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貴方の名前を呼んでいいかな

セクばんにゃ!

ブクマにびっくりしまくりんぐです。

投稿します。

きっかけはお母さんからの電話でした。


『へー。実家でも冬葉が作ってるとは聞いてたけど』

「うん、笠原さんとても料理上手なんだよ」


話の内容は、2週間前から一緒に住んでいる叔父の笠原冬葉さんのことです。

お母さんから弟‥‥つまり叔父さんのことは色々聞いていましたが前日にウチに来ることを聞いた時はびっくりしたものです。


『にしても2週間でよく馴染んだものねー。アイツがコミュ力高いとは言え、1ヶ月はかかるものかと思ってたわ』

「そう、かな?」


というか、それでも1ヶ月でどうにかなると思っていたんですか。

お母さんって結構笠原さんの評価高いですよね。


「むしろ問題は沙春の方かしら?」

「私?」


何かしてしまったでしょうか?

料理とか家事を任せっきり‥‥それはそれで女子力のピンチな気がしました。

ですがお母さんが言ったのは全然違う方でした。


『沙春‥‥アンタいつまで冬葉のこと名字で呼ぶつもり?』






「‥‥えっと沙春ちゃん?ご飯おいしくない?」

「‥‥はっ!?」


電話をした次の日。

朝ご飯の最中に思い出してボーッとしてたみたいです。

見れば笠原さんはとっくに食べ終わってます。


「ご、ごめんなさいです」


慌てて少し冷めたパンをかじります。

私が食べないといつまでも片付けられませんし、家事を全部任せてしまっている以上そんな迷惑は掛けられません。


「どこか調子悪いとか?」


心配そうに私を見る笠原さん。

こういう優しいところに感謝してますが、今は申し訳ないです。


「あっ、生理か!」


‥‥こういうところは最低ですが!!


「どうしよう、お赤飯炊かなきゃ!?そういう道具も買ってこようか!?」

「炊かなくていいですし、いりません!!そもそも来てません!」


まだ私は9歳です!

じゃなくてそもそもデリカシーが無さ過ぎです!


「じゃ、じゃあ妊娠!?」

「バカなんじゃないですか!?」


とにかくっ!

電話のこともありますし、笠原さんのことを名前で呼んでもいいと思います。

‥‥もしかしたら長い付き合いになるかもしれませんしね。






「いやー、沙春ちゃんが来てくれて嬉しいよ」


10時ちょっと過ぎ。

笠原さんが出かけるというので無理を言って付いていかせてもらいました。

その‥‥どこかで名前で呼べるタイミングがあるかもしれませんし。


「可愛い子とデートできるなんで役得役得」

「でっ!?お、叔父と姪が出掛けることをデートとはいいません!」

「つまりここで沙春ちゃんのお尻を触ってもオッケーってことだね!」

「それはデートじゃなくて警察事案ですっ!」


全く‥‥この叔父は隙あらば私にそんなことばっかりいいます。

いい人なのはわかってますがこういうところは控えておしいものです。

‥‥こ、ここは私も攻めるべきでしょうか。


「そ、そもそも‥‥笠原さんってデートしたことあるんですか?」

「え、あるよ?」


‥‥あっさり言われたんですけど。


「小学校の時とかクラスの女の子と出掛けることも多かったから。『デートだね』って言うと顔真っ赤にしてたし」


笠原さんは意外と経験豊富さんでした。

まあ確かに小柄ですが顔立ちは整っている、というより可愛らしいです。

あのお母さんの弟だからおかしくないですね。


「でも久し振りのデートだから楽しいな」


よく素面でそんなこと言えますねっ!

負けてられません!

このクールな初島沙春の力を見せる時です!

そう、クール過ぎてクラスメートから『初島さんって近寄りがたいよねー』と評される程の‥‥。


「いや、沙春ちゃん急に何で凹んでるの!?」

「お、お気にならさず‥‥」


い、今は私がボッチとか関係ないのです!

自然に、そう自然に『冬葉さん』と‥‥。


「と、と、と、ちょーはさん!」

「超破産!?急に何!?」


何で『と』まで言えたのにいきなり噛むですか、私!!

そして超破産ってどう言う状況です!!


いえ、理由はわかってます。

‥‥ぶっちゃけめちゃくちゃ恥ずかしいです!

まさか男の子の名前を呼ぶことが難易度オニレベルだったとは‥‥。

と、とにかく今の失敗を誤魔化さないと。


「お、お昼は超高級イタリアンで笠原さんを超破産させようと思って」

「えー、僕何か悪い事したっけ‥‥?」


まあいいけど、と笠原さんはスマホでお店を探してくれています。

優し過ぎて罪悪感が‥‥。


あっ!そうです、スマホ‥‥つまりネットです!

昨日、念のためパソコンで"名前で呼ぶ方法"と調べてメモしたのです。

サイトには"彼氏を名前で呼ぶ方法"とありましたが、方法自体はそんなに変わらないはずです。

慌ててポケットからメモを取り出します。

ふむふむ、なるほど‥‥。


"背中に字を書くクイズで名前を書いて『正解は◯◯!』で呼ぶ"

"キスしながら自分の舌で相手の舌に名前を書く"

"彼の(規制)が(規制)に入った時に『◯◯の(規制)大きいよぉ!』で呼ぶ"


‥‥できるかぁ!です!!

クイズはともかく他のは私がやったら痴女じゃないですか!

昨日の私どうかしてるんじゃないですか!!


「‥‥ちゃん‥‥沙春ちゃんってば!」

「はっ!?」

「お店決めたけど‥‥やっぱり調子悪いの?」

「い、いえ‥‥」


‥‥私、何をしてるのでしょう。

笠原さんの予定を邪魔して、心配まで掛けて。


「んー、ごめん沙春ちゃん。ちょっとそこの公園入ろう」

「はい‥‥」


笠原さんの後をついて行き公園の中に入りました。

少し歩いた先にあったベンチに並んで座ります。


「あ、沙春ちゃん。お願いがあるんだけど」

「‥‥なんですか?」


笠原さんの言葉にも適当に返します。

私の心は深く沈んでました。







「冬葉って言ってくれる?」

「とーは」







そう、深く深くに‥‥。

‥‥へ?


「おっ、呼べたねー」

「と、とーは!?一体何を!?」

「また呼べたね。はいはい、笠原さん家の冬葉くんだよー」


‥‥呼べ、ちゃいました。

それもこんな単純な方法で。


「実は事情はお姉ちゃんから聞いていた冬葉さんでしたー。『あの子フツーにヘタレだから』って言われてて、沙春ちゃんに限ってまさかと思ってたんだけど」

「な、な、な‥‥」

「途中頑張ってたのにあそこでヘタレるかー」


つまり、とーはは全てのことを知っていて‥‥!?

恥ずかしさからつい叫んでしまいました。


「とーはのバカぁ!!」

1回投稿ごとに2日空けるローテができそうですね。

また次回です。

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