01話
\とりあえず長編にしました/
今日も今日とて、私の幼なじみは美しい。
私は、その辺にいる女子高生。名前は夜神壱羽。高校2年生の16歳。賑やかなクラスの片隅で、注目を物ともせず喋り倒す幼なじみを眺めるのが私の暇潰し。
「でさ、今度一緒に行かね?」
「女を誘えば良いだろ。俺を誘うな」
「いや、フラれたからお前に聞いてんだよ」
私には二人の幼なじみがいる。その幼なじみは双方ともにイケメンに分類される。美形の中の美形。つまるところの少女漫画にありがちな、両手に花の関係だから上下関係なく私は女子たち、更には女性教員にまで恨まれている。
「壱羽は行くって言ってくれたぞ?」
「…は?」
「なあ壱羽!お前も明日行くよな?」
「うん、パフェ食べに行きたいから」
昼休み。生徒たちが行き交うクラスの真ん中で、私は恨みの籠った視線に晒されながら頷いた。あくまでも、これは日常茶飯事。この幼なじみに話し掛けられるだけでこれだ。
私に話を振ったド派手な銀髪蒼眼の涼風仁。右隣に住んでいて、両親が海外で働いているから家事だけは上手な男子高校生。洋食と洋菓子がとっても上手。フルーツチョコタルト最高。
「あれだけ太った太った騒いでおいて、目的はパフェなのか、壱羽」
「限定らしいから。今回ばかりは仕方ないよ、鷹臣君」
仁君と違って、大人しい色合いの黒髪に藍色の目をした九鬼鷹臣。左隣に住んでいて、こっちも両親が海外で働いているから家事は上手。鷹臣君は和食と和菓子。和菓子は滅多に作ってくれないけど、練りきりとかみたらし団子とかマジ美味しい。
「それに明日の食事代は仁君がしてくれるし」
「お前、そっちが本音か」
つまるところ、仁君も鷹臣君も家事の腕は最高だと思う。母顔負け。ま、私たちに母親という母親は居ないけど。
「それより二人共、明日はバイト休みなの?土曜日、って言うかいつも忙しそうなのに」
「ん?あぁ、休みだよ」
「休みをくれねぇと、とっとと辞めちまうぞって脅したら土日と休みをくれた」
「そうなんだ」
「たまには可愛い可愛い幼なじみとデートしないとな」
ニタリと笑う鷹臣君。仁君も似たような顔をして笑った。バイトと言えど、一体何処で何をしているのか、私には全然教えてくれない。別にからかいに行かないのに。
「丸一日?」
「おう、勿論日曜日もな」
「ほんと?」
頭をわしゃわしゃ撫でられた。仁君の言葉は本当なんだろう。揃って一緒に居れるのはいつぶりかな、半年ぐらい?仁君、もしくは鷹臣君、どちらかとだけ過ごす日が続いていたけど、今回は揃って休みらしい。
シフトが合わないって、どんなバイトをしてるんだろう。バイトを始めて長い。長いのに都合がつかないってどんなバイトだ?
「あ、でも今日はバイトあるから先に帰れよ」
「うん。夕飯の下ごしらえしとく」
「唐揚げ食いてぇ」
「じゃあ鶏肉浸けておく。あとは味噌汁とサラダ?」
「だな。頼んだぞ、壱羽」
「ウィーッス」
恨みがましい視線は一層強くなる。だけど、気にするだけ無駄なのだ。一度、先輩たちに呼び出されたことがある。呼び出された私は何をするまでもなく、その制裁を受けた。制服で隠れる所を重点的に痛め付けられた。あれは痛かったよ、骨に異常はなかったけど腫れが引かなくて参った。
「多分そんなに遅くはならないから」
「俺も早いと思う」
で、余りの痛さに機械じみた動きをしていた私に、不信感を抱いた鷹臣君は、私の身ぐるみを引っぺがしてーーーあとは察してほしい。仁君がキレて制裁を下した先輩たちに釘どころかナイフを突き刺し、鷹臣君は学校に私に危害を与えたら分かるよな?と脅しをかけた。どっちにしろ脅しでしかないのだが、それが案外利いていて、誰も私に近づこうともしない。
今ではありがたいんだけどね。ないとは言い切れない、馬鹿な先輩の呼び出し。だけど、応じるつもりも言われもない。馬鹿な先輩や後輩がたまには居るんだけどね。
「ま、帰って来る前に電話よろしく」
私たちは一緒に住んでいる。真ん中の私の家で住んでいて、高校生だけの三人暮らし。親姉弟は皆が海外。残されたのは、私たちだけ。寂しくなんかない。ずっと一緒だから。




