EP1
2034年5月1日。橋川学院に在籍している学生、神崎 麻由理は親友の山田 穂乃果と一緒に弁当を食べていた。時刻は昼休み。生徒達は食堂で友達と昼食を食べに行ったり自分のクラスで友達と弁当を食べたり他クラスに遊びに行ったりと様々な行動をしていた。
麻由理「そう言えば穂乃果。今日だったけ?新作のスイーツの発売」
穂乃果「忘れてたの麻由理?もしかしてお小遣い貯めてなかったとかそう言うオチないよね?」
麻由理「ないない。ちゃんとお小遣い貯めてたよ。ただ日にちがいつだったかな〜って思って」
穂乃果「たまに思うけど麻由理って変なところでバカになるよね」
麻由理「ムッ。失礼な!」
2人は弁当を食べながらスイーツの事を話していた。誰もが見る青春と平和な世界だった。
しかしその平和は
[ピンポンパンポーン]
あるチャイムで崩れ始めたのだった。
[全校生徒にお知らせします。校内で暴力事件が発生しました。生徒は教室に待機し先生方の指示に従ってください]
麻由理「暴力事件?」
穂乃果「星川さんが何かしたのかしら?」
麻由理「もしかして相手を半殺しにしちゃたとか?」
麻由理達がそう話し他の生徒も早く帰れると言って喜んでいた。
[繰り返しお知らせします。校内で暴力事件が発生しました。生徒達は教室に戻り・・・・・ピーッ・・・・ガガガッ!]
麻由理「ん?」
穂乃果「どうしたんだろう?」
放送は突然ノイズが走り放送が切れた。麻由理達はなんだろうと思い全員が首を傾げていると。
[だ、だすげてぐれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!]
麻由理「ハァ?」
穂乃果「えっ?」
[や、やめろ!!やめてくれ!!]
[か、金か!?金が欲しいのか!?す、好きなだけやるからこっ、こっちに来るなあああああああ!!!]
[ギャアアアアアアアア!!!!!!]
[グチャッ!!ブチッ!!グチャグチャ!!ァァァァァ!!]ブツンッ!!
放送室にいる教師の悲鳴が学校中に流れ妙な肉を咀嚼するような音を最後に放送は切れた。早く帰れると思っていた生徒はラッキーという感覚で喜んでいたが放送を聞いて教師も生徒も呆然としていた。そして誰かが箸を落とし落とした音が教室に鳴り響きそして。
『ウワアアアアアアアアアアァァァァァァッ!!!!!!!!!』
『キャアアアアアアアァァァァァァァッ!!!!!!!』
避難指示を出す教師も生徒もパニックになって逃げ始めた。教室にある2つの扉は逃げようとする生徒達で溢れ返り自分だけが助かろうと友達を殴ったり隣にいた生徒を踏みつけたりと地獄絵図だった。廊下も人で溢れ返り教室よりもひどい状況だった。しばらくして教室は誰もいなくなり呆然としていた麻由理と穂乃果は意識を取り戻すと。
穂乃果「な、なんだったの今の?」
麻由理「し、知らないわよ!!とにかく穂乃果!わたし達も急いで避難しよう!」
麻由理は立ち上がって誰もいなくなった教室から出ようとするが。
穂乃果「待って麻由理!」
穂乃果が麻由理の右手を掴んで止めた。
穂乃果「何が起きてるのか分からないけど丸腰で外に出たら殺されるわよ!少なくとも今、この学校には殺人鬼がいるんだから」
穂乃果はそう言ってクラスの野球部が持っているバットケースから金属バットを取り出した。
麻由理「ちょっ、穂乃果!それって泥棒じゃ」
穂乃果「文句とか弁償は後ですればいいでしょ。それよりも今はわたし達の安全が第一よ。相手も武装してるわたし達を見たら近寄らないでしょ」
穂乃果はそう言って別の野球部員のバットケースから金属バットを取り出してそれを麻由理に渡した。麻由理はそれを受け取ると2人は教室を飛び出した。
正面玄関は既に人でいっぱいだと思った2人は裏口を目指していた。浦口も既にいっぱいだと思うがそれでも正面玄関よりはマシだと思い走っていると。
