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魔族の為にガンバります(建前)




魔王とは文字通り魔王。

魔族最強です。

魔王です。魔王になったそう。


なんで?






二年程前、妖精の里から追い出されて某達は放浪。

妖精に世間は冷たい何とか見付けた就職先であるオークの酒場、嫌な相手が多い。妖精って理由で。


根性の悪いオークの店長、そして妖精だとバカにする質の悪い客が沢山。まぁこれぐらいなら前世で社会人経験してますし華麗にスルーできる。精々料理に異物混入するぐらいで許します(えっ?)


「……ソレガシくんの場合は違うと思うな」


と一緒のバイトをしてるリュゼさんの証言。

衣装から結構人気。仕事の戦力としては意味がない。

なのにリュゼさんの扱いは悪くない。リュゼさんみたいな可愛い女の子と仲が良いと言う妬み?



そんな仕事先で許せざる客。


バイトしてた食堂で毎回食うだけ食って料金払わないとかふざけた客が居るんです。客か疑問ですがオークの店長が受け入れてるんで客と言うことで、その客には普段は偉そうなオークの店長がそのお客には愛想をふるんです。


そのお客は見掛けは可愛い女の子。

爬虫類の尻尾に黒い羽の生えたピンクの髪、見掛けは中学生ぐらい。ミニスカで胸はつるぺた。短いスカートの中を覗けても、中はスパッツと言う極悪な娘。


あのエロオーク確実に貢いでます。援交です。

オーク店長はロリコン(確定)


お客の名前は知りません。

呼称はツルペタさん。本人了承なあだ名です。

そのツルペタさんは……けっこういやな客。 


容姿は可愛く某に対しての口調とかについても悪い。

しかし……私と戦えとか弱い妖精に対しての陰湿な苛めもしてくる。お前は強いとかからかってくる可愛い顔して陰湿な娘。


妖精が嫌いかと言えばリュゼさんにはなにもしない。

ただリュゼさんには熱い視線を向けられるとか身の危険を感じてるそう。熱い視線、身の危険……百合でしょう。そうですね。つまり百合でリュゼさんと仲の良い此方が嫌い。



ある日、と言いますか。

ついさっき。

ツルペタさん相手に遂にキレた。

気の長い妖精さんな某が遂にぶちキレた。


某はバイトを初めてから三ヶ月ほどしてから、バイト終わりに日本が懐かしくて納豆を作っていた。

雀の涙みたいに少ない給料を貯めて何とか遣り繰りして意外に高い色んな豆を買って、失敗して泣いて、それでも続けて、なんとか二年して納豆の形になったモノが出来たんですよ。

その、その血と涙と汗の完成した納豆を、いざ食べんと言うときに……横からヒョイと無断でツルペタさんに食われた。  

まだ此だけなら許せますね。許せた。


納豆が美味しそうで我慢出来なかったと思えば……吐きやがりました。


「なにこれ気持ち悪い。もう腐ってるよ!」


ボワッと目の前で苦労して造った納豆が燃やされた。 


「は?」


二年の努力が一瞬で焼失。

…キレましたね。この世界で初めてキレた。ただ相手は女の子なんで怒りを言葉でぶつけるだけ、ツルペタの意味を教えた。


「胸がツルッとペッタン、略してツルペタ」


「むきゃぁあぁぉ!!そんな意味だったのか!!」


ツルペタさんが襲ってきやがりました!


「胸と同じで気も小さい!」


「うきゃぁぁあ!!!」


まぁ此方もキレてたんで女の子相手でも正当防衛ならOKだ!って感じで……反撃!!今までの怨みも込めて!!

妖精が弱い?……例え最弱でも弱そうな女の子なら勝てるわ!情けない?弱そうな相手に強気なのが某です!

とまぁ覚えてる風に言ってますが……実は納豆が燃やされてキレた後をほぼ覚えてなし。気付くと気絶して呻いてるボロボロなツルペタさんの髪を持って顔を上げさせてました。ヤバイよ。なにした自分!


「ソレガシくん!ストップ!ストップなのです!」

 

呻く女の子と必死に止めようとしがみついてるリュゼさん。 

ツルペタさん、中学生ぐらいの可愛い女の子がアダルト雑誌にも載れそうな格好な有り様。


「お、落ち着いたのです?」


「落ち着きやした」


何が起きたのか混乱中。


「……うう」


上着は小山と少しだけボッチが見えるぐらい破けて、下はスパッツとか剥ぎ取ってて、ピンクのパンツもズレて……完璧に事案!?覚えてないけど絶対に脱衣目的で戦闘をしてた!?自分のエロ本能に身震い!


