表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/88

41話 戦いの果てに得たもの

 実感は全くないが俺が勝てたらしい。



『褒められた戦い方じゃないが、お前の勝ちだ』



 改めてアクセルに言われたその言葉を聞いた途端、一気に緊張が解け地面に座り込んでしまう。

 同時に召喚者達が飛びついてきた。



「いたたた、痛いぞ……でも、ありがとな!!」



 勝利を召喚者達と分かち合うが、アクセルの言う通り最後の戦い方は褒められたものじゃなかった。



 本来、武器を投擲などすれば所有権を放棄したとみなされ、数秒後に武器が消滅してしまう。

 今回は勝利条件がダメージ関係なく一撃当てること、初級万能武器を使えたからこそ出来た荒業だ。



『さて、俺からの褒賞はコイツだ!』



 そう言ってアクセルが何もない空間に手を突っ込み、何かを取り出した。



「インベントリも使えるのかよ…………それより、これは金属製のゴーレムか?」



 30センチ程の丸い頭部に、一回り小さな丸い胴体、その胴体から伸びる細くしなやかな腕。

 脚部はないようで、アクセルが取り出した瞬間から、コロンと地面に転がっている。



『ただのゴーレムじゃないぞ?かなり特別製だ』



 このゴーレムはアクセル達が旅の道中で見つけた物を、アクセル自身が改修した特別製らしい。



 戦闘用ではないらしいが、稼働による劣化がない。今はコアというゴーレムの心臓を抜いている状態で、コアを嵌めれば再び稼働するとのことだ。



「たしかに凄いけど……」


『まぁ待て、凄いのはここからだ』



 なんとこのゴーレム、制限はあるがオリジナルレシピを使ったアイテムの製作が可能らしい。



 例えば回復アイテムだ。先程ステラに貰った【ポーション・改】というアイテムはオリジナルレシピに分類されるため、レシピがないとテラは製作出来ない。



 しかしこのゴーレムであれば、【ポーション・改】というアイテムを1度でも認知させることが出来れば、レシピ無しで製作する事が出来る。



 オリジナルレシピその物を生み出す事が出来ないのは一緒だが、レシピ入手の手間を省く事が出来るのだ。



 しかし万能な訳でもない。



 このゴーレムに嵌めるコアによって製作出来るアイテムの系統が変わり、1度コアを嵌めると変更も出来ない。さらにコアもアクセル、ミラ、ステラ、ソニアが持っている物しか存在しない為、実質4系統からの選択肢となる。



 アクセルが持つコアは、アクセサリー類の【彫金コア】


 ミラが持つコアは、魔道具類の【魔道コア】


 ステラが持つコアは、回復アイテム類の【錬金コア】


 ソニアが持つコアは、料理類の【調理コア】


 となっている。



「このゴーレムは生産ジョブを持たないプレイヤーの救済キャラな訳か……」



 これは非常に悩ましい。

 レシピが存在しない強力なアイテムなどを、1度手に入れれば量産出来るようになるかもしれないキャラだ。

 製作出来ないアイテムの場合、それは生産ジョブのプレイヤーでも特別なジョブ以外無理な物のはず。



「そう考えると……俺は調理コアかな!」


『分かった。コアを嵌めるのは家に帰ってからにしな!このゴーレムはあんまり速くは動けないから帰り道大変になるぞ?今の状態ならお前の荷物袋に入るからな』


「分かった!」



 どれも捨てがたいのは間違いないが、食材があれば毎日の食事代を節約でき、ホームでご飯を食べれるようになる【調理コア】をソニアから受け取り、【ゴーレム】と共にインベントリに仕舞う。