『ワアアアアアアァァァッ!!!!』
2人の前から何人かの生徒が走って来た。生徒達は麻由理達を素通りし2人は警戒してバットを構えた。慎重に歩き曲がり角を利用して覗き込むように見ると。
麻由理・穂乃果「!?」
そこには何人かの教師や生徒が死体を貪っていた。いろんなところで悲鳴が聞こえる中、生の肉を咀嚼し食いちぎる音がこの廊下を支配していた。
麻由理「うぐっ・・・・」
麻由理は胃の奥から異物が込み上がるような感覚を味わった。
穂乃果「麻由理・・・・・我慢して」
穂乃果は麻由理の口を抑えた。麻由理も分かっていたのか自分の口を抑えなんとか吐くのを我慢した。
穂乃果「ここは危険ね。別のルートを探すわよ」
穂乃果はそう言って来た道を引き返した。
廊下を走りながら2人は別ルートを探していると。
「おいお前ら!」
別のクラスの男子生徒が教室から出て来て2人を呼び止めた。
「こっちだ!早く入れ!」
そう言われ2人は急いで教室に入ると既に中には何人かの生徒がおり中に入れた男子生徒は扉を抑えた。
「・・・・・なんなのあれ?一体何が起こってるのよ!」
中にいた女子生徒は発狂するようにそう言った。他の生徒はさっきの光景を見たのか一言も喋らず椅子に座っていたり床に座っていたりウロウロしていたりした。
麻由理「・・・・さっきまではいつもの日常だったのに・・・・・・・なんだったのさっきのあれ。人が人を食べてた」
麻由理はそう言ってさっきの光景を思い出しさっきは我慢したが限界が来た。
麻由理「オエエエエエエェェェ!」
麻由理は我慢できずゲロを床にぶちまけた。
穂乃果「麻由理!」
穂乃果は麻由理に近づき麻由理の背中をさすった。普段の日常だったら麻由理のことを見て馬鹿にする連中や笑いの対象にする奴や心配する人もいるのだろう。だが今はそんな余裕がないほど生徒達は疲弊していたのだ。
麻由理「ハァ・・・・ハァ・・・・ハァ」
穂乃果「少し落ち着いた?」
麻由理「うん。ありがとう穂乃果」
麻由理は穂乃果に礼を言うと。
「・・・・警察。警察に連絡しよう!!誰か携帯持ってないか!?警察に助けてもらうんだ!!」
1人の男子生徒がそう言うと。全員が希望を持ったような目をしたが。
「・・・・・・誰が持ってるの?」
と、女子生徒が言った。この学校は教室に入ると携帯を預けなければならない校則があった。誰かが携帯を隠し持ってない限り警察への110番は誰もできないのだ。
「・・・・・・・誰も持ってないのかよクソッ!!」
男子生徒がそう言った。
「お前ら静かにしろ!」
扉を押さえている男子生徒がそう言った瞬間。
「アアァ!!」
うめき声のようなものが外から聞こえ同時に扉を強く叩く音と衝撃が教室に響いた。麻由理達はすぐに響いた方を見るとそこには目は白眼になっており肌は青白く濁っていてまるで腐っているようでとても生者のものとは思えなかった。麻由理達は本能で理解した。会話を交わせるような相手じゃないと。
麻由理「押さえて!!」
咄嗟に麻由理がそう言った瞬間、麻由理と穂乃果は扉を押さえている男子生徒を手伝うように扉を押さえた。
「アアアアァァ!!!」
だが、相手の力は異常だった。たった1人で扉を叩いているのに対しこちらは3人で扉を押さえているのに力負けしそうになっていた。
「な、なんだよこのパワーわ!」
麻由理「押さえて!絶対に中に入れちゃダメ!」
穂乃果「分かってるけど・・・・・どうなってんのよこいつの力!アンタ達も見てないで手伝ってよ!!」
穂乃果は後ろにいる生徒達にそう言うが。
「う、うああああぁぁぁっ!!!」
「ば、化け物!!」
生徒達は悲鳴をあげて別の扉を開けて逃げた。
麻由理「ちょっ!わたし達を置いて逃げないでよ!!」
そしてとうとう押さえきれず扉を破壊された。
バカンッ!
