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57 サイレント・キー

 その日の夜、奈央は次の週末にでも遊びに行こうかと思い正行に連絡を取ろうとした。


VK6*** VK6*** de ZL1*** k


三回コールした。応答はなかった。しばらくたってもう一度、三回コールしたが応答はなかった。念の為にVK6RBPのビーコンを聞いてみたが、はっきりと聞こえた。


翌日も同じようにコールしてみたが、応答はなかった。


「この時間にはおるはずやのにな」


そう思うと気になり出して、すぐに航空会社に連絡を入れパースまでのプライベートジェットとその先、ラボまでのヘリをチャーターした。リサに連絡をとり、同行するように伝えた。


 ヘリはラボのフェンスの外側に着陸した。西AU独特の乾いた風が二人の顔をなでた。ここでは時間の流れ方が違うと感じたが、それ以外に何も変わったことはないように思えた。


 フェンスの鍵を開け中に入り、網膜認証でラボの扉を開けた。扉には何のメモも残されていなかった。扉を閉めてエントランスに入ると中庭に通じる窓が空けっぱなしになっていた。二人はそこを抜けて中庭に出た。中庭の灌木のそばで横になっている正行とそれを取り囲む十数頭の中型犬の姿があった。犬たちは思い思いの姿勢でくつろいでいるように見えた。犬たちの中には奈央のことを知っている個体もいたので、特にかまえるでもなく、また、威嚇したりもしなかった。奈央は犬たちを刺激しないように正行に近づいた。頸部にそっと手を当ててみた。拍動は感じられなかった。


 奈央は正行に一礼し、バッグの中から湊川から以前に受け取っていた獣医徽章を取り出し、ネルシャツの襟につけて、もう一度、ゆっくりと頭を下げた。



 後日、GB博物館に送った犬の毛根と頬粘膜の擦過細胞のDNA鑑定結果が返ってきた。


DNA analysis of submitted specimens (hair follicles and buccal swabs):

受け取った検体(毛根、および頬粘膜擦過細胞)


- No match among existing canids.

ー現存するイヌ科動物に該当する種は認められない。


- Identified as Canis lupus hodophilax.

ー過去の存在した「ニホンオオカミ」と完全一致。



善き哉、創造の極み

三木 正行



How good it was, at the height of creation.

Masazra Tui Miki  



おわり





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