↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【レグニア王国物語】魔王を討伐したら終わりだと思った?今度は腐敗した貴族社会がお相手のようです。〜勇者パーティは政争の道具じゃありません!〜  作者: たけぞう
勇者パーティの帰還〜それぞれの選択〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/39

魔王討伐からの帰還〜それぞれの選択〜大聖女と剣聖のプロポーズ

ようやく魔王を討ち果たした勇者パーティ。

しかし、彼らの帰還後を待っていたのは、人間同士のドロドロとした権力争いだった…


勇者、大賢者、剣聖、大聖女の4人だけでなく、王族(王太子、第一王女、第二王子など)、門閥貴族、教会組織など、様々な立場の思惑が交錯する群像劇です。

創世神話からしっかり組み上げたハイファンタジーの世界観をお届けします。


お楽しみいただけましたら幸いです!


 魔王を討伐し、世界に平和をもたらした勇者パーティ。


 その帰還後、絶大な影響力を持つ彼らを政治的に取り込みたい王家の思惑から、内々に王族との婚姻話が持ちかけられていた。


 勇者と賢者はすんなりとその申し出を受け入れたが、剣士レオンハルトはやんわりとそれを断り、聖女フィオナは返事を保留していた。

 立身出世に興味のない二人は、好きでもない王族と結婚して政争に巻き込まれるより、好きな人と一緒に過ごしたいという気持ちの方が強かったからだ。


 そして、二人に剣聖と大聖女の称号が贈られる事が決まった、その日の夜――。


【王城中庭】


「あの二人は上昇志向が強かったからなぁ。この先、国を牛耳って行くつもりだろうなw」


 レオンハルトが軽口を叩くと、フィオナはあきれたようにため息をつく。


「国の行く末を考えていらっしゃるのですよ。剣にしか興味のない剣聖様と違ってね?」


「む! 剣だけではない! ……君も……その……君のことも……」


 そこまで言うと、レオンハルトは急に口籠もってしまった。


「あら、私のことが、なんですか……?」


 フィオナはおもしろ半分、期待半分で、からかうように彼に水を向ける。


「……い、いや、なんでもない……」


 ここまで来てまだ煮えきらない態度に、フィオナはふっと拗ねたような、しかしどこか楽しげな顔を見せた。


「そうですか。……ああ、そうだ! 私にも、王族との婚姻話が持ちかけられておりまして……」


「な、なんだって……!」


「そんなに驚きます? 剣聖様にも、第二王女様とのお話があったときいていますよ? だったら、私にだって同じようなお話はくるでしょうに」


 呆れたように彼女はふうと息を吐きだす。


「そ、それで……その……君は……なんと?」


「さぁ、どうでしょう? まだお答えはしてませんが……私も、上昇志向が高いかもしれませんね?」


 レオンハルトは慌てた様子で、ぶんぶんと首を横に振った。


「そんなことはないだろう! 聖職者は、現場から離れて高位に登ると堕落する! と、いつも上層部を批判していたではないか!」


「…だからこそ、上からの改革が必要と考えてるかもしれませんよ……? 王族ともなれば、腐敗した組織の改革に着手できるかもしれませんしね?」


「そ、そんな……」


 絶望感に打ち拉がれている彼をみて、フィオナはわざとらしく小さく肩をすくめる。


「剣聖様は、お話をお断りしたと聞いていますが、なぜですか?」


「それは……俺は剣のこと以外は分からんし……政治的なことに利用されるのは……」


「それだけですか……?」


「……は?」


「理由は、それだけですか……?」


「それは……その……」


 歯切れの悪い態度に、フィオナは冷たく言い放つ。


「ま、私には関係ないですかね。……王族になったからって、急に態度を変えたりしないので、気軽に会いに来てくださいね?」


「なっ……それでは……!」


「私も、教会組織の一員ですしね。王家と教会の関係性を考えると、大した理由も無いのに、王家の申し出を断る訳にもいかないですし……」


「そ、そんな……」


「それに、内々の話で一応表には出ないとは言え……王族の方にだって立場ってものがありますし……。剣聖様に断られた王女様、ショックで引きこもってるそうですよ? かわいそうに……」


 ジロリと、鋭い視線でレオンハルトを睨みつける。


「うぅ……それは……その……」


 口の中でモゴモゴと言い訳を呟く彼を一瞥すると、フィオナは諦めたようにふっと表情を緩めた。


「もういいです。勇者様が、『あいつにチャンスをやってくれ』って言うので来たんですけど……」


 レオンハルトは急な展開に事態が飲み込めず、怪訝そうに眉を顰める。


「いいんですか? 返事の期限、今日中なんです! このままだと、私、会ったこともない第三王子様と結婚しちゃいますよ? ねぇ、いいんですかぁ!?」


「っ……!」


 圧倒的な勢いに押されて、レオンハルトはフルフルと慌てて首を横に振った。


「そうですよねっ!? 嫌ですよねっ!?」


 今度は、カクカクと激しく縦に振る。


「私のこと、好きですよねっ!? 大好きですよねっ!?」


 そのまま逃げ場を失ったように、カクカクと頷き続ける。


「じゃあ結婚っ! しましょう!」


 レオンハルトの目が、信じられないものを見るように大きく見開かれた。


「まだ、交際もしてないのにっ……!?」


「もうっ! 一緒に五年も旅してたんですよっ!? お互いのこと、ヘタな夫婦よりよく分かってますよねっ!? もう、ほとんど付き合ってたようなもんでしょうがっ!」


 フィオナは一歩踏み込み、レオンハルトの胸にツンと人差し指を突きつけた。


「それにっ! 大聖女が王族との婚姻を断る理由なんてっ! もう『結婚が決まってる』くらいじゃないと無理ですよ! ねっ、そうですよねっ!?」


 またもや魔法にかかったように、レオンハルトはカクカクと頷くしかない。


「決まりですっ! ほらっ、懐に隠してる指輪! 薬指にハメてください!」


「な、なぜ指輪のことを……っ!?」


「もうっ! 旅の途中、お店で私が気に入って見てた指輪ですよね?

後でこっそり一人で買いに行ったのも、告白しようと思ってできないまま、ずっと懐にしまっていたのも! 全部! ぜーんぶ! 知ってましたよ!」


「な……なっ……!」


「もうっ、驚いてないで! それが婚約指輪で良いですから! ね?

は・や・く!

ハメてくださいっ!」


夕闇の中、真っ赤になりながら薬指に指輪をはめていく男の頭を、フィオナは愛おしそうに見つめる。

 不器用で、決断できなくて…でも、いざとなれば誰よりも頼りになる私のパートナー。

 彼女はそっと彼の耳元に顔を寄せ、悪戯っぽく、けれど最高に甘い笑みを浮かべて囁いた。


「幸せになりましょうね?

…あ・な・た♡」

お楽しみいただけたでしょうか?

投稿初日は、一区切りが着くまでの査問会議編まで投稿します。


ある程度の結末までと多数の番外編のストックがありますので、その後も順次更新していきます。

安心して読み進めてください。


面白いと思っていただけましたら、ぜひブックマークや高評価で応援していただけると、今後の執筆の大きな励みとなります!

ぜひ最後までお付き合いいただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。