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第四十八話

冬休みに入って直ぐに彩乃から連絡があり晩ご飯を食べるためマンションに来ていた。

彩乃の作った料理に舌鼓を打っている。


「優也くん、彩乃明日から実家に帰らないといけないの。」


「だろうな。彩乃の家族なら絶対帰るって話になると思ってたよ。」


「うん。長期の休みは必ず帰るようにお父さんに言われてるから。優也くんは?」


「俺は帰らないよ。バイトもあるしね。」


「実家に居るときに連絡してもいい?」


「ああ、いいよ。バイトがない時は暇してるから。」


「ありがと。彩乃ずっとやりたいと思ってる夢があるの。でもお父さんに言えないままだったけど今回帰ったら言ってみようと思うの。」


「いいと思うよ。一度きりの人生なんだからやりたいことがあるなら目指すべきだよ。」


「こう思えるようになったのは優也くんと知り合えたからだよ。」


「?、……俺はなにもしてないよね?なにか目標があるわけでもなくダラダラしてるだけだよ。」


「そんなことない。優也くんはカッコいいの。芯がしっかりしてるっていうのかな?なにがあってもブレないそんな強さがあると思う。だから彩乃も目標に向かって頑張るの。じゃないと優也くんの隣に胸を張って立てないから。」


「俺なんか全然だよ。でも彩乃が目標に向かって頑張るのはいいことだと思う。どんな目標なのか今度でいいから教えてよ。」


「うん。実家から戻ってきたら話すね。優也くんと話して気持ちも固まった。お父さんと話した後に電話していい?」


「さっきも言ったけど大丈夫だよ。」


「ありがと。」


彩乃のやりたい事がなんなのか気にはなったが今度話すということなので待つことにした。

彩乃のマンションを出てアパートに向かって歩いているとスマホが震えた。


「もしもし。」


『優也、なんか久しぶりね。冬休みに遊びに行くって約束してたの覚えてる?』


電話の相手は里佳だった。

もちろん約束は覚えていたが約束してから一度も連絡を取ってなかった。


「覚えてるよ。いつどこに行くか決めたのか?」


『年末はやることがあるから年明けにしましょ。四日か五日がいいんだけどどう?』


「今、帰りだから家に着いたらバイトのシフト確認するよ。どっちもバイトってことはないからそのどっちかにしよう。」


『りょ。空いてる日わかったらLINEして。』


「ああ、どこに行くか決まったのか?」


『ちょっと遠いけどスポッティに行きましょ。』


スポッティというのはいろんなスポーツやゲームなどが楽しめるアミューズメントパークだ。

身体を動かすのが好きなら一日中居ても飽きないほどに様々なスポーツが楽しめる。

陽キャな里佳なら友達と何度も行ってそうなのでなんで俺と行くのか疑問だ。


「なんで俺と?友達と行ったことあるだろ?」


『あるけど優也と行ってみたいのよ。学祭の準備とあの事で優也が身体能力半端なさそうなのがわかったからね。いいでしょ?』


「いいけど同じ大学の奴が居たら面倒なんだよな。あのスタイルで来いって言ってただろ?神崎に続いてお前とも一緒に居るとこ見られたら大学周辺に居ると思われるだろ?」


『正月だし帰省してる人多いから大丈夫よ。まぁなんとかなると思うし約束だからいいわよね?』


「わかったよ。」


『じゃあ楽しみにしとくわね。四日か五日の朝十時に駅で待ち合わせて行きましょ。』


「わかった。十時に駅な。」


『うん、よろしくね。』


電話を切って考える。

もうあの格好はしないつもりだったが里佳と約束してしまっていたんだった。

スポッティで遊ぶのはいいんだがなんか嫌な予感がする。

しかし約束しているから遊びに行くことは確定している。

どこに行っても知った顔に会う可能性はあるので里佳が決めたとこでいいだろう。

帰宅した俺は直ぐにカレンダーでバイトのシフトを確認した。

里佳に『四日はバイトだから五日でよろしく』とLINEを送信した。



十二月二十三日、神崎から電話が掛かってきた。


『優也さん、全然いいお店が見つかりません。どうしましょ?』


「いい店じゃなくていいだろ?なんならファミレス……はさすがにないなぁ。」


『当たり前じゃないですか!せっかくのクリスマスイブですよ!雰囲気のいいレストランとか行きたいじゃないですか。』


「でも予約でいっぱいなんだろ?」


『そうなんですよ。お店探すのが遅すぎました。どっかないですかね?』


「俺はそういう店は知らないぞ。最悪、居酒屋とかでもいいんじゃないか?」


『飲んでも良ければ居酒屋でもいいですよ。』


「それはダメだ。」


『じゃあ居酒屋はなしですね。こうなったら最終手段しかありませんね。』


「なんだよ、最終手段って?」


『優也さんちでクリパしましょう。アタシがご馳走作りますよ。』


「いいよ。大変だろ?」


『大丈夫です。いいお店がないなら優也さんちで料理して食べてゆっくりしたいです。ダメですか?』


「いいんだけど神崎がしんどいだろ?」


『ほんとに大丈夫ですよ。昼間に一緒に買い物しません?食材いっぱい買いたいしケーキも買いに行きましょう。』


「わかった。明日は買い物も付き合うよ。どっかで待ち合わせるか?」


『いえ、優也さんのアパートに朝から行きます。それから買い物ですね。いいですか?』


「朝、早すぎなければ大丈夫だ。」


『じゃあまた明日ですね。えへへ。楽しみにしてますね。明日のために今日は早めに寝ます。おやすみなさい。』


「無理はしないようにな。おやすみ。」


明日は一日神崎と過ごすことになるようだ。

俺も早めに寝ることにしよう。

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