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閑話 ムシアラはゴーレムに詳しくない

「おいムシアラ! スゲェ助っ人だな!」


 表情を輝かせた村人たちが、わらわらと集まってくる。

 お通夜のように沈んでいたのが、ウソのようだ。


「落ち着いてくれ。アレはゴーレムだ」

「じゃあ、動かなくなるのか?」

「魔力が枯れたり、過度な損傷でそうなるって言ってたが、魔力を補充すればいいとも言ってた」

「だれが?」

「作った錬金術師だ」

「そいつは今どこにいるんだ?」

「ヤシモクの店で朝飯を食ってる」

「よし。みんなで行って、ゴーレムの量産を頼もう!」

「それは駄目だ!」


 両手両足を極限まで広げ、道を塞いだ。


「この機会を逃すのか?」

「その錬金術師は、防御柵の強化塗料まで譲ってくれた。これ以上、一方的にねだるべきじゃないだろ」


 アンナの善意に甘え、さらに要求するのはよろしくない。


「それもそうか」


 村人たちもわかってくれたようだ。


「ムシアラ様! 正体不明の武闘家が現れました!」

「知ってる。アンナたちが作ったゴーレムだ」


 走ってきたレアハムに、すぐそこで防御策作りの手伝いをしている武闘家を指さした。


「あ、あれがゴーレムなのですか!?」


 脚が震えるのもよくわかる。

 魔法を使えるレアハムすれば、その異様さは一目瞭然だ。


「信じられないかもしれないけど、本当だ。魔力を補充すれば、数か月は稼働するらしい」

「もう少し詳しくお願いします」


 これ以上、知ってることはない。

 けど、魔法知識でおれを上回るレアハムに懸念があるなら、解決するべきだ。


「よし。アンナたちのところに行こう」

「おお!」

「盛り上がっているところ悪いが、行くのはおれとレアハムだけだ。みんなはそれぞれの作業に戻ってくれ」


 渋々といった感じではあるが、素直に従ってくれるのだから、ありがたい。



「アンナ、ちょっといいか? ゴーレムについて訊きたいんだ」


 ヤシモクの店から出てきた二人に、おれは声をかけた。


「それならパルマに聞いてくれ。俺はゴーレムについてはさっぱりだからな」

「いや、玉を組み込んでいただろ」

「アレは気にしなくて大丈夫だ。ゴーレムの動きを補佐するだけだからな」


 補佐の一言では片づかないが、アンナにとってはそうなのだろう。


「じゃあ、ゴーレムが動き続ける限り、壊れることもないのか?」

「いや、数か月か半年で効果はなくなる。どんなに頑張っても、一年は持たないだろうな」

「その後は?」

「普通のゴーレムに戻る」

「そうか」


 残念だが、仕方ない。


「でも、悪い事ばかりじゃないぞ。現状あの玉のせいで、魔力消費が倍以上に膨らんでいるからな。元に戻れば、低燃費だ」


 アンナはそれを欠点と捉えているようだが、魔力を補充するだけでいいなら、費用対効果は抜群だ。


「魔力の補充の仕方を教えていただけませんか?」


 レアハムの質問に答えることなく、アンナがパルマの背中を押した。

 説明のバトンタッチだ。


「対象物を前に、流し込むだけです」

「実践していただけないでしょうか?」

「そんな大層なモノではありませんが……かしこまりしました」


 レアハムの圧に屈し、パルマが渋々といった感じでうなずいた。


「んじゃ、後は任せた」


 足取り軽やかに、アンナはいなくなった。



 魔力の補充は簡単だった。

 ゴーレムに手を置き、自分の魔力を譲渡すればいい。

 これならおれにもできるし、村人にも適任者はいる。

 ただ、注意点もあった。

 魔力が枯渇するのは当たり前だが、総量を超えた補充もよくないそうだ。

 壊れる原因になるらしい。

 生身の人間と同じで、腹八分を目安にしておくと、長持ちするそうだ。


「補充のタイミングはゴーレムが判断できますので、求められたときに応じてください。後、命令権も委譲しましょう」

「おやめください! このゴーレムたちはアンナ様とパルマ様のモノです!」

「ですが、わたしたちが旅立った後のことを考えると、委譲しておいたほうがよろしいと思います」

「でしたら、優先権でお願いします」


 必死になるレアハムの気持ちは、痛いほどわかる。

 あんな規格外のモノを丸投げされたら、胃に穴が開く。


作者の技量が足らず、閑話が続いています。

申し訳ございません。

ちなみに、もう一閑話あります。


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