13話 新スキル選別派生
帰りはナルミに付き合い東市場で買い出しをする。
今朝採れた新鮮な薬草や肉があり・ラウルが欲しかった・なめし皮も売っていた。値段も商会より格段に安い。
さすが自給自足の街だ。住人は欲しいものが、あれば大門に常駐する領地役人に口頭出入りの札を受け取り狩りや採取をする。帰りは持ち帰ったものを役人に見せて街に入る。
商人などが、販売目的で大量に採取する時は個別に課税される。この辺りで採れるものは、価値も低く税金は、住民税くらいなものだ。街に住む者は年間一律・銅貨二枚(2000)店持ちは他に店の大きさや内容で、変わり俺達は、年間・銅貨五枚を払っている。街の外は危険も多く市場に並ぶ肉などは、冒険者が取って来たものだ。
市場で欲しい物が、見つからず・ひとり不満な男がいるが、俺達には関係な~い。日常生活品と行商人が、場所を借り売り買いする場所に何十キロもの合金は無く。アイアンは、欲しい量の合金が手に入らず唸っている。
「ダメだ・・ダメだ・・河原に採取に行くぞ。お前達も付き合え」「今からは~」ラウルが、やる気の無い返事をする。
「もうすぐお昼です~」市場で野菜を買い込んだナルミが、アイラの手を引き後ろを歩いている。「装備も武器もない。薬草の処理もしたい」欲しかった薬草は、商会の雑草の四分のいちで買え何より新鮮だ。
「なら明日行くぞ。明日で決まりだ。装備準備するぞ~ラウル」サッサと先を進むアイアン。「お昼は~」ナルミの問にアイアンは、拳を上げ応える。「もちろん食う」
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店に戻るとアレクは、居らずローゼンバーグ家・屋敷メイドのイブが、留守番をしていた。アレクはモーブ男爵家から打ち合わせの連絡が、来て魔道鏡のある屋敷に、迎えに来たセバスと出掛けていた。
セバスと一緒に食材を届けに来て留守番になった・イブが、カルのアザを見て怒る。「小さな子をこんな酷い目に遭わす冒険者など街から追い出すべきです」
ぷんぷん怒るイブのメイド服の裾を引きカルがポソリと言う。「おれ・・小さくない・・十一才になるから」昨日から小さい小さいと言われ気にしているようだ。今朝出がけにクリスが、回復治療をしてくれ。明日には床払い出来き・基礎訓練も初められそうだ。
「イブさん・お茶のコップ洗ってくれて・・道路側の窓もキレイに」「旦那さまが、お帰りまでは、ここで待てと言われています。何もせずジッとするには~慣れてないですから・・」「ありがとう・・流石プロ」
ほめられ照れるイブの顔が、少し険しくなり俺達が、留守中に起きた事を話す。「踊り場から外側の窓を拭いていたら、爺は居るかと男の人に聞かれ留守ですと言うとまた来ると言って・・帰る時・・爺は出しゃばるなと失礼な男ですよ」
思い出し憤慨するイブをなだめラウルが、男の特徴を聞いた。「吊り目の男?髪のてっぺんオレンジ色で、背中に剣背負っていた?」「はい・・若い痩せた男でした」
「ビシャス商会の警備に似た男がいた。さっそく脅して来たか」「子供達をお屋敷で預かりますか?」「いや危険だが、もう少し敵の動きを知りたい。商会の事と合わせて・今夜相談しょう。ナルミ・今日のランチは、なんだい?」歩き回ったせいか腹が、減ってきた。早めだが昼の催促をする。
「はい~イブさんお手伝い・・よろしく」はいとうなずきイブは、テーブルに置いたカゴを厨房に運ぶ。「たまご・ミルクとチーズです」屋敷から定期的に届けられる。食材を見るナルミとイブ。市場で出回らないチーズなどは、屋敷・敷地内の農園で作られているのを分けて貰っている。さすが貴族さまだ。
「ハーブと野菜もある。嬉しい」ナルミが、料理の指示をする傍らでは、ラウルも手伝い・野菜と干し肉のリゾットと揚げイモサラダを食べた。アイアンは物足りないと干し肉をかじっていたが、俺の胃袋には丁度良い量だ。
午後は各々明日の準備に戻り・俺は通りに面した踊り場の簡易テーブルセット(ナルミ作)に座りアイラの水魔道練習(水遊び)に付き合いながら以前干していた薬草を粉にし丸薬を作る。
