22話:5人目
「わーい!マスター!やっと会えたー!マスターもナナに会えて嬉しい?嬉しい??」
光の中からバッと飛び出して抱きついてきたのは猫獣人のナナだ。 猫耳をピルピルさせながら小さい頭をグリグリと擦り付けて来る様がとても可愛い。
「ナナ、もちろん会えて嬉しいに決まってる!これからよろしくな!」
ナナの頭を撫でながらはにかんで答えると小さい体で精一杯ギューッと抱きしめてきて
「これからじゃないよ!これからも!だよ!」
と、にーっと花が咲くような笑顔を向けてくるナナ。
(これが癒しか...。)
「あーん、ナナばっかりズルいわ〜!マスター、私のことも思う存分撫で回してくれてもいいのよ〜?」
と言いながら俺の腕をその豊満な胸に抱え込んでくるアイリーン。
「ま、また今度ね!」
柔らかくアイリーンを腕から引き剥がしレオンの後ろに隠れる。
「つれないわねぇ。レオンがちょっと嬉しそうなのが腹立たしいわ!」
「あらためて、3人とも来てくれてありがとう!本当に嬉しいよ。画面を挟んでしかやり取りできなかったのにこうして会って話せて、みんなの輪の中に入れるなんて本当に夢みたいだよ。それに他のみんなも待ってくれてるみたいだし早く金貨をたくさん稼いで召喚できるようにしよう!でもその前にまずこのギルドを拡張しないとだな。人数増えたら外食も難しくなるだろうしキッチンとかも作りたいね!畑もあるからある程度野菜は育てて畜舎も作って鶏や牛、豚とかも育てたいな。自給自足できる分はしていこう!」
「マスター、楽しそうだね。」
俺のマシンガントークにレオンが微笑ましそうに声をかける。
「うん、楽しい!今まで生きてきた中で今がダントツで幸せだよ。早くギルドのメンバー全員で過ごしたい!」
「まあ俺はこれ以上人は増えなくていいと思うがマスターがそう言うならしゃあねぇなぁ。」
ポリポリと頭を掻きながら仕方なさそうに優しい微笑みを向けてくるカイ。
「(マスターを独占しにくくなるので)私もそこはカイと同じ気持ちですがマスターのお望みとあらば私も微力ながら尽力いたしましょう。」
「ナナも!ナナも!マスターのためならたとえ雨のなか土のなかぁ!!」
「それをいうならたとえ火の中水の中じゃないかしら?マスター、もちろん私も協力するわぁ。」
「あるれぇ?」
「はは。俺もマスターの意に従うよ。6人いたら生活費もかかるけどその分早く稼げるだろうし。マスターが言ってたように節約できるところはできるだけ節約していこうか。とりあえず3人のレベル上げと資金調達のために狩りに行く?」
全員協力してくれるとのことで俺たちは早速ここ数日のルーティンと化している夜の魔物狩りに出かけることにした。
「あ、3人ともやっぱりレベルが初期化されてるね。」
ゲーム画面で確認するとアイリーン、シアン、ミミのレベルは1に戻っていた。やはりこちらに召喚するとゲーム時のレベルは引き継ぐことができずに初期化されてしまうらしい。
「今までみたいな感じで戦おうとすると体がついてこないと思うから最初慣れるまでは気をつけてね。」
森の中を歩きながらレオンが3人に注意を促す。
「確かに言われてみれば体が重く感じるわね。」
「ナナも〜!なんか動きにくいー!早くレベルアップしてビュンビュン動きたいなー!」
「早くまた戦力となれるよう精進いたします。」
それぞれが体の動きを確認している間にあたりの気配が変わった。
「来たぜ。」
最近やっと魔物の気配を感じ取れるようになってきたのだが、今は十数体の魔物に囲まれてしまっている。
「とりあえず早くレベルが上がった方がいいだろうし極力俺たちは手出ししないようにするよ。」
「それはそれで暇だがまぁしゃあねぇか。」
「じゃあお言葉に甘えて経験値頂いちゃうわねぇ。」
レオンの言葉に俺とカイは少し下がり、代わりにアイリーンたち3人が前に出る。
最初はアイリーンが攻撃するようだ。体の周りにポッと次々と火の玉を浮かせそれらを森に向かって一斉に放つアイリーン。
「森まで燃やさないでくださいよ。」
「分かってるわよぉ〜。威力は下がっても魔法のコントロールまで下がったりはしてないわぁ。」
アイリーンの言うように森の中からは次々と悲鳴が上がり、火だるまになりながら捨て身でこちらに向かってくる魔物たち。
「はいはーい!次はナナの番!いっくよー!スゥーーーフーーーーー!!!」
その魔物たちに向かって今度はナナが攻撃を仕掛ける。息を大きく吸ったかと思うと次の瞬間には口から凝縮された風の刃が魔物たちに向かって発射された。その刃は向かってきた魔物たちの首をどんどんとはね飛ばしあっという間に片付けてしまった。
「きゃー!たのしー!」
「最後は私の番ですね。」
そういうとフッと姿を消し、次の瞬間にはまたもや森の至る所から魔物たちの悲鳴が上がった。
「近くにいた魔物はこれで全て片付けて来ました。」
森が静かになったかと思うと急に俺の目の前にシアンが現れ恭しく礼をする。
「うわっ、びっくりした!ってもう?」
確かに森からはもう魔物の気配はせず、近くにはいないようだ。
戦闘を開始しておよそ3分で十数体の魔物を倒しきってしまった。これでレベル1だと言うのだから驚きだ。
「あら、レベルがいくつか上がったみたいだわ。」
「体が軽くなったのー!」
「この辺りはもう魔物はいないようですし別の場所に移動しますか?」
3人のレベルアップと共に自身のステータスの変化も感じ取り、ようやくこの『マスター』という職業の凄さを感じ始めていた。




