第五章 第5話 基礎
滝の音が、
響く。
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絶えず。
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変わらず。
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崩された小屋の跡。
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木材は、
脇に寄せられている。
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ベルンハルトが、
足元を見る。
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地面。
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土。
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湿り。
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一歩、
踏みしめる。
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「そのまま木を置くな」
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低く。
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ジョーが、
見る。
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「腐る」
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短く。
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それだけ。
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だが、
十分だ。
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ベルンハルトが、
しゃがむ。
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手で土を払う。
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「基礎が要る」
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石を拾う。
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近くに、
いくらでもある。
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大小、
様々。
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一つ、
置く。
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もう一つ。
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隙間を、
埋める。
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さらに、
小さい石。
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詰める。
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押す。
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動かない。
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「こうだ」
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短く。
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ジョーが、
しゃがむ。
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見ている。
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真似る。
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石を置く。
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だが。
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ぐらつく。
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ベルンハルトが、
指で示す。
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「そこ」
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一拍。
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「噛ませろ」
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小石を、
差し込む。
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止まる。
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動かない。
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「……なるほど」
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ジョーが、
呟く。
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石を、
並べる。
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少し、
ずらす。
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重ねる。
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揃えない。
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逃がす。
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噛ませる。
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組む。
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だんだんと、
形になる。
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基礎。
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ジョーの脳裏に、
浮かぶ。
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石垣。
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城。
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積み上げられた、
壁。
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「そうやって……組むのか」
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小さく。
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ベルンハルトは、
何も言わない。
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ただ、
見ている。
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手は、
止まらない。
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石を、
選ぶ。
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置く。
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詰める。
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押す。
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繰り返し。
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やがて。
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一段が、
できる。
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さらに、
重ねる。
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ずらす。
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噛ませる。
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隙間は、
残さない。
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水も、
逃げる。
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力も、
逃げる。
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「……基礎はこんなもんか」
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ベルンハルトが、
立ち上がる。
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ジョーを見る。
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「おい」
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短く。
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「どのくらいの大きさにする」
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地面を、
顎で示す。
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「描け」
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ジョーが、
地面に線を引く。
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四角。
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広さ。
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入口。
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位置。
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リーネが、
覗き込む。
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ベルンハルトが、
さらに言う。
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「中もだ」
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一拍。
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「間取りまで描け」
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ジョーが、
少し考える。
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そして、
線を足す。
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寝る場所。
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道具を置く場所。
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動線。
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簡単に、
だが、
明確に。
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ベルンハルトが、
頷く。
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「いい」
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短く。
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すぐに、
動く。
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石を、
運ぶ。
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線に沿って、
置く。
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組む。
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広げる。
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囲う。
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基礎が、
形になる。
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ここは、
滝場。
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川場。
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石は、
いくらでもある。
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尽きない。
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積む。
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組む。
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詰める。
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やがて。
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一周、
繋がる。
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基礎が、
完成する。
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ベルンハルトが、
手を払う。
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「次だ」
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短く。
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木材へ、
視線を向ける。
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「土台を組む」
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ジョーが、
頷く。
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流れが、
見えてきている。
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ただの小屋じゃない。
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組み上がる。
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形になる。
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一つずつ。




