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まったりお散歩?VRMMO珍道中  作者: 苺蜂蜜
四章 月落ち竜啼いて 霜天に満つ
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72話 生き残れ! バトルロワイヤル!


 最近身の回りが忙しく、更新が滞ってしまい申し訳ありませんでした。少し落ち着いて来ましたので、更新を再開していきたいと思います。また、掲示板回は区切りが良いところで入れていければと思います。よろしくお願いします。



 大通りを注目されながら歩き、たどり着いた立派な造りのコロシアム前。ざわざわしている人混みを抜けて受付へ辿り着く。


 周りからの注目を浴びつつ、受付にいたナビと簡単なやり取りをしてから参加者用の入場口へ。控室は個室になっていたのでホッとした。ただでさえフロストリザードマンは目立つのに、ポータル前でアドベルパーティの人とフレンドになっちゃったからなあ。目立つのは覚悟していたけど、いざ数多の目線にさらされるとなると、やっぱり緊張したよ。



 さてと、開始まであまり時間はないけど念のため闘技大会の仕様について再確認しておこう。改めてメニューのお知らせから確認するとこんな感じだ。



* * *


【闘技大会ルール】


・予選は1試合20〜30名のバトルロワイヤル方式。各部門の各グループで数回試合を行い、それぞれ生き残った1名(1パーティ)が本戦に出場可能。ただし試合中、制限時間(1時間)を超えた場合は最も残HPの割合が多い者 (パーティ)を勝者とする。


・本戦はトーナメント方式。基本は相手側を戦闘不能(HP 0または石化などの行動不能状態)にした方が勝ち。しかし制限時間(30分)を超えた場合は、最も残HPの割合が多い方を勝者とする。


・予選、本戦ともに回復系アイテムの利用は不可。回復系スキルは可。


・試合内での負傷及び武具・アイテムの消耗は、試合後に復元される。


・本選、予選の様子は闘技場内で直接見れる他、イベントエリア内のカフェやレストラン内にてスクリーンで閲覧可能(過去の試合も閲覧可)。


・本選の様子については、一定期間公式サイトで公開される。また、一部シーンは公式CMにも使用される。



* * *




 ざっと簡単に見るとこんな感じだ、試合中の負傷や武具・アイテムが試合後に復活するのはありがたいけど、回復系アイテムが使えないのは辛いなぁ。自分は、回復系スキルなんて持ってないから、基本的に状態異常を治したりHPMPの回復をするのは全部アイテム頼りなんだよね。コユキの【舞踏】スキルみたいなバフスキル系のスキルレベルが上がれば回復系アーツも覚えられるらしいんだが、コユキはバフ使うよりは噛みつきの方が好きだしなぁ。まあ、投擲系アイテムとかが禁止されてなくて良かったよ。自分の武器は双短剣なので中距離は投擲と魔法に頼るしかないからね。


 そう思っているとピコンという音と共に、目の前にポップアップが現れた『予選開始時間が来たので部屋の中の簡易ポータルから会場に向かって下さい』と書いてある。いよいよだと緊張しながら部屋の隅にある小さな緑色の簡易イベントポータルに触れる。すると、シュンっと一瞬で視界が切り替わり、あっという間にコロシアムの舞台上に立っていた。



 円形のコロシアム内には、同じく円形の大きな舞台が一つ配置されており、いくつかの遮蔽物がある中、同じグループの参加者らしきプレイヤーが次々に舞台上に転送されていた。舞台が一つということは、ここはインスタンスエリアみたいになっていて他の部門の予選は他エリアで行われているのかな?


 周りを見渡すと舞台の周りの観客席には予選だというのにそこそこ人が入っており、舞台上の各プレイヤーを応援していた。何人かのプレイヤーは手を挙げてその応援に応えている。へぇ、観戦ならカフェのスクリーンで良いかと思っていたけどコロシアムでの直接観戦は、直で声が届けられるという利点もあるのか。それにしても、舞台上のプレイヤーや観戦しているプレイヤーを見るとかなりプレイヤーの種族も多様になったなぁと感じる。


