ギブ アンド オーバーテイク
「そうかU店がなぁ…まぁしゃあないな
よし大体わかったわ ありがとうなアタル
こんだけ聞けたら十分や」
「そうですか ほんなら良いんですけど」
「ほんでアタルはこれからどうするんや?」
「そこなんですよね…取り敢えず明日は
N店のモグモグ行こうと思てますけど
皆さんは?」
山村が答えた
「俺は帰ってくる途中に見つけたK店かQ店見に行ってからやなカオルは?」
続いてカオル
「んー?俺はG店見に帰ってからしかわからんわーひょっとしたら洋ちゃんと組みかもなー」
「まぁそやな カズヤは地元帰ってW店やろ?
あの悪の巣窟みたいな」
「何でやあれでも結構エエ店やねんど
せやけど この前久しぶりに地元の奴に連絡したらW店のコンドル裏なった言うとったわ」
「やっぱり悪の巣窟やんけ!すぐ裏モンにするのがその証拠や!」
「ハハハ流石やなーあの店で普通に勝ててるのってカズさんだけちゃうのー?」
「そんな事無いやろパチンコには何人か本職入ってるし…スロットは……裏で勝ってる奴がおるようなおらんような…」
「いやあのコンチとアラⅡは無理やろ…
波荒すぎるしカマ掘ろうにも常連キツ過ぎて
一般の客入れんやろ」
「まぁそうかもの…ヒラの客入って出したら
すぐ絡みよるからの」
「あと3年チョイでノストラダムスの予言がホンマに来たら1番に無くなるのはあの店や!間違い無いわ」
「そんなモン来るけ!世界滅亡言うてんのに
ピンポイントでW店だけとかおかしやんけ!」
その話を聞きアタルが尋ねた
「ほんならカズヤさんだけ何も決まって無いっていう事ですか?」
「ん?まぁそやの」
それを聞き少し考え込む
(どないしよ……ここ迄の話聞く限り信用出来る人やと思うんやけど……でも………
…断られるかもしれんし…一応聞くだけ聞いてみよか…)
その様子を見てカズヤがアタルに尋ねた
「どないしたんや…何か言いたい事あるんやろ?言うてみぃや」
「そうですね…ほんなら一応聞くだけ聞いて下さい」
「おぅ」
心を決めたアタルは事情を話し出す
「実は今困ってます」
「ほぉー…そんで?」
「ある店の設定変更のクセを見つけました
勿論上げか下げかはわかりません
でも台数はかなり絞れます
それからコンドルの設定6を3分の1で取れる店も見つけました」
(モグモグやけど中身はほぼ一緒やからな)
「はぁ?ほんなら何を困る事あんねや?
朝から打ちに行ったらエエやんけ」
思わず聞き返すカズヤ
他の2人は何も言わない
「無理なんです…ある事情で朝から行くのは
だからカズヤさんに提案があります」
「…何や?」
「コンドルの設定6を3分の1で取れる……
いやカズヤさんやったらほぼ確実に毎日設定6を取れる方法を教えます…その代わり」
「代わりに?」
「…代わりに…設定変更のクセがあった台を夕方来た自分に教えて下さい……お願いします……」
「エエで」
「…は?」
(…は?)
「だからやる言うてるやんけ」
「は、早ないですか?決めるの?」
「いやそらやるやろ…まぁ多少の条件はあるけどや」
「な、何ですか?」
(無茶は言わんと思うけど…)
「悪いけどこんだけは譲れん事がある
まず何で朝から行けへんのか聞かんと無理や
勿論アタルの事、信用してるつもりやで?
せやけどや これ金掛かってんねん
わかるわの?」
「あ それはわかります大丈夫です」
(そら当たり前や 不確かなモンに金出せんわ)
すると頷いたカズヤが続けて言う
「そうか ほんなら後はアタルにもエエ話や
次は取り分や2:1でどや?俺が2アタル1や
アタルは半日しか打てんのやろ?」
「え⁉︎それって組みにするって事ですか?」
「はぁ?当たり前やんけ……お前まさか……
コンドルの情報だけ渡してそれで変更台教えて貰うつもりやったんけ⁉︎」
「え…はい…」
「アホけ⁉︎日当高過ぎや!!
アタル…お前遠慮し過ぎや……あのな…
確かに俺らはお前より年上や
でもの?パチンコ屋では関係無いやろ?
