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ギルティなギルロッテ様  作者: 月迎 百
過去の罪とこれからの私達
33/34

33 過去の責任は私達にはない

異世界ですが魔法はなく、何となく文化的な発展度とかイギリスのヴィクトリア時代後期をイメージして書いています。

恋愛&ちょこっとミステリーな話になりました。

最後までお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 シャルロッテが微笑みを絶やさずに話を続ける。

「私達は同時期に別々に調べ始めていたのですが、すぐに同じことを調べているのではと気づきました。

 私はエドワードの友人としてこのことが悪用されるのを恐れて、彼を説得して、お互いにわかっていることを突き合わせてみたんです」


 陛下が笑う。

「悪用するか……。

 シャルロッテが私を脅かしたのは悪用じゃないのか?」

「それはいいんです。

 過去の責任を、本人には全く関係ない責任を負わされているエドワードを自由にするためにしたことですから」


 シャルロッテはアスランをじっと見た。

「そして、アーサー王子がグリース公国でアスラン氏と名乗っていること。

 恋愛結婚だったはずのヘンリー王子とエリザ妃がすんなり離婚して、まるで追いかけるようにグリース公国へ、エドワードを置き去りにして行ってしまったこと……」


「置き去りにしたわけじゃない!!

 王家の子で、王になる血筋の子だから仕方なく!!

 断腸の思いで離れたのです!」


「ヘンリー王子に王になるために協力したと恩に着せて、いや、もしかしてこのことを使って脅かしたのかもしれませんが……、エドワードをできるだけ長く王室に、仮とはいえ王位継承者1位に留めるようにお願いをしたのはあなたでしょう……」


「ヘンリー! 黙らせて!」

 エリザがヘンリーに懇願と命令が混じった口調で言う。


 シャルロッテは黙らない。


「自分達で王位を捨てて、嘘をついて、騙して、逃げたのに……。

 エドワードには王位を取らせようと望むなんて……。

 自分達は愛を選んだのに、息子には愛より王位を押し付けるのですか!

 本当に……、勝手ですね……」


「そしてエドワードが選んだ女性を認めないと傷つけるなんて!」

 アンドリューも憤慨したように言った。


 エリザは投げやりな態度で言い返してきた。

「さっき、エドワードとした話を聞いていたでしょう?

 もう、あのリアーナとかいう平民の元メイドのことは認めたし、王位のこともあきらめたわ」


「……本当ですね。

 リアーナに手を出したら、私達は黙っていませんから……。

 陛下もいいですね、証人ですよ!」

「ああ、わかった。

 そしてエリザ、アスラン。

 私の王子と王女にも手を出さないでもらいたい。

 王妃と子ども達は私の大切な家族だ。

 もう君達との友情……、私は友情や愛情だと思っていたが、君達にとって私は言うことを聞く弟で手下だったことにようやく気がついたよ。

 ここで過去とは決別しよう。

 私達の過去の責任を子ども達に負わせることはない」


「ヘンリー、手を出すなんて、お前はそんな風に……」

 アスランが顔をしかめて言いかけるが、その先の言葉が見つからない様子だ。


「兄様……。私の兄様は死んだんだ。

 とっくの昔にね。

 私の知っている兄様は……、いや、私はきちんと見ていなかったな……。

 シャルロッテ、母上のことは本当に申し訳ない……」


「……母には父がいましたし。

 でも、自分には何も関係がないことで降りかかってくる悪意のある噂ほど、跳ねのけるのが難しく、傷つくものはありませんから……」


「母上? 噂?」

 アスランがシャルロッテとヘンリー国王を交互に見て掠れた声を出す。


「……彼女の母親はヴィクトリアだよ。

 君達が……、ただエリザと同じ髪色で背格好が似ているというだけで、アーサーの内緒の恋人だと噂にして、傷つけたヴィクトリアだ」


「ヴィクトリア?!」

 カトリーヌが椅子から立ち上がる。


「私じゃないわ!」

 エリザが首を振ってアスランを見る。

「私は何もしていない!

 カタリナが言い出したのよ!」


「エリザ!

 あなたが目くらましのための生贄が必要って言い出したのよ!

 私のせいにするなんて、ひどいわ!

 本当よ、アーサー!

 エリザがヴィクトリアを選んで、噂にしたの!」

「カタリナだって、ヒューバート伯爵家を狙っていたのでしょう!

 だからヴィクトリアが邪魔だって!」


「あの噂は……、わざと作られたもの?

 エリザ、君は見間違えられて、自然に発生した噂だと……」

 アスランが驚愕の表情でエリザを見る。


「ひどい噂を流されて、母は傷つき、父は母を守るために結婚し、伯爵領で私を産みました。

 それでも噂は消えず、私のこともアーサー王子の子ではないかとすら噂があったのを御存じ?」


「それは、私達じゃないわ……」

 カトリーヌが震える声で言い、「カタリナ、黙って!」とエリザに言われる。


「認めましたね。

 最初の噂はあなた方が流したということを」

 アンドリューがぼそっと、しかし静かな場にその言葉は良く響いた。


「ヴィクトリアは、今、どうして?」

 アスランがシャルロッテに震える声で聞いた。


「もう、亡くなっています。

 私が幼い時に。

 心中事件の後、バイエルン王国王女に非難の目が向かないように、何故か、あなた方を心中に追い込んだのは母だという噂が流されたそうです」


「それは、知らない。

 本当に知らない!」

 カトリーヌがエリザを見る。


 エリザが顔面蒼白になっている。

「ヴィクトリアが死んだ?」


「やっぱり、知らなかったのですね。

 あなた方は真実の愛を貫いたと言うのかもしれないけれど……。

 そのせいで、不当に傷つけられた者がいて、苦しんで、命を落とした者もいる。

 母だけじゃないですよね……。

 自分達の幸せのためなら、人を利用して傷つけても大丈夫と思ったんですかね……」


「なんてことを……」

 アスランが呻いて、首を振った。


「過去の責任は私達にはありません。

 あなた方が責任を取って、どうぞ生きていって下さい。

 私達は許しませんから」

読んで下さりありがとうございます。

次が最終話です!

エドワードは王室からは抜けられたけど、王家の血を引く公爵家なので王位継承順が下がっただけで、エリザがエドワードの継承順位を上げるためにヘンリー王の子ども達に何かするんじゃないかという恐れがあるっちゃあります。

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