イブとナルミは、針仕事をしながら過ごし賑やかな声が、聞こえてくる。カルはうるさくて眠れてないだろうな。
時折遠目にこちらを見ていく者が居たが、誰も声を掛ける者は無く、大門詰め所の鐘がなる頃には、水魔道練習で疲れたアイラは、俺の膝に寄り掛かり眠ってしまった。アレクはまだ帰って来ない。
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眩しい夕陽の中・寝ているアイラを抱き上げ店に入ろうと扉を開けた時 後ろから声を掛けられた。
「あの・・」「はい・・」赤子を抱いた年の頃三十位の女が、立っていたが、何も言わず顔を伏せ立ち去って行った。「どうかしたの」麻袋を抱えたラウルが、横に立ち聞いてくるが、俺の方が知りたい。
「声を掛けられたが、何も言わずに行ってしまった」「用があれば、また来るよ。アレクは?」「まだ帰って来ない」
「俺がどうした」声に振り返れば、アレクとセバスが、立っていた。「あっ・・お帰り~ナルミただいまぁ~アレク帰って来たよ」俺の横をすり抜けサッサと店に入って行くラウル。
「お・・お帰り」なぜか?俺を睨むアレク。「んっ?」「んっではない。俺が入れないだろう」「あっ・・すまん」扉が閉まりアイラを抱いた俺は、入り口を塞いでいた。
アレク達に道を譲り後から店に入ろうとする俺の横を今度はアイアンが、俺を押しのけ入って行った。そして閉じた扉の前には、アイラを抱いた俺。
全てを見ていたナルミが、笑いながら扉を開けてくれた。「シアンさん・・間が悪かったですね」「アイラを頼む。道具と薬を店に置いてくるよ」苦笑いする俺に、待っていますとアイラを抱き店に入るナルミ。
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俺が蒼のジャッカルに戻る時には、陽も暮れ暗くなってしまった。外灯や酒場のまばらな明かりの中・店に戻る。
薬茶を買いに来た客が、なかなか腰を上げず時間が、掛かってしまった。「おう・・遅かったな」何時もの席に腰を下ろしワインを受け取る。「妙な客が、来て手間取った」「客?」
「道具を置きに店に戻ってすぐ来た男だが、目に付いた薬茶をくれと言いながら店内を見回し・・景気はどうとか仕入れは何所からとか・・胡散臭い奴だったよ」
「どんな風貌だった?」ラウルが、つまみの皿を置き聞いてくる。「年は四十・冒険者を装っていたが、商人だな。何処かの商会で見ていたかもな」
「商会の嫌がらせですか?仕入れ先を聞いて材料を売らないとか」ナルミが、好物のガレットを皿に取り分けてくれた。
「三人から話は聞いた。どこの商会の偵察か判らんが、いま街で売られている粗悪品の卸し元は、王都のグローリ商会だろう。他の商会も口裏合わせているのか・・それしか入荷出来ないのか?街の粗悪品の出処と流れの調べは、セバスの息子達に任せた」
ローゼン商会の運営は、本店をセバスの兄と息子が、王都にある支店は、弟家族とセバスの息子達が、切り盛りしている。子沢山のセバスは、王都の重臣に娘を秘書として送り司政を学ばせていた。
隣のテーブルでナルミが、昼に買って来た塩を皿に広げ指先で黒い砂粒を寄り分ける。「簡単に選別出来ればいいのに・・あれ」ナルミの指先が淡く光り始めた。「おい・・魔道?」アイアンが驚きアレクが、ナルミに指示を出す。
「ナルミ・・塩に手の平をかざし塩と砂が分れるのをイメージしてみろ」「はい」目を瞑り言われた動作をするナルミ。
皿の混ざり塩が、見る間に白い塩と不純に分れていった。
アレクに言われ驚くナルミのスキルをみた。「・・属性は土・・断捨離から派生?これはナルミ固有のスキルかな・・」「物を寄り分けるスキル・・選別・・」ナルミが呟き皆も頷いているから新スキルの名前は、選別に決まった。
「土魔道ならオレも出来るか・・どれ皿と塩を」アイアンは、さっそく厨房に皿と塩を取りに行き・その後皆で挑戦したが、魔道師のアレクもダメだった。
頭に浮かぶ情景を互いに見れる共感・物を寄り分ける選別どちらもナルミ固有のスキルのようだな。その後は早めに休み明日は久しぶりの外だ。




