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1-18.晩餐/湯浴み③

「さて、持ってく夕食の準備ができたぞ。そろそろ行けるかい、シン?」


小鍋に先ほど我々も頂いたシチューを入れた村長がやってくる。すっかり目元が赤くなっているが、シンも落ち着いてきていた。


「よし、私が送ってこよう。村長はゆっくり休んでいてくれ。」


「何だい、年寄みたいな扱いしやがって。」


「とんでもない。正直村長には商人の私ごときでは太刀打ちできる気がしませんよ。ちょっと急ぎの用事ができたのでそのついでです。」


「ふん、そう言うことなら任せるよ。……あぁそうだ、ヒロはシンとジルの、アストフ村の恩人だということを忘れるなよ。」


「―勿論。では行こうかシン君。」


「うん、ジョンさん!ヒロさん、また今度お礼しにくるから!またね!」


満面の笑みのシンのハイタッチに答えるとジョンに連れられて姉の元へ向かって行った。



「にしても、ジョンのやつ、色々聞きたがってそうだったけど良かったのか?」


「多分それよりも急ぐ仕事があったんだろう。シンを見送った後にでも部下に調査を命じに行く。」


「あぁー、俺らの後を付いて来てたのがあいつの部下か?まっ、あいつが一人な訳ないか。」


「そりゃー学校とか電気だっけ?あんな話出てきたら商人じゃなくても気になっちゃうもんね。」


村長はお風呂へ行った二人が流石に長いのではと様子を見に行ってしまい、再び冒険者パーティの面々から質問攻めが始まる気配がしている。


「もしかして学校で戦闘も色々勉強するんでしょ!?騎士学院とか魔法学院みたいに。」


どうやらこの世界では騎士になるための勉強や魔法の勉強ができる学院があるらしい。やはり異世界なんだなぁと実感しつつ明確なノーを返す。自分の世界は平和だった。戦う機会が無い。


「えっ?戦う機会が無いってどういう意味?魔物とかはどうするの?」


そもそも魔物がいない世界だったことを説明する。しかしエドもルカも言葉の意味は分かるがどうにも想像がつかないようだ。まぁ二人とも魔物と戦うことが仕事の冒険者だ。無理もない。唯一ラジェットは少し違う反応だ。感情があまり表情に現れないタイプに思われるがどこか寂しそうな顔をしている気がする。


「にしても、改めて聞くとホントに戦いが初めてだったんだな。剣を初めて持った日にこの戦果っていうのはすげぇじゃねーか!」


「確かにとんでもないことだよね。私なんて初めての討伐依頼、震えちゃってまともに矢が当たらなかったくらいだよ。……そういえば大丈夫?」


何か心配されるようなことがあっただろうか?確かに怪我はしたけどポーションがよく効いたし。ゴブリンが沢山いたけど勝ったし……。


「魔物とは言え生き物だからね。どうしても最初は抵抗がある人多いよ。自分の命も危険に晒されるわけだし。」


気分が高揚するバフだったか、あるいは感覚が麻痺するようなデバフだったか気分がニュートラルな状態に近づき、そして沈んでいく。


「ルカ、お前それはデリカシーがないだろ。俺でもわかるぞ。」


「えっ、でもだってぇ。心配だっただけなんだよ~」


少しずつ二人の声が離れ記憶の濁流に飲まれていく。


― 最初は一昨日の夜、太い木の棒で殴り殺した。骨が砕ける感触を知った。そういえば最後、自分ではとどめをささなかった。その前に剣を持った男が首を切り飛ばしたから。


魔法によるものか、ポーションによるものか翌朝にはすっかり治っていたはずの脇腹がジリジリと熱を帯びる。


「確かに少々荒療治だとは俺も思うが必要な一種の儀式みたいなものだろう。この世界で生きていくには逃げられないタイプのな。受け入れて慣れていくしかない。人として正しいのかは分からないが…。」


ラジェットが何か言っているが記憶に埋め尽くされた頭には雫一滴ほどの影響もない。


― 骨が砕けると言えばゴブリンが持っていた骨も武器にした。ゴブリンの頭蓋骨よりも多分脆かった。

― 剣の感触は初めての感じがした。包丁で肉を切るのとは訳が違う。そもそもあんなに長い刃渡りのものを全力で振りぬくことが初めてでないはずが無い。思ったより肉まではすっと切れるんだなぁ。


今度は手が熱を帯びている気がする。戦いの傷かそれとも興奮が冷めていないのか。気が付いたら視界が歪んでいる。考えるよりも先に青ざめた唇で震える声を絞り出す。


「ゴブリンって、魔物って子供生まれるんですか……?家族とかも……。」


「魔物の種類によって様々だが、少なくともゴブリンは子を産み、人間で言う所の家族に近いコミュニティを形成することが明らかになっている。」


洞窟の奥で出会った三匹のゴブリンは留守番を任された子供達だったのかもしれない。その中でお兄ちゃんが幼い兄弟を逃がそうと侵略者に立ち向かっていた様に見えてくる。外に出ていたのが大人たちだったのだ。帰ってきて子供が殺されていたら復讐するのは当然の事だろう。もし想像通りなら自分は―


「テイッ」


ペチッという音とおでこの痛みに現実に引き上げられる。


「難しいこと色々考えてるみたいだけどよ、今はヒロのお陰でジルちゃんが救われた。それでいいんじゃないか?」


「そうだよ!正直私たちが村に来てから薬草取りに行ってたら間に合ってなかったかもしれないし…。」


「あぁ、お前が気に病む必要は全くない。俺たち冒険者がやるべき仕事をやらせてしまったのがそもそもの元凶だ。冒険者を代表してと言うと偉そうだが、謝罪させてくれ。」


「『おー』」


パチパチと手を叩きながらエドとルカが茶々を入れるとラジェットは少し居心地が悪そうだ。だが二人も同じ気持ちのようだ。頭を下げてくる。


「もし次似たようなことがあったらよ、絶対俺たちが力になるから。だから無理すんなよ!っと」


背中を思いきり叩かれる。痛い。痛いがじんわりとした温かさを背中に感じるのだった。

よし、今週中に投稿の目標も一先ず達成!

次も来週中に投稿したい。。。


主人公ヒロのぐちゃぐちゃにかき乱された心の内を書きたいのだけど難しすぎる。

今回は思っていることは割とそのまま文字に書き起こしちゃったけど薄っぺらい気がしちゃいます。

シチュエーションが先輩冒険者に励まされる新人みたいな状況で重すぎないのがあるかもしれませんが、

やはりもっと雰囲気作りから必要なのだろうか。

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