 最近見つかったらしい「ナイオン」は流石にいなかったが、派生種族である「ビーストマン(兎)」や「ダークエルフ」に「リリパット」の人までいた。「リリパット」って、生産系種族だと聞いたけど闘技大会にでるなんて戦闘も上手くやれば結構いけるのかな? あとは、おっ!あれはヒレみたいな耳に尻尾はないけど肌に青い鱗が幾つか付いてる、ということは「マーマン」か! 「ナイオン」程じゃないけど「マーマン」も比較的最近見つかった種族なのに、もう種族転生した人がいるのか? 凄いな!! 掲示板情報だとNPCのマーマンは青系の鱗だって聞いてたけど、あのプレイヤーの人も青い鱗だ。自分の「フロストリザードマン」みたいに白っぽい色は選択出来ないのかな?


 色々見渡していたら、舞台上に新たに現れるプレイヤーは居なくなってきた。これでこのグループは全員か? そう思っていると古風なコロシアムには少し不釣り合いな明るい電子音が「ピンポーン!」と鳴り響く。そして、シンっと静まった会場に響き渡るアナウンス。



「これより闘技大会予選、ソロ部門レベル無制限ランク Bグループ第1試合を始めます。プレイヤーの皆様はルールに則り、正々堂々と全力を出し切って戦いをお楽しみ下さい! それでは〜〜……試合ぃいい…開始ぃいいいい!!」


 最初は普通だったのに後半からなんかプロレスのアナウンスみたいな巻き舌?風のファンキーな開始挨拶だったなとおもわず考えてしまっていたら、既に周囲のプレイヤー達が一斉に動き出していた。呆けてる場合じゃなかった!と反省しつつ、こちらに向かってくる5名ほどのプレイヤーを目に入れて、双短剣を構える。うっわ、目に入っている奴ら以外にも背後にも走ってきている気配を感じるな……。いやはや目立つとは思っていたけど、初っ端からこんなに集中攻撃を受けるとは…。


 しかし、ここは特訓の成果を見せる時!! 先ずはこの後の下準備&突っ込んできているプレイヤー達の勢いを削ぐ!


「【ウォーターレイン】!」


 あからさまな近接装備に加え、種族特性として知力とMPの低いリザードマンである自分がいきなり魔法アーツを使用したことに周りのプレイヤーは一瞬たじろぎ、幾人かは狙い通り足を止めた。しかし、他のプレイヤーは雨を背に受けたまま足を止めずに突っ込んでくる。斜め前から走ってきたプレイヤーが振りかぶってきた剣ををしゃがみこんで避けつつ、地面に片手をつけて追加のアーツを発動する。ここからが本番だ!


 さて、ここで自分が何をしようとしているか簡単に心の中で解説しよう。先ずは【水魔法】の範囲魔法でおなじみ【ウォーターレイン】。こちらは、周囲への牽制と共に、次の魔法とのコンボのための布石である。そう、魔法コンボ! これぞ特訓の成果その1! これは源三郎さん達忍者の方々から教えてもらったのだが、どうやら一部のアーツ、特に魔法系アーツが及ぼす地形効果などは一定時間はそのままになるらしい。【火魔法】を放った後の草地が暫く燃えていたり、【水魔法】を放った地面がぬかるんでいたりという感じ。


 その事を応用して、前のアーツによる影響が残っている内に追加で別のアーツを上手く合わせる事でコンボ的な攻撃になるのだそうな。忍者の方々が見つけたコンボには、【水魔法】で相手を濡らした上で【雷魔法】を当てることで与えるダメージ量を上げた「雷遁・感電撃」や、【土魔法】の【アースウォール】を出した後に【火魔法】をぶつけて焼き固める?事で耐久力を高める「土遁・土陶壁」なるコンボがあるとの事。……相変わらずオリジナル忍術名を唱えながら発動していたのは、流石忍者こだわってるなぁと思ったな。


 そして、源三郎さん達と一緒に自分が持っているアーツでもコンボが出来ないかと探ってみた結果が今から使おうとしているコンボである。先ずは、【ウォーターレイン】にて地面を濡らす。次に使うのは【氷魔法】の【フリーズ】。これは手で触れた場所を凍らせ、一定確率で「凍結」の状態異常を相手にもたらすアーツだ。単体では手の周りの一定範囲しか効果のないアーツだが、【ウォーターレイン】によって濡れた場所で使えば効果範囲を広げることができる! だがしかし、【ウォーターレイン】と【フリーズ】だけだと広げられる範囲はそこまででもない。


