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スナイパー令嬢戦記〜お母様からもらった"ボルトアクションライフル"が普通のマスケットの倍以上の射程があるんですけど〜  作者: シャチ


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39話:コーラシル砦攻防戦3

日が沈む前、目視できる距離に帝国軍が陣取り始めた。

明日には間違いなく砦に到達する。

場合によっては夜襲もあるかもしれない状態となった。

「これよりコーラシル砦は常時警戒とする」

お父様が当直の兵を呼び号令をかけた。

私もこの場に参加している。

「諸君は銃の扱いに長けたもの達だ。本日のミシェルが育てた狙撃部隊は砦に敵斥候を寄せ付けなかった。これからの活躍も期待する」

お父様の言葉を受けて兵士たちが持ち場へ着く。

月明かりに帝国軍の野営地が良く見えた。

「今夜は攻めてこないかしら?」

「わかりませんが…戦いの準備は進んでいるようです」

ルーナが双眼鏡で確認している。

既に砦は臨戦態勢だ。

タリム家の私兵は全て何らかの銃を装備しているし、一部残っている第三騎士団にもマスケットが配られている。

ライフルを持っているのは私を含めた5名だけだけど数があればそれだけ制圧力が上がる。

それに、この二日間で王国軍の兵士も相互装填の訓練を受けていた。

1人が撃つ間にもう一人が弾を込める。

二人一組で砦の窓から射撃を行うのだ。

そして、私が居座ることになる砦の塔の一つにはすでに弾薬が大量に用意されている。

木箱でひと箱…実に300発分にも上る。

仮に戦闘が始まれば、補給係がさらに弾を持ってくることになっている。

とはいえ早々使い切るとは思えないけれど。

「すべては明日の朝ね…」

「えぇミリア様は少しでも目を閉じておくことをお勧めします」

ルーナに頷き返し、私は座り込んで目を閉じる。

これなら熟睡は出来ない。

起こされたらすぐに戦闘開始の可能性もあるのだから。


*****

「ミリア様」

ルーナに起こされ、頬を叩いて一気に目を覚ます。

「敵は?」

「布陣を始めています」

夜明け前の薄明るい地平線を見れば確かにうごめく影が見える。

「距離は1,500~2,000というところですね」

「ずいぶん遠くに陣取るわね」

私とルーナが会話をしていると、伝令の兵がきた。

「敵はおよそ15,000とのことです。王国軍攻勢の時よりは数が減ったそうです」

伝令はご武運を祈りますとだけ言うと去っていった。

「ルーナ、敵が射程に入ったらすぐに目標を教えて」

「わかりました…ですがさすがに1,000は無理では?」

「できれば700まで近づけて」

昨日の射撃でも500なら必中できる。

700なら一撃で倒せなくとも敵を負傷させられるはずだ。

敵将校と砲兵をやる。

それが今の私にできる仕事だ。


陽が昇ると銅鑼の音が鳴り響き、帝国軍が隊列を組んでゆっくりと進んでくる。

帝国軍の軍服から赤い波という言葉が思い浮かぶ。

私は呼吸を整えて銃を構える。

最前面に盾を持った歩兵、その後方には大砲を押している兵士たちがいる。

大砲の有効射程はせいぜい300メートル。

それより遠いとこの砦の防壁は壊せない。

それでも50門ある大砲が移動する様には恐怖を感じる。

「ミリア様」


バスッ

ガチャ


撃っては装填し早速5人を倒す。

「ルーナ弾」

今回は私たちには装填用のクリップ付きの弾が支給されている。

弾倉に一気に5発入れられるものだ。


ガガチャッ


ボルトを操作して再装填して構えなおす。

ここまで近づいてくればルーナの指示すらもう必要ない。

ルーナも理解したのか次弾の用意に専念している。


敵砲兵が装填しようとしているので撃つ。

少しぶれて足に当たったようだ。

無力化できた、次。

何も考えずに照準に敵を捉えて撃つ。

私はそれだけを行う機械と化した。


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