広がる波紋
暫くの間18時投稿となります
「ハットトリックA…」
ホッとした表情で攻略本に向き合い
深夜 アパートの部屋で1人呟いた
本屋での衝撃の出会いから
その攻略本を購入し一旦アパートに帰り
先に用事を済ませてからにしようと
着替えてすぐに家を出た
しかし…
スーパーで買い物をしている時も
N店でモグラ退治をしている時も
部屋に置いて来たあの本の中身が気になり
集中出来ないでいた
そのため実践終了後は急いで家に帰り
帰宅してすぐに本を開いた
その結果 コンドルやニューパルといった
主要機種では無かった為に安心していたのだ
(いや……でも時間の問題や
これを読む限り理論はもう完成してる
後は他の機種に当てはめるだけやからな…
これだけ大々的に出たんや
おそらく近いうちに……)
手入れ式設定判別打法
4号機に長く通用し
その後も様々な形で応用されるその打法によって所謂[勝てるパチスロ]が一般的にも
徐々に広まって行くことになった
本日の収支
総投資16000円
回収9000円トータルマイナス7000円
????回転 BIG13回 REG13回 691枚
(全然集中出来んかった…モグラのアホ!)
9月8日 金曜日
ガラガラッ
「いやー申し訳ない、学校にこんな立派な
冷蔵庫あるって知らんかったもんやから
材料家に取りに帰ってましたスンマセンなぁ
宮津先生」
「わかったから 早よ座りなさい
今説明してるとこやから」
家庭科の先生が作り方の説明をする間
席に座りキョロキョロと実習室内を見渡す
(ほー…立派なモンやなぁ
こんな滅多に使わん教室やのに
机ごとにコンロもあるし
前にはデッカい業務用の冷蔵庫もあるしな
あれ高いやろなぁー
学校やから定価で買うてるやろうし
多分…150万は取れるやろ
業者も美味しい仕事やったやろなぁ
払いの値切りも遅れも心配も無いし…)
ボーッとそんな事を考えていると
説明が終わりいよいよ調理開始となった
(おっほんならやろか…って言うても
とりあえず材料の説明だけしたら大丈夫やろ
女の子2人もおるしな 俺は食後のデザートでも…いやスイーツか……いやこの時代やからやっぱりデザートやな…ややこしいねん!)
とりあえず班の3人に話し掛ける……が例によって名前が出てこないアタル
(あー…まぁエエわ聞いたら)
「えーと非常に申し訳ないねんけど
皆んな名前なんやったっけ?
人の名前覚えるの苦手でな 悪いねんけど
名字だけ教えて貰えんかな?」
それを聞き少し固まる3人だったが
改めて自己紹介する事に
まずは昨日話し掛けて来た隣の席の女の子
皆恐る恐る話し出す
「さ、佐藤です バレー部です」
(いや別に部活は言わんでエエねんけど…
ショートカットが佐藤さんな)
次に佐藤さんの前の席の女の子
「戸部です!り、陸上部です!お願いします!」
(いや部活言う流れなってもうたやん…
ほんでめっちゃ緊張してるし…
ロングヘアーの戸部さんな)
最後はアタルの前の席の男の子
「ま、ま、前山です…部活はた、たく、卓球部です」
(何で男が一番緊張してんねん……
男が前山君な…一応自分も言おか)
何故か流れで自分も自己紹介すること
「一応俺もするわな
神崎です 色々あって部活はやってないけど
頼むわな」
(別にこの子らに何かした訳ちゃうから
謝るのも変やし…難しいもんやな)
「ほんならこれ材料やから それからこれが
レシートとお釣りな一応確認してくれるか?