 そこで活きてくるのが【魔力操作】スキルの初期アーツ【アドマナ】である。こちらは、マジカル⭐︎スカーレットさんに教えてもらったスキルで詳細はこんな感じ。



【魔力操作】

 自らの魔力を足掛かりとして

 周囲のマナへと干渉するスキル。

 マナは世界を巡る大いなる流れ。

 マナを制すものは、世界をも制す。

 汝、マナの恩恵を受けし身である事を

 ゆめゆめ忘るるな。


 習得アーツ

  ・アドマナ MP*

   次に使う魔法系アーツのMPが

   2倍になるが、1.8倍の威力にて

   アーツを発動できる。



 そう、MPをより多く使うが次に使うアーツの威力を高めることができる、素晴らしいスキルだ。このスキルの事を知った時、これは?!と思い、直ぐにスキルを習得しにいったよ。ちなみにファスの町から始まり、町を跨いで幾つかのお手伝いクエストをこなす必要があるチェーンクエストの報酬でもらえるスキルスクロールだった。よくこんな掲示板にも載っていないスキルをスカーレットさんは知っていたな。急いでクエストをこなしたが、習得したのは大会前のギリギリだった。その為、最初のアーツしか覚えられなかったが今回のコンボには十分だ!



「【アドマナ】【フリーズ】!!」


 さて、濡れた地面の上に薄く氷が張ったらどうなるだろうか? 分かる人はわかるだろう、このコンボの恐ろしさが……そう、これぞ雪国民が恐怖する冬の悪夢。



      ()()()()()()()()()()()()



 コンボの影響により自分の周囲一帯にパリパリと急速に広がった薄い氷の膜。自分めがけて攻撃をしてきたプレイヤー達が驚きタタラを踏むが、その足がーーつるんっと滑った。


「うわっ?!」

「ちょっ、ちょちょちょっ??」

「ぎゃぺっ!」

「きぁあっ! ちょっと服掴まないでよ!」

「わっ、わっ、これすべっ?!!」

「よっ、、っと。危なかった……何とか踏ん張れる…」

「ぎゃっ! 尻餅ついた! つめてぇ!」

「ひぇぇっ?! ひぎゃふっ!!」


 わーお、圧巻の光景………。こんなにも上手くコンボが決まるなんてな。【ウォーターレイン】【アドマナ】【フリーズ】のトリプルコンボにより凍結した地面に駆け込んでしまった人達が次から次に転んで体勢を崩している。どうにか踏みとどまった人もいるみたいだが、滑るのを恐れて次の一歩は踏み出せていないようだ。自分を中心として円形に周囲一帯にプレイヤーが転びまくって近づけない空間ができた。


 さてと、行くか! 他のプレイヤーが動けない中、バッチリ滑り止めが付いている靴を履いている自分は自由に動ける。体勢を崩して尻餅をついているプレイヤーに目掛けてダッシュで距離を詰めて、投げナイフを【投擲】! 横で立ち上がりかけているプレイヤーに一閃し、バックステップで一旦下がる。


 追撃しようと右横から切り込んできたプレイヤーには、しゃがみ込んで剣を避けておく。元から踏ん張りが効いてないからか切り込みはフラフラだし、足払いしなくても勝手に滑っていくプレイヤー。いやぁ、アイスバーン様々だな(^-^)。ちなみに他の体勢を崩したプレイヤーについては、自分だけじゃ無く他のプレイヤーも好機と見たのか、凍った地面の外にいるプレイヤーが集中攻撃を仕掛けていた。うーむ、ご愁傷様……。


 そんなこんなで、自分に有利な氷フィールドをちまちま作りつつ、ヒットアンドアウェイを繰り返して乱戦を凌ぐこと十数分。あれだけいた周囲のプレイヤー達はあっという間に数人に減っていた。残っているのは、障害物の上に陣取って弓を射続けている弓使いに、地上には小剣と盾の剣士、大剣使いと槍使いとメイス使い、後は……ヌンチャク使い??珍しい武器だな。


 さて、どうするかと考えていたらこちらに向かってヌンチャク使いのプレイヤーが駆け寄ってくる。地面にはまだ氷が張ってるのに近接しかけてくる気か?ど思ったら…なんと氷の境界線あたりから、ヌンチャクをぶん投げてきた!? 投擲系スキルも使っているらしく、赤いエフェクトを纏ったヌンチャクがかなりの速さで迫ってくる。これは避けきれないと慌てて体の前に双短剣をクロスして防御する。



 ガッッ…キン!!