麻由理・穂乃果「きゃぁ!!」
麻由理と穂乃果は吹き飛ばされ男子生徒は扉の下敷きになると同時に首を噛みつかれた。
「ギャアアアアアァァァッ!!!!」
男子生徒の首からは血が吹き出し肉を食いちぎった。そして口周りを血で汚した化け物は麻由理達の方を見た。
麻由理「あ、ああ」
麻由理は息を荒くし恐怖で動けなかった。
「アアアァ!」
化け物は四つん這いでうめき声を上げながら麻由理に襲いかかった。
麻由理「い、いやあああああぁぁぁぁっ!!!!」
麻由理は悲鳴をあげて目を瞑った。
バキッ!!
そして打撃音が聞こえた。麻由理は目を開けると穂乃果がバットで化け物を叩きつけていたのだ。穂乃果何度も何度も化け物の背中を殴り続けた
「ハァハァハァハァ、に、逃げるわよ麻由理!!」
穂乃果は麻由理に手を差し出した。麻由理は穂乃果の手を掴むと立たしてもらい教室から逃げ出した。
教室から出た2人は屋上に向かって逃げていた。2人は階段を必死に登っていると。
「アアアァ!!」
突然、階段の角にいたのか倒れ伏していた化け物が穂乃果の足を掴み噛み付いた。
ドシュゥッ!!
穂乃果「アアアアァァァッ!!」
麻由理「穂乃果!!」
麻由理はすぐに持っていたバットでその化け物を殴り始めた。だが効いていないのかそれとも痛覚がないのか化け物は一向に離そうとせずそして化け物は穂乃果の足の肉を食いちぎった。
ブシュゥゥゥッ!!!
穂乃果「ギャアアアアアァァァッ!!!!」
穂乃果は足の肉を食いちぎられた。化け物は更に肉を喰らおうと穂乃果の足に牙を向けた。
麻由理「ほ、穂乃果を、穂乃果を離せぇぇぇぇ!!!!」
麻由理はバットを振り上げ化け物の頭に向けて振り下ろすと。
グシャッ!!
化け物の頭はまるで腐ったトマトが地面に落ちるように潰れた。
麻由理「ハァハァハァハァ、穂乃果!大丈夫!!?」
麻由理は穂乃果に近づくと。
穂乃果「ううっ、ごめん。大丈夫じゃない」
穂乃果はそう言って食いちぎられた足を押さえていた。
穂乃果「麻由理。わたしを置いて逃げて。次、あの化け物が現れたら多分逃げられないから」
麻由理「馬鹿なこと言わないで!」
麻由理はそう言って邪魔になるバットを捨てて穂乃果に肩を貸し腰を抱き上げ立たせるとゆっくりと廊下を階段を登って行った。
数分後なんとか屋上の扉の前に着くと麻由理は穂乃果を座らせ穂乃果が持っていたバットを借りそれでもドアノブを破壊して扉を開けた。麻由理は穂乃果を立たせて一緒に廊下に出ると外の光景は地獄となっていた。
麻由理「・・・・な、何よこれ?」
麻由理達の目に入ったのは学校のありとあらゆる所で生徒や教師が逃げ惑い彼らを追いかける化け物達がいた。
穂乃果「・・・・・さっきは足をやられたこともあったから分からなかったけどあの化け物は1匹だけじゃなかった。あの化け物は複数いたみたいね」
穂乃果がそう言うと学校の屋上から外を見た。少なくともさっきの化け物は校門から外に出てそしてその近くにいた人々を襲っていた。
麻由理「何よこれ。まるでゲームやアニメみたいな光景じゃないの」