金で揉めるのは嫌やからな」
それを聞きすぐに確認する3人
するとアタルの言葉を意外に思ったのか
佐藤さんが話し出す
「か、神崎君てキッチリしてるんやね…」
「金はホンマに揉めるで……ウチの実家みたいに貧乏なりたなかったら無理な借金は辞めといた方が身の為やでハッハッハ…あら?」
返しを期待したネタ振りも当然の如く不発し
シーンとなる3人
(あっしもた……飲み屋で話すみたいな話題振ってもうた「えっ?実家貧乏なん?」みたいな返し期待したけどアカンか…)
気を取り直しアタルが話題を変更する
「さぁほんならサッサとやろか
バット持ってきてくれた?」
すぐに前山君が反応する
「あっ!こ、これでいいかな?」
ステンレス製のバットを取り出した
「おぉ 完璧や ありがとうな
ちょっと借りるわ」
そう言うとバットに卵を入れ菜箸で解き
砂糖と牛乳を入れ更にかき混ぜた
スプーンを使って味見した後
(よし こんなもんか)
食パン2枚を縦に切り液に浸す
…と、そこまでやったところで
ふと3人を見るとジッとコチラを見ている
(は?何してんの?お好みは?)
思わず声を掛ける
「どないしたん?お好み作らへんの?」
戸部さんが答える
「い、いや何からやったらいいんかなって…
ゴメンなさい!」
(いや前の黒板に大体書いてあるやん…って
あ?材料切って皿やボウルに取り分け、
別のボウルで粉を溶いて…
そんな事したら洗い物増えるやんけ……
料理番組ちゃうねんから
これはアカンやろ……よし…
健全な中学生育成の為にオッチャンが口出し
しよう)
そう決めたアタルは指示を出し始める
「謝らんでエエよ
ほんなら前山君は粉を水で溶いて混ぜよか
女の子2人はキャベツの微塵切りかな
俺は他の材料切るから
それから切ったらそのままでエエで
いちいち皿とかボウルに分けてたら
洗い物増えるからな わかった?」
「う、うん」「わかった!」「は、はい」
そう返事をした3人は言われた作業に掛かる
だが……
「あっ前山君 ダマならんようにしっかり混ぜてな」
「あ、うん わかった」
(まぁこの子は混ぜるだけやから大丈夫やろ
あとの2人は………危なっ!絶対アカン!)
トン………トン………トン
そこにはあのカオル以上に危ない手つきの
2人が真剣な顔でキャベツを刻んでいた
思わず止めるアタル
「ストップ!ストップ!」
「えっ?」「ど、どうしたん?」
「いやこんな事言うのは申し訳ないねんけど…絶対手ぇ切るわ…ネコの手とか教わらんかった?」
「あ…何か言ってた」
「ちょっとオッチャンに貸してみ」
「い、いや同い年やけど…はい」
(あ、つい言うてもうた…同期の子供見てる感覚なんねんよなー…どうしても)
「そ、そうやったな まぁ見といてや
こうやって添えてな こうすんねん」
(ちょっとわかりやすい様にゆっくりやろか)
トントントントントントンザッ…
「こんな感じで包丁を当てる感じで……
どないした?」
佐藤さんが答える
「い、いや神崎君て料理するの?凄い手慣れてるから…」
「まぁ大体毎日やるで 夜に晩飯作るだけやけどな 朝は面倒やしパンや」
戸部さんは驚いて声が大きくなった
「ま、毎日すんの!?何作るの!?」
「え?何って…昨日はイカメンチ作って…
一昨日はイカの生姜焼きやったかな」
(この子は声大きいな…普段は元気な子なんやろな)
「い、イカが好きなん!?イカの生姜焼きってあんまり聞かへんけど普通は豚違うん?」
「いや最近はスルメイカが安いからな
反対に豚肉は最近高いからよお買わんわ
198円はアカン ポリシーに反する」
「そ、そうなんや 大変やね…何かお母さんと話してるみたい…あ、ゴメンなさい!」
「ハハハ謝らんでエエよ
せやで皆んなのお母さんなんかもっと大変なんやで 決められた予算の中から
栄養のバランス考えた美味いメシ作ってるんやからな
その上で掃除して洗濯して旦那の愚痴聞いて
言う事聞かん思春期の子供育ててな