一人ひとりが自己責任でやっとるんや
わかるやろ?」
ここで初めて山村が口を挟んだ
「カズヤ…アタルもそれはわかってんねん
ただコイツにはちょっと特別な事情があるんや…アタル先に説明したれ
どうせ組み打ちするんやからエエやろ」
「あ…わかりました」
(あーそうか説明してなかったらわかりにくいもんな)
そして人生三度目となる事情を説明する
そしてそれを聞きニヤニヤした顔でカズヤを見る2人
どうやらカズヤがアタルの事情を聞きどんな顔をするかが楽しみなようだ
そしてカズヤは…
「はぁ!?お前…ち、中1!?」
「そいつ耳付いてんのけ?」
「ほぉー…今度レスリング教えたるわ」
「やるやんけ」
「そうか…前も言うとったの…」
「ジィさんはどこの家でもやの…」
「…そうやわのぅ…」
と普段あまり変えない表情をコロコロと変え
相槌を打ちながら話を聞いていた
「なるほどの…そら遠慮するわ
せやけどアタルやったらまずバレんやろ
ハッキリ言うて攻略連れて行っても大丈夫や思うで」
「ハハハそれ遠征行った先の同業の人にも言われました こんな若い子初めてや言うて」
「ハッハッハ言うとったな
こんな徹底した若い子初めて見た言うてな
確か赤いシャツ着た東の奴や
思い出したわハッハッハ」
「えー何それ洋ちゃん 俺聞いて無いでー
教えてーやー」
「そやったか?いや実はな……」
(あっ…また余計な事言うてしもた…要らん話が広まって……まぁエエかカオルさんやし)
そんな風に考えているとカズヤが話を進め出した
「よっしゃ 事情も聞いたし納得出来たわ
ほなどうする明日からでエエけ?」
「あっそうですね明日行ってみて確認してみませんか?ほんで取れたら店の休み明けからお願いしたいんですけど」
それを聞き頷くカズヤ
「おぅそやの ホナそうしよけ…あっそや
ほんなら暫く洋次の家でも泊めてもらおかの」
「あ?別にエエけど…どうせやったらココ泊まれや話し合いもし易いやろ?」
「せやの…アタルはどや?」
「あ全然大丈夫ですよ どうぞ泊まって下さい
テレビは無いですけど」
「そうか ホナいつまでおるかわからんけど
世話なるわスマンの テレビは大丈夫や普段から殆ど見てへんから」
それを聞いたカオルが言う
「えー…2人共おかしいわーテレビ見いひんとか…俺なんか遠征中も見たあて堪らんかったのにー」
すかさず山村が突っ込む
「お前はバラ珍見たいだけやろ!泣くのわかって見て何がオモロいねん…」
「ちゃうってーあれは感動して泣かんとこうと思ても泣いてまうんやってーわからんかなー」
ここでアタルが思い出しカオルに告げた
「あっそうや バラ珍年末のスペシャルも録ったんでちょっとビデオ多なってますから
上書きで消さんように注意して下さいね
一応タイトルに書いときま」
アタルの言葉を遮りカオルが騒ぎ出す
「えー!?年末スペシャルなんかあったんやー!!ありがとーアタルー!!洋ちゃん帰ろ!お邪魔やしすぐ帰ろ!!」
「はぁ!?お前ビデオ見たいだけやろ!
1人で帰れや!」
「無理やってー!原付ガソリン無いしカズさんの車に積みっぱなしやんかー!」
「ハァー……わかった わかった…
カズヤちょっとカオル送ってくるわ車のキー貸してくれ…」
「ほれ」
そう言ってハイエースのキーを渡す
すぐに靴を履き部屋を出て行くカオル
「ほんならアタルありがとうな!またお礼するから!よいお年をー!」
それを追いかける山村
「アホか!それは年末に言うセリフじゃ!
1人やったら帰られへんやろ待てカオル!」
慌ただしく出て行く2人
そして部屋に取り残されたような2人
カズヤがアタルに語り掛ける
「…あれがテレビ依存症や…
あんな大人なったらアカンど…」
返事をするアタル
「…ホンマですね…」
あんな大人になってはいけない…
カズヤにそう言われた時
時計の針は0時を越え日付は変わって15日
成人の日を迎えていた




