1 「夢現の園」
ぴしっ
ーーーーぴしっーー
ーーーーーーーーーぴしっ
”天”に亀裂が走る。
夜空に瞬く星々を遮るように、白線が乱雑に拡散してゆく。
ぴしっーーーーーーぴしっーーーーー
とどまるところを知らず。
尚も、白線は夜空をかけてゆく。
「ふふっ」
その光景に、 ”地” という名の草原に佇む少女はーーーーー笑みをこぼした。
ひたすらに楽しむように。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーバリィン
注ぎ過ぎた水が器から溢れ出るように。限界を迎えたそれは、決壊する。
放り出された欠片たちは瞬舞ののち、恵をもたらすやわらかな音雨となって、緑の地へ降りそそいだ。
ピィィン
地に弾かれるたびに、ピアノの高音の様な音が空間を打ち鳴らしてゆく。騒がしくも、軽やかに。
ピィィンピィンピィピィン ガシャン ピィピィンピィン
それに紛れて。ーーー否。調和には程遠い、重々しい不協和音を撒き散らしてーーーー
ーーーーーー鎧を纏いし者が、その地へと降り立った。
「・・・・・・・・・」
ガシャン、ガシャン・・・ガシャン
その足先は、一人の少女へと向けられていた。
ガシャン、ガシャン、ガシャン
迷いなく、着々と。間を縮めてゆく。
ガシャン、ガシャン
その少女を見据えて
ガシャン・・・・・・
「初めまして。勇ましい鎧を身に纏いし御方っ。」
鎧の者は発さない。それに痺れを切らしたのか、少女は先に口を開いた。
「私の名前はアムですっ!」
臆することなく、少女は自らを証明する。
「存じています。・・・眠り姫」
鎧の者・・・男は少女に応じる。自らの使命とともに
「スモー王国”騎士”ミディ。ーーーあなたを殺すために参上しました」
ーーーーーーー白銀の刃は、抜身から放たれていた。
雌雄を決するには早すぎる暇。首への一太刀。
絶命を免れぬ瞬光の一振りのもと、その空間は崩壊を始める。
ーーーーはずだった。
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大地が駆動し、草原が遠退いてゆく。夜空が”地”へと押し寄せ、果ての大海は”天”より荒降する。
一寸先には闇。歩いる道はなく、およそ人道と呼び難い、目の前の惨状に、光景に、想起するは神のみわざ。
主人に危険が迫るや否や、その世界は本性を見せ始める。
ーーーーここは夢の世界
姫の、眠り見る夢の中でありーーー
現実をも蝕む、”夢現の園”である




