験でいい点数を取ったら、みんなに見せるわ!」


「楽しみにしております」


「ええ!」


エリザベートは、嬉しそうに笑った。


◇


同じ頃。


王都中央研究会館。


ガルドは、研究室で一人、講義の記録を読み返していた。


魔力。


才能。


外部供給。


術式。


そして。


一人の少女の言葉。


『私なら、魔法装置に送ればいいと思うわ!』


男は、しばらくその文章を見つめていた。


そして。


「……そうだね」


小さく呟いた。


「それも、正しい」


机の上には、何十年もかけて書き上げた研究記録が並んでいる。


どれも、簡単に完成したものではない。


何度も失敗した。


何度も計算し直した。


それでも、続けてきた。


ガルドは、一冊の研究記録を手に取った。


その表紙には、古い文字でこう書かれていた。


『魔力を持たない者への魔法の付与』


男は、静かに頁を開いた。


そして。


「……あと少しなんだ」


小さく呟いた。


「本当に、あと少しで……」


そのとき。


研究室の扉が叩かれた。


「……失礼します」


助手だった。


「どうした?」


「……学院から、見学希望者の名簿が届きました」


「……そうか」


ガルドは、資料を受け取った。


そこには、何人もの生徒の名前が記されていた。


魔力の多い者。


少ない者。


そして、ほとんど持たない者。


その中には、フィオナの名前もあった。


ガルドは、少しだけ笑った。


「……なるほど」


そして。


名簿の最後。


一人の名前を見つけた。


『ノエル・ベルンハルト』


男は、しばらくその文字を見つめていた。


「…………」


やがて。


静かに頁を閉じた。


「……オスカー」


小さく呟く。


「君の息子は、君が思っているより、ずっと魔法が好きみたいだよ」


窓の外。


王立魔法学院の尖塔が、夕陽に照らされていた。


その光を見つめながら。


ガルドは、ゆっくりと微笑んだ。


――第九十七話・完

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