俺やったら絶対無理やわ 鉄拳制裁で捕まってるなハッハッハ………あら?」
笑いを期待した話をするもまたしても不発し
再びシーンとなる3人
(これもアカンか!?自分の事件をネタにしたのにまだ早かったか…中学生は難しいわ……)
再び気を取り直し作業を促すアタル
「じ、じゃあやってみよか」
「うん」「はい!」
その後何とか材料を切り終わり
前山君のボウルに材料を入れて混ぜ合わせ
フライパンで焼き始めた
暫くすると
綺麗な焦げ目で焼き上がる
そこで一度お好み焼きを皿に乗せ
次にフライパンに卵を割り入れ
すぐに黄身を潰してからお好み焼きを乗せる
少し焼いてからひっくり返して
ソースと青海苔に鰹節を掛けて完成
すぐに4つに切り分けようとすると
佐藤さんから待ったがかかった
「切るのはちょっと待って神崎君!先生に
見せてからやないと!」
そう言われ気付いた
「あっそうか これ授業やったな 家で作ってる気なってたわスマンスマン」
思わず笑う3人
「ハハハ ホンマやね ちょっと先生に見せに行ってくるね」
「うちの班が一番早いんちゃう?」
「はよ食べたいわー!」
(おっ 笑てるやん、いつの間にか緊張した様子もせんし ちょっとは進歩あったかな)
先生に見せに行った佐藤さんが帰って来て
いよいよ試食となった
「うわーめっちゃ美味しい」
「ホンマやねフワッとしてるわー」
「店のやつみたいな味する!家のと全然違うもっと食べたい!」
アタルも先程仕込んだモノを焼きながら試食する
「おっやっぱり高い粉とエエ材料使ったら
味出てるな 美味いわ」
(まぁイカエビ卵にダシ粉入りの高い粉と
豚も水もエエ奴やしな)
いち早く食べ終わった戸部さんがアタルに尋ねる
「神崎君 さっきから何してんの?
めっちゃイイ匂いしてるけど…」
「あぁパックで卵買ったから余るやろ?
勿体ないからなデザートやデザート」
(ある意味朝食とも言うけどな)
「デザート!?何作ってんの?」
「フレンチトーストや 皆んなの分あるで
戸部さんは甘いの嫌いか?」
「ううん!めっちゃ好き!夏休み中もアイスばっかり食べてたわー!」
「そ、そうか ほんなら皿に付いたソース拭いといてな味混ざるから」
(この子よぉ喋るわー…あと声デカい)
「わかった!」
すぐにティッシュで入念に紙皿を拭き始める
(いやそんな入念に拭かんでも…まぁエエけど…)
すぐに焼き上がりそのまま皿に乗せて行く
「先に女の子2人で食べや2枚づつしか焼けんからな」
「わかった!」「ありがとう神崎君」
そう言って自分と前山君の分を焼き始めると
すぐに女の子2人からの感想が返って来た
「甘い!柔らかい!トロッとして美味しい!」
「初めて食べたけど美味しいなぁー」
それを聞き
焼き上がった分を前山君に差し出し告げる
「そうか 良かったわ 前山君も食べてや
卵余ったら勿体ないからな」
「うん ありがとう」
自分も食べながら洗い物を終え片付けた後
何気なく皆に聞いた
「ところで余った材料どうする?皆んな何か持って帰るか?野菜と粉と卵は大丈夫やけど部活ある人は生モノはやめとった方がエエと思うでイカエビ豚は俺が持って帰るわ
帰宅部やしな」
佐藤さんが答える
「あ、そうか私は別に何も部活あるし…戸部さんは?」
「私も無理かなー陸上部は外やし野菜も危ないかも…」
最後に前山君が答えた
「僕も持って帰ってもどうしていいかわからんから…」
(な、何やて!君らこのダシ粉入りの高級なメリケン粉が要らんと言うんか⁉︎
家計の大切さをあれだけ説明したというのに
…仕方ないでは自分が)
「そ、そうか ほんなら俺が全部持って帰ろか?」
そう聞くと全員一致で助かると言われた為
アタルが全てを持ち帰る事となり
こうして無事に調理実習は終了
(何とか上手いこといったな…
そこそこのイメージ回復にはなったやろ)
この実習をキッカケにして3人から徐々に
クラス中へと噂が広まって行き
とりあえず怒らせなければ生徒には無害
の人として扱われることになっていった




