お姫様、危機一髪
コンテスト用の小説の執筆等があり、遅れましたごめんなさい!
「よろしくないです」
リュウジはそう言うと、背後からかけられた声を無視して歩き続けます。
なので、アキと私もその後に続いて歩いていると
「まあまあ、そんなこと言わずにちょっとだけさぁ……」
と、今度は派手な格好の男が私たちの前に立ちはだかりました。
「……何の用ですか?」
と、私を庇うように立つリュウジ。すると、後ろから声をかけてきた男も私達に追いつき、2人で挟み込むような状態になりました。その男の姿を見た私は
「あっ、あなたは今朝の!」
「はい…」
後ろからやってきたので今まで気づきませんでしたが、その男は私が今朝ぶつかってしまった大柄で黒い服を着た男性でした。男たちは2人ともどこかピリピリした空気を出しています。私の世界の戦いの前の会議のような雰囲気でした。
「えっ、何?知り合い?この前?絡んできたとかいうチンピラ?…やっちゃっていい?」
「アホ、どう考えても勝てないからやめとけよ。しかもこの前のチンピラじゃないって……」
アキにリュウジが冷静にツッコミます。そんな様子を見てなのか、2人の男たちのピリピリした雰囲気も急に弱くなったようでした。
「で、何の用でしょう?」
私が大柄の男性に尋ねると、代わりに派手な格好の男が笑いながら答えました。
「いやもう大丈夫、人違いだったわ。ごめんね!」
「……お騒がせしました」
2人は口々に謝ると、立ち去ろうとしました。
「グリムリーパー!」
突然アキが叫んだので場の空気が硬直しました。私たちはもちろん、立ち去ろうとした2人まで立ち止まり、こちらを振り返ります。
「……も出てくるのかな今回のは!?」
アキが必死に私とリュウジに目配せをしてきます。話を合わせろということなのでしょうか。
「……は?」
私は、気づいていないリュウジの脇腹をこっそりつつきます。するとリュウジはやっと意図に気づいたようで
「あ、いや今回のには出てこないかな?」
「なーんだざんねーん!」
そう言いながら何事も無かったかのように歩き出すアキ。すると先程の二人の男も硬直から解け、立ち去っていきました。
「……やばい、やばいよあれ……」
2人との距離が十分離れたのを確認してアキが言いました。
「たまたまカマかけてみたらまさかの……」
「姉貴も危ないことするな……あそこで上手く誤魔化せなかったら、死んでたぞ多分…」
「いやでも、いざとなったらアイリちゃんがいるし…」
「私をあてにされても困りますよ!?」
上手く誤魔化せたかはともかくとして、なんとか無事に乗り切れてよかったです。
私に反応してたのと、グリムリーパーという単語に反応してたことから考えても、先程の男たちが、神社で会った少女の言っていた「〝死神〟グリムリーパー」だということはほぼ確かなのでしょう。咄嗟とはいえ、それを明らかにしたアキの機転は流石というべきものですが……
「でもなぜ彼らは私のことを人違いと言ったのでしょうか……?」
「1つ、アイリちゃんのことが目的の魔法使いだってことがわかったのでもういいやって思った」
アキが人差し指を立てながら仮説を述べます。
「2つ、アイリちゃんは目的の魔法使いじゃなかった」
「そして3つ、これのおかげ」
アキは私の髪の毛を束ねているヘアゴムを指さしました。
先程少女に貰ったものを早速アキがつけてくれたのでした。
「ほんとにご利益あったんだなこれ…」
リュウジがしみじみと言います。
「だから、あくまで仮説だってー!よく分からないよ私にも」
「まあとりあえずあいつらは要注意だな。人違いらしいけど、マークされてたことには変わりないし……」
「ていうか同じアパートにいるんでしょあいつ……大丈夫なのかな?」
「うーん…まあ、突然いなくなるのも不自然だし、いつも通り過ごせばいいんじゃないかな?」
リュウジとアキがそんな会話をしていると、私達は自宅のアパートの前にたどり着いたのでした。
いつも読んでいただきありがとうございます!
次回はついに戦闘シーンアリです!




