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【雨城蝶尾】番外編・ヴェレニケの性格

ペルラと出会ってしばらくたったごろのルノ。

「ヴェレニケ……、ペルラの本を隠しました?」


「? なんて?」


ルノの問いかけに対して、まったく知らないようなそぶりをしてヴェレニケは首を傾げる。


「さっき! ヴェレニケがペルラの教材をそこの本棚の奥に隠しているのは見ました」


「そんなことをするわけがないですわよ。疑うのならば、探ってもらってもいいのよ?」


ルノは一人でヴェレニケの部屋の本棚にかけ寄り、手を伸ばした。


「……あら、ないみたいね」


ルノは、にこりと微笑んだ顔の裏に勝ち誇ったような表情をしたヴェレニケがいるというのを瞬時に感じとった。


「では、わたくしは勉強のつづきをしますから出ていってもらっても?」


無言の圧をかけるヴェレニケであるが、ルノはそれには屈することはなかった。


「魔法で移動させたのも見ました。今度は机の上に移動させたようですね」


ルノは机に向かってかけ寄り、机の上の本をひょいととった。


「それは! わたくしの教材ですのよ。とらないでいただきたいですわ」


「ペルラと名前が……」


どこかヴェレニケから焦りを感じる雰囲気である。


「これはペルラお姉様からお下がりでいただいたものですの! そろそろ帰っていただけるかしら?」


これ以上は食い下がってもあまり意味はなさそうだ。


ともかく、ヴェレニケは危険である、と。


「ごめんなさい。勘違いだったみたいです」


「わかってもらえればいいのよ」


たまにヴェレニケに持ち物を観察してみてもいいかもしれない。


「あの様子では、もしかしたらもっと隠し持っているかもしれないですし……」




__________




「ヴェレニケは、昔からそのような性格をしていたのね」


「しかし、ごまかすのがうまかった……」


最初で時間をひき伸ばしたり、探すことを許したりと、当時十一歳というその歳とは似合わぬほどヴェレニケはごまかすのがうまかった。



「なにより私はルノがそのことについてすぐに気づいたのがすごいと思うわ」


「いや、すぐというわけではないんだ。少なくとも接触して一年以上は経っていたからな」


「それでもペルラさんも親御さんもまだ気づいていないんでしょう? それならばとても早いと思うわ」


「そうか……。でも、それを俺は生かすことができなかったんだよなぁ」


ルノは、ヴェレニケを止めることができなかった。


年齢のせいでもあるが、ルノができたことといえば、とられていたものをそっと元に戻すことくらいだったのだ。


「ヴェレニケは周りから信用が置かれていたのでしょう? ならばしかたがないわよ」


「そうかもな。でも、俺はどうしてもヴェレニケが許せないな」


そうすれば、サントも救えていたのではないか、と。

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