第六話 お前ら何者?
Battle of Hamamatsu!
車から出てきた5人。
祈『奸士っぽいね』
浜松駅の近くにある巨大な建物、浜松アクトタワーに車がいくつか投げられた跡があり、火災が起きている所や一般人がパニックに陥っている所もある。
始明『多分な、あのデカいビルにまだ人間がいる。アウは彼らを助けてやってくれ』
アウ『承知しました!』
アウはアクトタワーに入る。
祈『私は周辺で助けが必要な人見つけてくるから』
始明『オッケー。出来たらアイツが人を殺さないように避難誘導してくれ』
祈『はーい』
祈は浜松駅構内に入る。
⁇?[あの女は後回しで良さそうだ]
徳弘『もう殺っていいですか?』
始明『やってみな?』
仭『よし、じゃあ徳弘!行くぞ』
青く透き通った盾を仭は両腕に発現させた。
徳弘『おう!』
⁇?[戦闘状態に入ったね!]
彼は背中や腕から人の顔面がバラされたような模様をしている真っ赤な触手が何本も生えてきた。
⁇?『死ね!』
その触手の先端には真っ白な針が付いている。その触手は仭達に向かい、襲いかかる。
仭『気を付けろ徳弘!』
仭は触手を切っていく。
徳弘『そんな事言われても避けるしか...』
[いや、賦力で抑えれる?]
手の甲に口を当て息を放った徳弘は触手2、3本に賦力を当てた。
⁇?『!?』
[動かない...もう一人の少年の賦力か]
仭『斬首ー!!』
彼の首に斬りかかる仭。盾が首に触れる寸前...
⁇?『甘いわね』
仭『ヱ?』
突如触手が変化し人間の口に変化した。歯は真っ白だ。
⁇?『喰』
仭はパクッと喰われた。
徳弘『マジかよ!?仭!』
始明『安心しろ。まだ奴は弱い方だ』
⁇?『何?』
キレ気味で彼は言った。
徳弘『・・・おい奸士!お前何がしたいんだよ』
⁇?『人をそう不名誉に呼ばないでほしいわよ。本当に鬱陶しいね』
徳弘『じゃあ名前教えろよ!』
始明『お前の名前これから虹色マン!』
徳弘[何考えてんだこの人!?]
彼は触手を徳弘達に勢いよく突き立てる。
辟月『辟月と呼びなさい!』
攻撃を始める辟月に徳弘は避けながら混乱する。
徳弘『俺何すれば良いんすか!?武器持ってないですよ!』
始明『徳弘!手蛾を当てまくれ!お前に出来る事はそれだけだ』
触手にぶつかり吹っ飛ばされるそうになる徳弘。
徳弘『うわっ!手蛾って何すか!?』
始明『お前の賦力だよ!』
徳弘は手蛾をまた当てるが、触手が一時停止するだけだった。
辟月『そんなことしたって効かないわよ。私自身に当てないと』
徳弘『じゃあこっち来いよ...』
始明[攻撃が探りずらい...コイツ賦力持ってないぞ。神でも奸士でもない]
始明も透明化したり、鋭い針を掴んで投げるなどして触手を華麗に避けていく。
始明[神は人間をそのまま食べない。内臓や筋肉を取り出し、焼いたり加工して食う。神は俺らのようにそれぞれ食い物の好みも違う。だから神に襲われた人間の死体は一部がもぎ取られている事も多い。辟月と名乗るアイツは俺たちや一般人を襲い...いや、食っては無さそうだ。ただ無差別に襲っている。神でも無い、一体何者なんだ?]
始明は彼に鋭い視線を向ける。
始明[恐らく全身に縫い目があるな...誰かに創られた?]
徳弘『もう限界っす!』
始明『徳弘は武器あった方が良さそうだね』
辟月[もう一人の男は補助的な奴かしら...後で殺そう]
『終わりね、あなたは。さようなら』
徳弘『マズッ!』
徳弘は数多の触手に腕を巻き取られ、一本の触手が徳弘に近づく。
徳弘『須ケ牟田さん!ギブ!』
始明『まだだ徳弘!諦めんな!』
徳弘[そんな...俺、見殺しにされんの?]
