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「旅人」


あの街は

良かったなぁと

思っているけど

帰りたいとは

思わない

二度と戻れない場所だから

こんなに心に

残っているだけ


時間は風に似ている

止めようとしても

決して

止めることはできないし

立ち止まれば

通り過ぎていくから

そして人が振り返るのは

いつも通り過ぎた後


記憶は水に似ている

こんな小さな掌では

全部掬いきれないし

思い出したくない記憶は

指の隙間から

こぼれ落ちていくから

そして人は

キラキラと輝く水面だけしか

見えていないから


あの頃は

良かったなぁと

思っているけど

戻りたいとは

思わない

いつだって

思い出は美化されて

辛かった記憶を

忘れさせているだけ

二度と戻れない場所だから

あんなに優しく

光っているだけ

人はみんな

戻る事のできない道を

進む事しかできない

旅人だもの


【第41号掲載 「佳作」】

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