周りには目撃者多数、恐々とした目で見てくるリュゼさん!

冷たい汗が流れた!

慌てて弁明の言葉を探してたら、妖精が魔王を倒した!?とか周りに叫ばれて…固まる。脳に言葉の意味が5秒ぐらいして思い浮かぶ。マオウ?意味が解らない。


「マオウさんって名前?」


「な!名前じゃなくて魔王だよ」


「魔王、魔王?まさか、この女の(ツルペタさん)が魔王?」


コクリ!


周りの魔族全員が頷く。


「某が魔王を倒した?」


周りに聞くとまた頷く皆さん。


(笑)


信じられるわけないですよね。

いや、だって妖精の里に居た時の簡単な狩りぐらいで戦いとは無縁。他に戦闘に使えそうな事なんて自給自足の時に魔法を使ってた位。


「ただの妖精が魔王に勝てる訳がない」


周りに聞いたらお前みたいなただの妖精が居るか!?ってリュゼさん除いて一斉ツッコミ。意味がわからないよ。


「ソレガシくん、マジなんです」


マジですか?……マジ?え、何がマジ?


それは置いとくとして服がエロい感じに破けてる女の子どうしようか悩む。


ジーーー。


「ソレガシくん?」


も、もっと見てたいとか思ってないよ。うん。取りあえず全壊した店の残骸のカーテンで、色々見えてる身体を隠す。カーテン掛けるときに止めを刺すのかとか人聞き悪いこと言われた。


「某は鬼畜でないよ」


「女の子の服を公衆の面前で破いた鬼畜なのですよ」


はい、鬼畜でした。

キレてて覚えてないんやんす。

 

「ぅ、うぅ」


ツルペタさん(?)が起きる。

目が開いて悲鳴とか上げられる……と思ってましたらね。

なぜか呆然とした後に笑顔。

  

「…あ…アハハハハ!!!」


突然の笑いにビビる。


「ま、まさか私が負けるなんて思わなかったよー。強いとは思ってたけど!!アハハ、うん、お前はスゴいね!!次の魔王はお前、いやアナタだよ!!」


とか笑顔で言われる。頭をやってしまったととんでもない罪悪感!ゴメンなさいと謝る。


「え!?な、何で謝るの?」


「イヤだって魔王とか言ってるし。頭が」


「どういう意味!?どういことリュゼ?」


「えーとつまり……魔王と妄想してる痛い娘だと思われているのです」


「痛い娘!?ほ、本当だからね!本当に私が魔おいや!前の魔王で!私を倒したアナタが今から新しい魔王だからね!」


周りからもそうだとか本当だとか言う声、その日二度目のウン?でました。百歩譲ってこの子が魔王としてなんで其所で某が魔王?


「魔王は強いものがなる。だから倒した相手に魔王位は移乗されるの」


「ホワイ?」


「だから本当にソレガシくん魔王になっちゃったのです」


マジですか?取りあえず本当だとして……


「魔王の立場お返しします」


圧倒的に面倒な予感がする称号とかいらない。


「へ!?!いやいや!無理だよ」


ダメですってよ。

さらに追い討ち。


「…え、クビ?」


「私もなのです!?」


ようやく見付けた仕事のクビ宣告!


「い、いや何で疑問系!?魔王様がバイト続けるとか、勘弁してください」


魔王って事でバイトクビになる。偉そうだったオーク店長が泣いて土下座までして辞めて下さいですよ。給料もらう前に辞めさせられて此方が泣きたい!


「ソレガシくんはともかく私もなのは何故なのです」


「ははは…そりゃな…そもそも店続けられるわけないだろおおぉぉ!!!」


あ、店が粉微塵だった。


「全くツルペタさんは酷い」


破壊したのはツルペタさんの攻撃。


「……そうなのかな?」


「ソレガシくんが前魔王様を投げて店を潰してたよ」


知りません。記憶にございません。と言うか某って女の子を投げた?泣くオーク店長はどうでもいいとして、新しい魔王だと騒ぐ周り。


え、これ本当に魔王?


「リュゼさん本気で某は魔王になってますん?」


「周りの騒ぎみたら良いのです」


村人とか周りの人が妖精を騙す理由とか無いですか?


