表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/12

10.猫はなんちゃらで丸くなる

 少年がケモノ系のグループに加わると、それに気づいた英也が少年に声をかける。

「あれ、君も今日はこっちに参加かい?」

「あぁ、佳奈の練習の付き合いでな」

「ふーん、そうかい、まぁ、別に構わないけれど、くれぐれも佳奈様の邪魔だけはするなよ?」

「はいはい、肝にめーじときますよ」

 少年は以前から、定期的に佳奈の練習の手伝いとして、ケモノ系のグループに参加することがあり、そのため、少年自身はケモノ耳、尻尾がないものの、誰も少年の参加に異を唱える者はいなかった。

 それどころか、少年の他にも何名かケモノ耳、尻尾なしの生徒も混ざっており、彼らも少年と同じく、ケモノ系能力者の手伝いという理由で参加していた。だからこそ、英也も少年をそこまで敵視することなく、小言だけで済ませていた。


 やがて、担当講師がやってきて、本日の練習メニューを伝達した。

 といっても、ケモノ系のメニューは大体決まっており、本日講師が指示した内容も。例に漏れず、最初、全体で準備運動や制御の基礎練習を行い、その後、各自の課題に取り組むという流れだった。

 前半部分は一人でできる内容の為、少年たちの手伝いは不要。その間、手伝いの生徒たちは、後半部分の各自課題に向けて、準備をする。


 少年も佳奈に課題に向けて、必要なものを伺い、準備しなければならないのだが、

「しかしですね、佳奈さん」

「……なぁーに、ゆーくん」

「これは一体どういう訓練なんだ、」

「……さっきも説明したよぉー、猫の性質を抑えるための訓練だよー」

「いや、だからって、何で、、、何で膝枕しながら頭を撫でなきゃいけないんだ!?」

 なぜか佳奈が要望したのは少年の膝枕。

 前半開始前に各自課題で必要なものを佳奈に聞いた少年だったが、準備せずにまっててー、と佳奈に言われ、後半の各自課題の時間が始まると、佳奈は人目を避けるように少年を校舎裏まで連れていき、膝枕を要求したのだった。

 そんな訳で、校舎裏に置かれたベンチに少年が座り、その少年の膝を枕にして、佳奈はベンチに寝そべっていた。

 少年の膝に、佳奈とフワフワとした髪や、ぷにぷにと柔らかい頬の感触が伝わってくる。更に、シャンプーの匂いなのか、はてまて佳奈自身の香りなのか、なぜかいい匂いが少年の鼻孔を刺激した。

 それだけでも少年的には、かなり限界に近かったのに、あろうことか佳奈は頭も撫でるように追加で要求してきた。

 膝枕の件と併せて何度も、少年が何故と尋ねるのだが、細かいことは気にしないでよー、と佳奈は、はぐらかしてしまう。そんな押し問答に近いやり取りが続き、最終的に少年が根負けした。


 そのため、先ほどから定期的に、少年の右手が佳奈の頭と耳をゆっくりと撫でていた。

 撫でられるのが気持ちいのか、佳奈は何度もくすぐったそうに体を揺らす。その猫っぽい仕草、動くたびに伝わる感触が、少年の理性を削り落としに来ていた。

 なんか、もう、佳奈の制御の訓練ではなくて、自分の理性の制御がメインなのではないかとすら、少年は思った。

 しかし、そんな少年の気持ちなど露知らず、佳奈はしばらく少年の膝の上でごろごろしていたが、先ほどの少年の疑問に対して、ピタッと動きを止め、不満そうに口をとがらせる。

「もー、ゆーくんは気にしすぎだよー」

「流石に気にするだろ、これは、、一応、これ訓練の名目はあるんだろうな?」

「も、もちろんあるよ?」

「何で疑問形なんだよ」

「そ、そんなことないよー?」

「その返しすら、じゃないか」

 授業開始当初の立場とは打って変わって、今度は少年の方が佳奈を胡乱な目で見る。

 動揺した佳奈は数秒視線が泳いだ後、思いついたように口を開いた。

「私が、猫だからかなー」

「というと?」

「ほら、猫って本来夜行性でしょ?だからお昼はどうしても眠くなっちゃうの」

「確かに聞いたことあるな、それで、それと今回のがどういう関係が?」

「ゆーくんに膝枕と頭なでなでしてもらうと、気持ちよくてどうしても眠くなってきちゃうから、、それを我慢することで、訓練、になる、みたいなー?」

「もう最後の方自分でも自信なくなっちゃってるじゃないか」

「あぅ、やっぱり厳しいかなー?」

 上目使いで、ダメ?、言外に問いかけてくる佳奈に、ぐっ、っと少年は声が詰まる。

 庇護欲と得体のしれない罪悪感が少年を襲い、やがてそれに屈するように大きなため息を吐いた。

「まぁ、確かに授業中とか寝るのはいけないからな、確かに、鍛えなきゃいけないことだな」

「じゃぁ」

「続けるか、訓練」

「うん!ありがとー、ゆーくん、、、えへへ」

 ぱぁっと毎回の花が開いたような笑顔になった佳奈は、時おり頭の位置も変えながら、少年の膝の上を謳歌する。

 少年はそんな佳奈の頭をしばらくの間、撫で続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