20 仕掛けられてる?
異世界ですが魔法はなく、何となくイギリスのヴィクトリア時代後期の世界観で書いています。
恋愛&ちょこっとミステリーな話になればいいなと思います。
お付き合いいただけたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
ローエングリン公爵家のお茶会当日。
ルーベルトもエドワードは白シャツに黒のズボンと青いタイ、シャルロッテは黒のサマードレス、リアーナは夏のメイド服。
ルーベルトの上司であるマイヤー副局長とその部下も招かれていて、気をつけていてくれることになっている。
ローエングリン公爵と長男のトーマス、その婚約者であるヴァージニアに挨拶をして席に案内される。
変に席を離されることもなくほっとした様子。
リアーナはシャルロッテの背後に待機する。
室内でのお茶会のため、席は決められていて、歳が近いからか、エミリアとロザリーとアンドリューが同じテーブルにいた。
エミリアとロザリーは今までのことがなかったかのようにルーベルトとエドワードに馴れ馴れしく話しかけてくる。
ルーベルトは『冷酷メガネ』ぶりを発揮し無視、エドワードもいくら話しかけられても適当な返事をするだけで会話にしなかった。
同じテーブルのマイヤー副局長がルーベルトとシャルロッテの婚約のお祝いの声をかけると、同じテーブルの出席者から次々にお祝いの声がかかる。
ルーベルトとシャルロッテは幸せそうな微笑みでその言葉に答えている。
エミリアとロザリー以外は婚約のお祝いを言い終え、妙な沈黙が訪れる。
エミリアが悔しそうに「ご婚約おめでとうございます」と言い、ロザリーも「おめでとうございます」
とだけ慌てて姉に続いて言う。
「「ありがとうございます」」
ルーベルトとシャルロッテは息を揃えてお礼を伝える。
「仲良しだな」
エドワードのひとりごとにテーブルの雰囲気がふわっと緩んだ。
お茶を飲み終わり、後は庭や客間や好きなところでご歓談をということになり、ルーベルト達は庭へ出ることにした。
リアーナもマイヤー副局長達も一緒だ。
庭へ移動中。エドワードがリアーナをエスコートしようとし、リアーナがそれを断った。
エドワードはすぐに引きさがったが、残念そうだった。
ロバートがやってきて、ルーベルトとシャルロッテにお祝いの言葉をかける。
エドワードが警戒するような表情をするが何事もなく、離れて行くロバートの背中を見てほっとする。
「リア? リアがいない?」
シャルロッテの声にぎょっとしてリアーナがいたところを見たエドワードは顔を強張らせる。
「ロバートが来た時だな」
ルーベルトの小さな声にエドワードが頷く。
マイヤー副局長が「エドワードと私が探そう。部下にはこのままシャルロッテ嬢を守るように伝えておく」と迅速に言ってくれ、エドワードとふたりで探し始める。
「二手に分かれた方が」というエドワードを制してマイヤー副局長は言った。
「ひとりにならない方がいい。
何か仕掛けられてるとしたら、狙いは君達をひとりずつにすることだ」
☆ ☆ ☆
リアーナはロバートがシャルロッテとルーベルトに話しかけている時に知らないメイドに話しかけられた。
「申し訳ないけれど、お手伝いをお願いしたいのです……」
「なんでしょうか?」
「ここにお茶と軽食のテーブルを出したいのです。
運ぶのに人手が足りず……」
「わかりました。一緒に参ります」
リアーナはシャルロッテの方を見た。
その周囲がしっかり守られてるのを見て安心すると、話かけてきたメイドと歩き出した。
「ローエングリン家の方ですよね?」
「ええ、時々、このようなイベントの時にお手伝いを頼まれる臨時のメイドですが……」
厨房の勝手口近くに折り畳みができるテーブルがあり、それに近づく。
「あなたは厨房にお茶のワゴンを取りに行って下さらない?」
「はい」
素直に勝手口から厨房に向かうリアーナ。
テーブルのそばにいるメイドに、ロザリーとエミリアが駆け寄り「うまくいったわね!」と褒めて、お金を握らせる。
「このことを他言しないように」とエミリアが言い、ロザリーが「持ち場に戻って!」と言った。
それから、ふたりはリアーナの後を追って屋敷に入っていく。
リアーナは厨房に入り「お茶のワゴンを取りに来ました」と声をかける。
「見かけないメイドだな」
厨房を仕切る給仕に言われて「ここのメイドに手伝って欲しいと言われまして」と伝えると頷かれる。
「それを持って、庭へ戻りな」
お茶のセットとお湯を入れたポットの乗ったワゴンが用意され、それを押して、来た廊下を戻ろうとする。
その時、エミリアとロザリーが勝手口から現れた。
リアーナは息を飲んで立ち止まった。
読んで下さりありがとうございます。
投稿の時間とか特に決めていないのですが、毎日投稿する予定です。
これからもどうぞよろしくお願いします。