『しかし、本気じゃないとはいえ、まさか全員負けるとは思わなかったな!』


「俺も勝てると思ってなかったよ」


『ハハッ、またやろうぜ!今度はもう少し本気でやるからさ!』



 俺としても強敵と気兼ねなく戦い、PSを磨けるのは有難い。

 しかしアクセル達も、この地での用事は済んだらしく、また旅に出るため次に会えるのは約1ヶ月後らしい。



 以降、アクセル達は毎月25日にこの地に帰って来るようで、その時は湖から転移して会うことが出来るようだ。



「色々とありがとう!」


『おぅ!じゃまたな!』



 別れを告げ、ミラから貰った【簡易転移石】を使い召喚者達とホームに戻る。



 そしてホームに着いた瞬間、お知らせメッセージが表示された。



【ユニークジョブに進化する条件を満たしました。進化するジョブを選択してください】



「おっ?何だ?…………新生と新星」



 恐らくアクセル達関連のイベントをクリアした事で、俺のジョブが進化する条件を満たしたらしい。

 そして進化するジョブは2つに派生するようだ。



【新生】

 ・任意のタイミングで所有権のある全ての召喚者を一体の召喚者として融合する。


 ・融合した召喚者は全てのスキルを引き継ぎ使用可能で、容姿もキャラクタークリエイト機能を使って設定出来る。


 ・融合を行った後、プレイヤーは召喚士としての機能を全て失うが、全ステータスに上昇補正が加わる。



「ぶっ飛んだジョブだな……新しく召喚とかが出来なくなる代わりに超強力な召喚者と俺のステータスが上昇か……まさに新しく生まれ変わる感じだな」



【新星】

 ・以降プレイヤーは武器種が固定となるが、パーティ内の召喚者数による経験値減少が廃止される。


 ・プレイヤー、召喚者含めキャラクターレベルが1に戻るが、以降召喚者はプレイヤーが得た経験値を得るようになる。


 ・プレイヤーの武器スキルはジョブスキルに統合、経験値分配機能はアーツ【召喚者の心】に統合され、非戦闘時ホーム以外でも召喚者を自由に入れ替えることが可能になる。



「こっちは俺の武器種が固定される代わりに色々なデメリットが無くなる感じか。ゲームの仕様を新星爆発で破壊したってか?」



 今までとは違い、かなり詳しく説明が書かれている。それだけ後戻り出来ない選択であり、どちらも文句無しに強力だが、俺にとって悩む程の選択肢では無かった。



「こんなの新星一択だろ!」



 召喚者が融合すれば能力は引き継がれるが、個性や性格、人格までは引き継げないだろう。俺は召喚者の皆が大切だ。



 新星なら俺が煩わしく思っていた全てが解消されるのだ。



「Lv1に戻るなら先にミラとセラの進化をさせた方が良いな!随分引き伸ばしたし、先にミラとセラの進化やっちゃうか!」



 ―ミラ―

 Lv:1

 種族:ラプラス

 HP:15/15

 MP:30/30

 筋力:6

 耐久:6

 敏捷:7

 器用:7

 魔力:17


 ―スキル―

 ・魔姫Lv1

 ・上級回復術Lv2

 ・節約術Lv2

 ・魔鎌術Lv3



 ―アーツ―


 ・「魔姫」:【月下美姫Lv1】


 ・「上級回復術」:【ダークヒールLv2】・【ダークキュアLv1】


 ・「節約術」:【消費MP減少Lv2】


 ・「魔鎌術」:【薙ぎ払いLv2】・【飛刃Lv1】・【ヘルスプリットLv1】



 ―月下美姫―

 ・戦闘開始時、低確率で相手を魅了し、一定時間動きを封じる


 ―ダークキュア―

 ・低レベルの状態異常を治療する


 ―飛刃―

 ・斬撃を飛ばし敵に物理ダメージ


 ―ヘルスプリット―

 ・空中から斬り下ろし敵に物理ダメージ



「ステータスはともかく、また随分と色気が増したな……種族はラプラスか」



 ミラも進化して同様に体が大きくなったが、服装や仕草も相まってかなり大人びて見える。



「種族スキルも魔姫だもんな……」



 ―セラ―

 Lv:1

 種族:ヴァルキリー

 HP:15/15

 MP:25/25

 筋力:5

 耐久:5

 敏捷:8

 器用:7

 魔力:15


 ―スキル―

 ・戦乙女Lv1

 ・全属性魔法術Lv3

 ・エンチャント術Lv4

 ・クロスレンジ術Lv3



 ―アーツ―

 ・「戦乙女」:【祝福Lv1】


 ・「全属性魔法術」:【スフィアLv3】・【レイLv2】・【アギトLv1】


 ・「エンチャント術」:【属性エンチャントLv3】・【魔撃エンチャントLv4】・【攻破エンチャントLv1】・【防破エンチャントLv1】


 ・「クロスレンジ術」・【デッドレンジLv2】・【アサルトレンジLv3】・【サテライトレンジLv2】・【チェインブレットLv1】



 ―祝福―

 ・戦闘開始時、短い一定時間パーティメンバーの一部の状態異常を防ぐ


 ―アギト―

 ・広範囲に魔法ダメージを与える


 ―チェインブレット―

 ・効果中、連続して攻撃を当てるとダメージが上昇。最大で150パーセントまで上昇



「攻破と防破エンチャントはデバフと……にしてもセラはヴァルキリーか。格好も相まって、まさに!って感じだ」

読んで頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