 なんとか受け止める事ができた。防御したおかげであまりダメージは無いが、衝撃でかなり後退してしまった。氷フィールドの端まで来てしまい、ここでは地の利を活かせない。追加の氷を張るか、中心部に戻るか、一瞬葛藤していると後ろから感じる殺気と風切り音。咄嗟に身体を斜めに倒すと、顔の表面ギリギリを通り過ぎていく大剣。


 あっぶな!?! え、大剣使いの人いつの間に背後にいたんだ?! 特訓の成果による反射でなんとか避けられたけど、ほんっとギリギリだった。体勢を整えようとするが、ヌンチャク使いの人が追撃に何か投げてきたので、氷の上を転げて躱す。ボフンッという音と「ぐわっ」という声が聞こえた。慌てて立ち上がりつつ振り向くと、自分が避けた投擲物が大剣使いの人に当たったらしい。大剣使いの人は、紫色の明らかに毒っぽい煙に巻かれていた。こっわ?! ヤバいな、先ずはあのヌンチャク使いの人から倒した方が良さそうだ。


 毒煙?を払おうとしている大剣使いの人に背を向けて、ヌンチャク使いの人目掛けて走り出す。相手は最初に投げたヌンチャクの代わりのヌンチャクを再装備していて、迎え撃つ体勢に入っていた。(ヌンチャク持って、片足あげて「ホワチャア!」って言ってるのはネタなのか、マジなのか……)



「【アイスショット】!」

「ホワッチャ!」 べシンッ


「【双剣乱舞】!」

「ホワチャチャチャ!!」 カンカンカン


「ホワチャァア!」 シュバッ

「うわっ!」


 小手調べの【アイスショット】でツララを飛ばしたが、見切った動きで叩き落とされる。追撃の【双剣乱舞】は、華麗?なヌンチャク捌きで全て防がれてしまった。そして一瞬の隙をついて突き出されるヌンチャク! なんとか避けたが頬を掠ってしまい、ダメージが入る。くっ、これだけ攻撃して相手はノーダメージで自分だけ負傷。しかも相手はアーツを使っていない……。ネタ装備の人だと思っていたのに、プレイヤースキルかなり高いなこの人??


 どう攻めようかと思っていると、復活した大剣使いの人が割って入ってきて、三つ巴になってしまった。大剣の大ぶりな攻撃を避けつつ【投擲】で投げナイフを投げてヌンチャク使いの人を牽制する。しかし、ヌンチャク使いの人は投げナイフを軽くあしらい、大剣使いの人に襲いかかる。


「ホワッチャ【剛突撃】!【流舞】!【虎岩襲】!!」


 流れるような動きで三連アーツを放ち、大剣使いの人をフルボッコにするヌンチャク使いの人。今までの戦いのダメージが蓄積していたせいか、この三連アーツが止めとなって大剣使いの人はHPが無くなってしまったようだ。悔しそうな顔をして舞台上から転送されていく大剣使いの人。残ったヌンチャク使いと自分が睨み合う。


 うーん、かなりプレイヤースキルが高いみたいだから、真っ向勝負は分が悪いな。なら、予想外の攻撃を仕掛けて驚いたところを畳み掛けて、自分のペースに持っていく! あの忍者さん達との特訓を思い出せ! 対人戦は、如何に自分のペースに相手を巻き込むかだ! そう考えてヌンチャク使いの人に向かって切り掛かる。当然、ヌンチャク使いの人は、ヌンチャクで双短剣を弾こうと動くが……


「【アイスエンチャント】!」


 ここで使うのは武器に氷属性を付与する【アイスエンチャント】。元々氷属性である『卓越した氷晶ひょうしょうのツインアイスダガー』に使っても意味がなさそうに見えるが、源三郎さんが作った渾身の二振りは一味違う。エンチャントを受けた短剣の刀身の周囲にパキパキと氷の刃が生成されていく。あっという間に短剣が脇差しくらいの長さに変化した! これぞこのツインアイスダガーの追加効果だ!