「わぉマジで魔王ですか」


「……だからそうだよ」


20でバイトから魔王に強制クラスチェンジした妖精の某。

某が魔王なの信じられません。というか魔王とかやりたくないです。

少し考えても魔王とか最悪な立場じゃないですか。だって食堂のバイト中に何時も、魔族側は人間にやられてるって話を聞いてるんですもん。創作に有りそうな魔族が優勢とかフィクション。魔王なのに勇者が来る前に死にそうですやん。


聞いた情報的に魔族は人間よりは強い種族みたい。

なのに魔族は人間の軍勢に何でか単一種族だったり悪いと単独で立ち向かってるそう!一人で戦うのが魔族だそう。そりゃ強くても勝てない。聞いた話だと既に魔族領の半分が人間の国の植民地的な事になってたんですってよ。 


そんな魔族で魔王になった。


「魔王とか絶対にヤバイね」


「うんうん」


「……ヤバイの?」


他人事な前魔王さんやな!

そもそも魔族ってなんでこんな事になってるのか。


「魔王の仕事ちゃんとしろと言いたい」


前の責任者だった前魔王さんに魔王なのに何してたんだよと文句を言えば……不思議な顔をされたー。


「え、魔王の仕事って?」


「ん?それは魔族を纏めたり」


「そんなことしない」


「纏めるって、ソレガシくんは魔王のこと勘違いしてないのです?」


「え?」


話を聞いたら想像してた魔王とまったく違いました。


なんと魔王の立場とか名誉職。

魔王と言っても魔族で一番強いって立場でしかない?

部下とかゼロ。資金とかもゼロ。

ご飯とかは強さで強奪。

つまり無職やん、強盗やん。  


なんで王と名乗ってのか不明。


それでも魔王が狙われる対象なそう。

人間は勿論、人間より厄介そうな最強目指す魔族から狙われるそう。こんな魔王(呪いの肩書き)なんて要らへん。負けたら魔王でなくなるそう、しかし普通なら敗北したらとどめ刺される。


つまり死ぬまで魔王ですかい。


「うそやろ」


「……な、なんかゴメン」


あー絶対にこんなん魔王と違う。肩書き詐欺だ。


「詐欺とか魔王と違うと言われても、うーっと……じゃあアナタの思う魔王になったら?」


「……思う通りの魔王になゆ、る?」


身体に電流……思う通りの魔王、魔王。


思う通りの魔王とは……自分の欲望で、王様プレイしたり、美少女侍らせたり、好き勝手出来る素敵職業。某の一人称にかけた希望が叶うかも?ハーレムを……女の子とイチャイチャ…アハン…エロんな……

  

「え?なんで突然嬉しそうな顔?」


「ソレガシくん……」


ま、魔王で居る限り危険な事にはかわりないでしょうし。ま、魔王!やってやってもいいかな!うん!

 

「ね、ねぇアナタが思う魔王ってどんなのか教えてくれない。何か……変な予感が」


「……」


変な予感とはなんです。リュゼさんが頷いてるのはなんです。


「魔王とは文字通り、魔族の王様、(好き勝手)魔族を導く王様ですな。」


可愛い女の子限定とかは言いません。


ザワザワ


「…妖精…魔王」「……魔族の王」


周りから陰口みたいなコソコソした会話が。


「……魔族の王だから……魔王」 


「言われてみたらその通りなのです」


何ですかその潤んだ目はそんな台詞が痛かったですかい。


「ソレガシくん本気、なのです?」


「本気ですよ?…やりますよ?やってみますよ!某が魔王になってやろうじゃないか!魔族の為に!!」


それとモテる為に(本音)


「……」


「…あ…アハハハハ、良いんじゃないかな。魔族の為の王様で魔王になるの…ねぇ導いてくれる魔族に私も入るの?」


「え?そりゃツルペタさんも入りますね。ツルペタさんがイヤと言っても入れます」


「わ、私もなのです?」


「それは勿論リュゼさんも入れます!」


この発言にセクハラ意思は七割位しかありません。


「……そ、そっか。私も入るんだ。私も導いて……あの、今さらだけど、アナタの名前はなんだっけ」


本当に今さらですね!?結構通ってた時に何度も聞いてたでしょうよ!?


「某の名前ははソレガシです」


「そ、そっか…そう言う名前、……ま!魔王ソレガシの誕生だね!」


笑いましたね。名前の部分で完全に笑いやしたな。もしかして名前と思ってなかった。誤魔化しきれて……


「「「おおおおお!!!新たな魔王の誕生だ!」」」


なんぞ!?周りから歓声!?


「我等が魔族の王ー魔王ソレガシ万歳!!」


「魔王ソレガシ!」「魔王ソレガシ!」


「魔王ソレガシ!!」「魔王ソレガシ!!」


……


「……変な名前の魔王なのです」


おい、名付け親。


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