だが突然、徳弘の前にある一本の触手に異変が起きる。
辟月『ん?なんで動かないのよ』
その触手の中で青く光り、バラバラに裂けて仭が登場した。
仭『復活!!!』
徳弘『仭!ナイス!』
仭は徳弘に纏わりついている触手を切り裂いた。
徳弘『もう一回行くぞ!』
始明[まさか!?]
『すまん!一回浜松駅構内に行く。何かあったら逃げて来い!』
辟月[逃げた?]
徳弘『えぇ...』
仭『ここを俺ら二人で任されたんじゃね?』
徳弘『だったら良いな!』
迫り来る数本の触手を徳弘が手蛾を当てて止める。仭はその止まった触手を切り裂いていく。
仭[ただ闇雲に斬れば良いってもんじゃ無い!斬っても斬ってもまだ触手は生きてる。突然針も出てくる可能性だって...その後を意識しろ!]
徳弘が触手を止め、仭が斬り裂く。このシンプルなローテーションを続けるにつれ、辟月は焦っていく。
辟月[私の触手は無限じゃ無い。尸虣先生が何百人もの人間を使って作ってくれたんだ。でも再生はしない。斬られた触手はもう戻らない。早くコイツらを殺さなければ!]
だが辟月は気付いている。このままでは勝てない。
辟月[立て篭もるしか...]
辟月はアウが一般人を救出している浜松アクトタワーに逃げ込んだ。
仭『うわ逃げた!』
焦燥感を徳弘は感じた。
徳弘『中にはまだアウさんと市民がいる、急ぐぞ』
浜松アクトタワー展望台にて、火災報知器が鳴り響き混乱する人々に辟月は触手で拘束していく。
一般人A『うわっ!何だアイツ』
辟月[こいつらを遮蔽物に!]
人間の盾。戦争や紛争で敵の攻撃を逡巡させるために民間人を攻撃目標の周辺や内部に配置する手法。過去にはISIS、イスラエル国防軍やミャンマー国軍、中世ではモンゴル帝国などが使ったとされている。
辟月[これで容易には私を攻撃できない!]
仭達が浜松アクトタワー45階に到着する。
45階は展望台が位置している。
徳弘『通路が狭すぎる!』
仭『隣はもう外だからな...』
[投げ出されたら死ぬ!]
徳弘『いたぞ!』
辟月『速いね!』
一般人B『助け...助けてくれ...』
拘束されている血だらけの人々を辟月は前に出す。
辟月『来なさい!』
仭『これじゃ前に出て攻撃できないじゃん!』
徳弘[手蛾を放っても...]
徳弘は樋口彗諾の言葉を思い出す。
一般人には即死級だからな?扱いには気をつけろよ...
徳弘[ダメだ!4人もろとも殺してしまう...]
辟月『速く来ないとこのおっさん達の大脳を捻り潰すわよ』
一般人B『助けてくれ!』
一般人C『嘘だろ...』
彼らは恐怖で頭が埋もれていく。
仭『どいつとこいつも人質とりやがって...いい加減にしろよ閑人!』
徳弘『仭!まずは人質に取られてる人を助けるぞ!』
仭『その後は?』
徳弘『その人達を安全な場所に』
仭『そんな時間ないだろ!その間攻撃されるかも知れないんだぞ?』
徳弘『もう一人いてくれれば良かったけど...アウさんはどこにいるか知らないし』
仭『全員は助けられないかもな...クッソ、仕方ない。やるぞ!』
徳弘『おう!』
辟月[バカだねぇ...この4人の命は私が物理的に握っているのに。今すぐ潰してもおかしくないよ...。全員一気に潰そう♡]
不気味な笑みを浮かべた辟月だったが、突然後ろから蹴りを入れられ倒れ込む。
仭&徳弘『!?』
⁇?『拘束を解いて!』
仭『あっ、はい!』
[この声は...]
4人に纏わりついている触手を仭は切り離し避難させる。
徳弘『あなたは!』
粉塵が舞う中出てきたのは...