 短剣の長さが急に変わり、武器の間合いも勿論変わる。相手が迎え討とうとしていたヌンチャクに予想より早く片方の氷の刃が接触する。微妙な位置でヌンチャクが当たってしまい相手側の体勢が崩れた。ヌンチャク使いの人はそれでもそのまま強引に刃を弾こうとするが「パキンッ」と音を立てて割れる氷の刃、そして中から勢いを持ったまま現れるヌンチャクに防がれていない本物の刀身。驚愕の顔をしたヌンチャク使いの人に向かって放つ決めのアーツ。狙うは首筋!


「ホワッ? ホワチャ?!」

「【アサシンアタック】!!」 ザシュッ!!!


 よっし、決まった! でもまだ! このまま畳み掛ける!


「【連続切り】!【双舞円月閃】!!【ダブルインパクト】!」

「ホワチャ、ホワチャアッヅ」


 先ほどのヌンチャク使いの人が放ったみたいに綺麗な動きでは無いけど、同じように連続で何とかアーツを繋げる。相手は何とか防御しているが、長さの違う二つの刃による猛攻は防ぎきれないらしい。(片方の氷の刃は最初に砕けたが、もう片方は刀身に付いたまま)


 劣勢になり焦ったのか、ヌンチャク使いの人は「【棍衝波】!」とヌンチャクを構えたままアーツを発動した。すると、ヌンチャクから衝撃波が放たれて互いに後退してしまう。ヌンチャク使いの人は、なんとヌンチャクを持ったままバック転をして距離を取り、そのまま後ろ向きになって走って逃げようとしていた。離れて回復か体勢を整えるつもりか? だがしかし、ここで逃すわけにはいかない。右側の短剣を素早く鞘にしまい、【速補填】で手の中に特製クナイを出す。


「【遠投】!!」


 【強投擲】と迷ったが、ヌンチャク使いの人の足が予想以上に速く、普通の投擲だと届かない可能性があったので、投擲距離を延長できる【遠投】を選んだ。クナイはビュンッと風切り音を出して真っ直ぐに飛んでいき、見事ヌンチャク使いの人に当たった。そして……


 ピッピッピ……ピィーー!!

 ボッガァン! バキバキバキバキ!


 「ホワッチャァアアア!! グフっ」


 警告音の後にクナイから爆発と氷の結晶がまきびしの様に放たれた。火属性の爆発と氷属性の氷まきびしの複数属性効果を発揮できるようにした影丸さんの特製クナイだ。いやぁ、毎回毎回凄いな影丸さん……。ヌンチャク使いの人は爆発で体勢を崩して倒れ込み、地面に撒かれた氷まきびしが全身にグサグサ刺さってしまった。そして、この攻撃が決め手となり、ヌンチャク使いの人はHPが無くなったようだ。そのまま倒れて転送されていく。ふぅ、予想外の強敵だったな…。



 辺りを見渡すと少し離れた箇所で行われていた別の戦闘も決着を迎えていた様だ。剣士と槍使いの人は既に姿が見えず、障害物の上に陣取って弓を射続けていた弓使いの人は足場の障害物が壊されて瓦礫と一緒に地面に落下していた。そこをメイス使いの人が厳ついメイスを振りかぶってトドメを刺そうとしていたが、弓使いの人が苦し紛れに矢そのものを手に持って突き出している。矢はメイス使いの人の腹部にぶっすりと刺さり、メイス使いの人は驚愕の顔をしながら転送されていった。



 最終的に残ったのは満身創痍で瓦礫に埋もれている弓使いの人と、多少ダメージを負っているもののまだ余力のある自分。これはいける!と弓使いに向けて走り出す。弓使いの人は、落ちてしまった弓を急いで掴んで矢をつがえようとしていたが、そうはさせない!!


