第三章 第12話 惨状
炎が、
唸る。
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熱が、
押し寄せる。
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煙。
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視界が、
歪む。
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戦士が、
瓦礫をどかす。
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「こっちだ!」
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声が、
響く。
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トールが、
駆ける。
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手をかける。
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熱い。
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だが、
構わない。
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「引け!」
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力を込める。
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木材が、
軋む。
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崩れる。
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隙間。
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腕。
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人だ。
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ジョーが、
短く言う。
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「一気に引く」
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トールが、
頷く。
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引く。
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引きずり出す。
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一人。
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咳き込む。
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生きている。
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酒の匂い。
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強い。
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リーネが、
駆け寄る。
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「大丈夫ですか!」
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男が、
かすかに頷く。
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その横。
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もう一人。
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倒れている。
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アンが、
肩を揺らす。
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「起きな!」
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目を開く。
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浅い呼吸。
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こちらも、
酒の匂い。
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トールが、
顔をしかめる。
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「……飲んでたのかよ」
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グスタフが、
吐き捨てる。
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「鍛冶の後は、飲むのがこいつらだ」
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短く言う。
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「それよりも、もう1人は……」
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視線が、
奥へ向く。
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崩れた、
内部。
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まだ、
誰かいる。
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ガルドが、
動く。
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無言で、
瓦礫に手をかける。
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引く。
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重い。
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だが、
外す。
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現れる。
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三人目。
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静かに、
横たわっている。
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右腕。
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途中から、
無い。
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千切れた断面。
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骨が、
覗く。
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焼けて、
黒く変色している。
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肉は、
裂け、
炭のように固まっている。
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顔。
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下半分。
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皮膚が、
崩れている。
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溶けたように、
垂れ落ちている。
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ヒゲは、
焼け焦げ、
ほとんどが消えている。
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かすかに、
動く。
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息。
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まだ、
ある。
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リーネが、
息を呑む。
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「……まだ、生きてる」
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震える声。
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トールが、
歯を食いしばる。
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「急げ!」
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運び出す。
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戦士が、
肩を貸す。
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外へ。
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炎が、
再び弾ける。
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小さな爆ぜ。
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魔法使いが、
叫ぶ。
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「下がれ!」
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炎が、
跳ねる。
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ジョーが、
見る。
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足元。
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火魔石。
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小さい。
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欠けている。
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不揃い。
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「……サイズが違う」
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低く言う。
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グスタフが、
顔をしかめる。
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「まともな石じゃねぇ」
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短く言う。
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「いいやつが1割も無ぇ」
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視線が、
鋭くなる。
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炎が、
再び弾ける。
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不安定。
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制御が効かない。
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グスタフが、
確かめるように聞く。
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「盗賊か」
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ガルドが、
頷く。
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「採掘場だ」
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沈黙。
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ガルドが、
目を伏せる。
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「……間に合わなかったか」
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低く言う。
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炎の音。
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煙。
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焦げた匂い。
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酒の匂い。
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すべてが、
混ざる。
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ジョーが、
立ち上がる。
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「ここじゃない」
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短く言う。
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「元を止める」
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トールが、
頷く。
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アンが、
息を吐く。
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リーネが、
静かに頷く。
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誰も、
迷わない。
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答えは、
出ている。
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採掘場。
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そこに、
すべてがある。