麻由理は目の前の現実が信じられなかった。
穂乃果「ゲームやアニメ、映画通りならアイツらはゾンビってことになるわね。そしてゾンビに噛まれた人は・・・・・・」
穂乃果がそう言うと麻由理は穂乃果の右手を両手で掴み。
麻由理「大丈夫だよ穂乃果。そんなゲームやアニメみたいなこと起こらないよ」
と、穂乃果を励ました。穂乃果は「そうね」と言って麻由理に肩を貸してもらい移動しようとした瞬間だった。
穂乃果「うぐっ!!」
麻由理「えっ?」
穂乃果は突然麻由理を突き飛ばした。
麻由理「何するのよ穂乃果」
麻由理はそう言って穂乃果に近づこうとすると。
穂乃果「来ないで!!」
麻由理「えっ?」
穂乃果「麻由理。わたしに近づかないで」
穂乃果がそう言った瞬間。
穂乃果「うぐっ・・・・・・くぼえっ!!」
穂乃果は血を吐いた。
麻由理「!?穂乃果!!」
麻由理は穂乃果の隣行くと。
穂乃果「来ちゃダメって言ってるでしょ!!」
穂乃果は再び麻由理を突き飛ばした。
麻由理「ど、どうしたのよ穂乃果!?それになんで血を!?」
穂乃果「に、逃げて!麻由理わたしから逃げて!!」
麻由理「えっ?」
穂乃果「ガハッ!」
穂乃果は更に血を吐いた。何が起きてるのか分からない麻由理はどうしたらいいのか分からなかった。
穂乃果「ハァ・・・・・ハァ、頭が痛い。お腹が空いて死にそう」
穂乃果はそう言って麻由理を見た。そしてそれを見た麻由理は絶句した。そこにはさっきまで健康そうだった肌は化け物と同じ青白い濁った肌になり目も白眼になりかけていた。そして穂乃果からは肉が腐ったような腐敗臭を漂わせていた。
穂乃果「麻由理逃げて。わたしがわたしでなくなる前に早く逃げて!」
穂乃果は麻由理にそう言った直後。
穂乃果「アガっ・・・・・・・・グギッ!!」
穂乃果はそのまま倒れた。
麻由理「穂乃果?穂乃果!!」
麻由理は穂乃果に近づき穂乃果を揺すった。しかし穂乃果は起き上がる気配はなく麻由理は右手を取り脈を確認した。だが穂乃果の脈はなく既に死亡していることが確認できた。
麻由理「ウソ・・・・・・ウソでしょ・・・・・・穂乃果」
麻由理は信じられないといった顔で呆然としていると。
ガクッガクッガクッ!!
麻由理「!?」
突然、穂乃果が震え出した。麻由理驚愕し穂乃果から離れると穂乃果はゆっくりと立ち上がった。
麻由理「穂乃果?」
麻由理が穂乃果の名前を呼ぶと。
「アアァ」
穂乃果はうめき声を上げながら麻由理の方に歩き始めた。
「ふ、ふざけないでよ穂乃果。そんな悪い冗談やめてよ」
麻由理はそう言って後ろに下がりながらそう言うが化け物になった穂乃果歩を止めることはなかった。
「こ、来ないで!!そ、それ以上ふざけると殴るわよ!」
麻由理はそう言って穂乃果が持っていたバットを構えた。
「アァ」
「穂乃果・・・・・・・・ごめんなさい。ごめんなさい穂乃果。・・・・・・・・・・・大好きだよ穂乃果」
麻由理はそう言うと。
「うあああああああぁぁぁぁぁ!!!!!」
麻由理はバットを振り上げそして。
親友の頭を叩き潰した。