「【ウォーターレイン】!」


 今回大活躍の【ウォーターレイン】!まだ弓使いの人と自分の間に距離はあったが、これは範囲魔法のため弓使いの人にも勿論当たる。ダメージが入ると共に焦っている弓使いの人の手元が水に濡れて矢を取り落とすという嬉しい副次効果も発揮した。慌てている弓使いの人にそのまま接近し、一度サイドステップでフェイントをかけつつ斬り込む!


 ザッシュッ!

 「クソッ! ここまで残ったのにぃ!」


 やはり、先程までの戦闘が激戦だったのだろう。一撃入れただけで弓使いの人のHPは0になったらしい。涙目を浮かべた弓使いの人が転送されていくのを見送り、なんとか予選の1戦目を終了した。



「さぁさぁ、ついに予選Bグループ第一試合に決着がついたー!!! はえある勝者はー? 蒼きリザードマンの双短剣使いだぁあああ!」


 ワァァアアアア!!



 会場アナウンスが流れると共に会場の歓声が一気に流れてきた。そういえば、試合中はプレイヤーが集中できるように会場の声をシャットダウンしてるんだっけ。あぁ、本当に勝ち残れたんだと思った瞬間どっと疲れが押し寄せてきた。


 つっ、つっかれたぁああ!!


 バトルロイヤル形式だから、目の前のプレイヤーだけに集中できないし、1人倒しても直ぐに次の人と戦わないといけないし、アイスバーンを張ってなんとか有利なフィールドに持ち込んでも遠距離攻撃やら範囲魔法やらに気をつけないといけないし、多人数 vs 一人の戦闘を忍者さん達と特訓してて本当に良かったぁあ!







 そのあとも数回予選を戦い、からくも勝ち残る事ができた。まさか本戦に出場できるなんて、まったくアイスバーン様々だ! それにしても、予選を振り返ったら初戦が一番苦労した気がするよ。初めてで緊張したのもあるけど、やっぱりあのヌンチャク使いの人が強かった……。何者なんだあのヌンチャク使い………。




 ちなみに【魔力操作】スキルの2番目のアーツは【リデュマナ】。次に使う魔法系アーツをMP半分で威力0.4倍に出来ます。基本的にパッシブ以外のアーツ発動にはリキャストタイムがあるので、【魔力操作】を上手く使えば攻撃に幅を出せます。使うにはクセがありますが、使いこなせばとても良いスキル。


 スカーレットさんは、使いこなせているかって? それは……まあ…お察しください。



 またツインアイスダガーの追加効果である【アイスエンチャント】付与時の薄氷の刃について。こちらの強度は服や肌を切り付けるくらいなら大丈夫ですが、鎧や武器などと当たると簡単に砕けるくらいの強度です。まあ、あくまで氷ですから。また、通常時は脇差し位の長さですが、【アドマナ】も併用すると大脇差し位の長さにはできます。


 間合いを戦闘中に変えられる武器は、相手にとってはとても戦いづらいことこの上ないですが、使う側もめっちゃ戦いづらいです。プラナも急に重さや間合いが変わる事に慣れなくて、使いこなすまで源三郎さんや影丸さんと沢山練習してました。今回使った間合いを変える&受け止められてもそのまま押し込んで、わざと氷部分を砕けさせて本物の刀身で攻撃する手法も忍者仕込みです。……あれ? プラナが忍者に近づいているような…まさか……いつの間にか陰なる忍者道に引き込まれてっ?!



 ※予選のヌンチャク使いの人は、56話の掲示板に出てた人です。ブーメラン使いの人とパイルバンカー使いの人も別々のグループでソロ部門に出ていたりします。


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― 新着の感想 ―
連載再開ありがとうございます
わい、雪国民。 アイスバーンの危険性は荒天となることで跳ね上がることを毎年毎年思い知らされる。 ブラックアイスバーンで足を封じられ、ホワイトアウトで眼を封じられ、吹雪で車体が煽られる。この3連コンボの…
更新お疲れ様です。 久し振りの更新嬉しいです! さて、いよいよ始まりました闘技大会! プラナ君予選突破おめでとうございます!! 装備は(某歌劇団風)騎士なのに、戦闘スタイルというか仕掛け方が忍者っぽ…
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