40話:休日
あれからギルドは条件付きでダンジョンを開放した。条件は抵抗力が70以上であること、状態異常を無効化するポーションを持っていること、脱出用の転移アイテムを持っていることだ。
本来ならば死者を出した魔物を突き止めて排除してから開放するべきなのだが、その魔物がなかなか姿を現さないこと、高ランク冒険者でも有名でもない俺たちだけがダンジョンに入っていることからほかの冒険者たちの不満が高まってきていることなどが理由で他の冒険者たちのダンジョン探索が許可されたのだ。
とはいえ、抵抗力70以上の冒険者なんてそうそういない。それこそAランク冒険者やBランク冒険者くらいだ。俺たちのステータスが異常なだけで普通はレベル30前後でステータス値が70を超えることなんてほぼない。レベル自体も俺たちほどポンポン上がらないみたいだ。
そのため開放されたとは言っても探索に入れるのはひと握りの限られた冒険者だけだ。制限がかかったことで俺たちのパーティーもレオン、ヴァン、ルナ以外はダンジョンに入ることができない。
「ということで今日は1日休みとします!」
「休み?」
ここ最近ずっとダンジョン探索で1日も休みが取れておらず、体に疲れが溜まってきている。なぜかレオンたちは俺の何倍も動いているのだがケロッとして元気そうだ。
だがしかし、高校で習った労働基準法に基づけば休みがないのはアウトだ。俺はホワイトな職場、ホワイトな雇い主を目指したい。上が休まないと下は休めないと言う話も聞いた。別に自分がレオンたちよりも上とは1ミリも思っていないが、彼らは俺をマスターとして慕ってくれているため恐らく俺が動けば彼らは俺の何倍も動こうとしてしまうだろう。それはよくない。十全なパフォーマンスは十分な休養から生まれる!
なのでつらつら理由を述べはしたが、結論は俺が休みたい!
「そう!ずっと忙しくて休めてなかっただろ?だから今日は1日、美味しいものをいっぱい食べて、あったかいお風呂に浸かって、ふかふかのベッドで寝よう!んでまた明日から元気にレベル上げといこう!」
「いいねぇ〜、俺はうまい肉が食いてぇな!」
「カイはいつもそればっかりね。でも私も美味しいお酒が飲みたいわぁ。」
「ナナもねぇ〜お魚いーっぱい食べたいっ!」
仲間たちも賛成してくれたところで、まずは買い物だ。ずっと保存食ばかりでまともなものを食べていなかったので今日はあたたかいものが食べたい。
「よし、じゃあみんなお小遣いを渡すから各自食べたいものを買ってそうだな、2時間後にスフィーダに集合しよう。ちょっとスフィーダの改装とかもしたいからゴメンなんだけど2時間は戻らないで街をぶらぶらしてきて欲しい!」
お金はここ数日の稼ぎでいっぱいあるので、1人あたり金貨10枚ずつ(日本円でおよそ10万円)を渡し、ペアもしくは3人ほどで行動してもらうことにした。お小遣いとは到底言えない金額なので落としたり盗まれたりしないように注意した。みんな俺と一緒に行動したがったが、俺はスフィーダでやりたいことがあるので俺抜きでまた恒例となりつつあるくじ引きをしてペアを決めてもらい解散した。
全員がそれぞれ街中に消えていったのを確認したあと、俺はさっそく街でいくつか買い物をし、路地裏の人目がつかないところでスフィーダに戻った。
「よし、じゃあ手際よくやるか!」
まずはスマホを操作してギルドの1階を改装する。増築したのは厨房。今日は仲間たちにねぎらいを込めて料理を振る舞う作戦だ。2時間後には仲間達が戻ってくるのでそれまでには完成させたい。
男子高校生ではあるが事情があって一人暮らしが長かったので料理はお手の物だ。
「久しぶりの料理だ。喜んで貰えるといいな。」
いつもは自分が食べるだけだったので適当に作っていたが今日は食べてくれる人がいる。せっかく作るんだったら喜んでもらいたい。
「まだみんなの好き嫌いは把握できてないしバイキング形式にするか!その方が作るのも楽しいし。」
ということで片っ端から思いついた料理を和風洋風中華関係なく次々と作っていく。
この世界には意外と調味料が揃っており日本にいる時と遜色ない料理を作ることができた。
ミラノ風ドリアにかぼちゃシチュー、海鮮カレー、チキンソテーにロースステーキ、包まない小籠包、麻婆豆腐、エビチリ、豚コマボールとナッツの甘辛炒めに唐揚げ、鮭のムニエルやホイル焼き、ポテトサラダ、シーザーサラダ、コールスローなどなど。カツも沢山上げたので希望があればカツ丼とかもできる。
「我ながら2時間でなんという大作……!みんなも食べ物買ってくるだろうしこんだけあれば十分でしょ!」
額に滲んだ汗を腕で拭いながら唐揚げやカツを2度揚げしているとギルドの外からみんなの声が聞こえてきた。
「マスター、ただいまぁ〜!ってあれ、なんかいい匂いがする!!」
「ほんとだ〜!マスターも何か買ってきたの〜?ナナも食べたーい!」
全員2時間ピッタリで帰ってきたようでそれぞれ手に買ってきた食材を持ちつつギルドの中に入ってきた。
「おかえり!みんな。さぁ、ご飯にしよう!」