アウ『どうも、体術を須ケ牟田様から習っていたので...』
辟月に一撃を入れたのは執事のアウだった。
仭『アウさん!?戦闘もいけるんですか?』
アウ『賦力は無いので戦力外ですよ。奴はそろそろ起き上がるのでお願いします!』
アウは一般人を救出させる為に仭達の後ろへ走った。
徳弘『分かりました!後ろの人達を頼みます!』
怒り狂う辟月は起き上がった。
辟月『何だよ...もう。大概に!』
全触手を総動員して仭達に向かわせる。
徳弘『俺が止める!』
手蛾を襲いかかる触手に発動させた。だが、触手は止まる事を見せずゆっくりと近づいていく。
徳弘[限界が来たか?]
仭『解け徳弘!』
手蛾を解いた徳弘は右腕が痙攣しその右腕を左手で押さえる。
筋肉は水を多く含む組織。約70%から80%が水分とされている。手蛾は自身の腕の筋肉から水分を取り出しその水分を万能溶媒と変えて相手に放ち相手の体内を壊していく。徳弘は手蛾を長時間放ちすぎ、そして水分不足により右腕が痙攣した。
一方、浜松駅構内にて
始明[一応襲われた人間の数は少ない。食っても無い。死者も恐らくいないだろうな]
祈『あ、始明ー!』
始明『祈。死者は?』
祈『見た感じいなさそうだけど...ていうか仭君達は大丈夫なの?』
始明『まあアウもいるし大丈夫そうだけどな...なんで俺らを襲いにきたと思う?』
祈『・・・確かに。普通来ないもんね』
始明『俺の憶測だけど、誰かは知らんが奸士が創った実験体かもしれん』
祈『あんなの作れる?』
始明『奸士の事だ、よくは分からない。だが、倫理観が欠如した奴、頭のネジが外れてるやつも多くいる。神だった人を喰う。可能性はあるよ』
祈『・・・まあね』
始明『俺は駅を出る。お前は?』
祈『外に民間人はいないんでしょ?』
始明『もうほぼみんな避難してるよ。多分大丈夫だとは思う』
祈『じゃあまだここに残ってるよ。まだ迷子の子供がいるし』
始明『駅員は?』
祈『いないんだよ!それが、どこ探しても居なくて』
始明『駅員だけ全員逃げるはずはない。逃げたとしても...いや、それを考える必要はない。避難誘導している際に厄介認定されて殺されたか?』
外から大きな爆発音が鳴った。
始明『ここは頼んだぞ!』
祈『はーい』
素早く駅のホームを駆け抜けていった。
徳弘『俺に構うな!行け!』
仭『そんなッ...グッ!』
仭は辟月の触手によって払い除けられ外に放り出された。
仭[やばい!!]
辟月『死ねぇ!!』
辟月も外に出て仭を拘束し勢いよく地面に衝突させようと地面に向けて押し出していく。
仭『触んなぁ!』
手が使えない仭は触手を噛みちぎっていく。
仭の強力な咬合力によって辟月は激痛の表情を顔に出す。
辟月『ギャァァァ!』
仭[辟月の体勢が崩れた!コイツをクッションにして落下の衝撃を和らげる!]
辟月と仭の立場が逆になる。
辟月[衝突する!!]
彼らは近くの駐車場に落下した。ドン!と衝突音が鳴り響くと、辟月は落下した衝撃で全身が骨折しボロボロになってしまった。かろうじて足は折れていない。触手もほぼ全て使い果たした彼は逃亡を決意した。
仭『テメェ...俺に初キルさせろよ!』
仭も既に限界だ。
辟月『今回は引き分けね。さようなら!』
仭『逃げんなチキン!』
辟月は始明や祈、アウを恐れて素早く市内を駆け走る。
辟月[ここまで来れば!もう!]
突然白い縦状の光が辟月を襲った。
辟月は何が起こったかは分からない。立ちすくめるが、次の瞬間体が縦に真っ二つに割れて倒れた。辟月の命はもう無い。
そして、辟月の前には白い簪を持った仭や徳弘と同じくらいの年頃の少女がいた。
⁇?『死んだ?』
第七話 キラキラルームシェア
coming soon...




