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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇私はユメ◇

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夢の後輩

ランチが始まり、リラとイリスと三人で注文をとることになった。

ユリは厨房から出ないらしい。


「黒猫様、あの人は誰ですか?」

「イリスにゃ。今日から働くにゃ」

「黒猫様、部下ができましたね」

「部下にゃ?・・・」


部下になるのかなぁ?

ポンコツじゃないと良いなぁ。


リラも同じように聞かれているようで、母だと答えていた。

4人テーブルでイリスが注文を聞くようだ。

少し心配で耳を傾けていた。


なんと、イリスは実は優秀だったらしい。

一度で覚え、まとめていた。

しかも最後に微笑み、客も安心したらしい。


イリスが4人テーブル1つ、私が4人テーブルと2人テーブル一つずつ、リラが2人テーブルと、カウンター3人を聞いた。


「オムライス2、カレー2、フルセット2、フルフルセット2です」

「オムライス2、カレー4、フルフルセット6にゃ」

「オムライス2、カレー3、フルフルセット5です。私がまとめます」


リラは注文を通すと、そのまま厨房にいくらしい。


「オムライス6、カレー9です」

「オムライス6、カレー9了解です」


ユリが返事をして注文が通ったので、その他のものを出すためイリスと手分けした。


「お茶、冷茶、サラダ、パイ、黒猫クッキー、ケーキの順にだしてにゃ」

「はい」


イリスが一度で理解して、特に聞かれることなくケーキまで出し終わり、厨房の方が忙しいみたいなので、カレーをよそってイリスと運んだ。


「オムライスできましたー。お願いしまーす」


ユリに呼ばれたので取りに行き、運んだ。


一緒にお店を見ていて驚いたのは、お客がお茶のおかわりを言い出す前に、イリスがヤカンを既に持って客のそばにいたことだ。

湯飲みの中身まで見えるの?透視?・・・あ、身長か!

それにしても、物凄く有能だ。


そのうち客が帰り始め、私は片付けと凍結グラタンを買う客にグラタンを持ってきていた。

4人テーブルひとつ、2人テーブル2つが帰って入れ替わった。

イリスは一人で全て注文を聞き、私に告げてきた。


「オムライス3、カレー5、フルフルセット8です」

「注文を厨房へ通すと良いにゃ。お茶と冷茶とサラダを出しておくにゃ」

「はい。注文を通します」


イリスが注文を通すので、私は先にお茶と冷茶とサラダを用意することにした。


「オムライス3、カレー5です」

「オムライス3、カレー5了解です!」


イリスがパイとクッキーとケーキを用意して運んできた。

カレーを用意しようと思ったら、リラが作ってカウンターの前まで持ってきてくれていた。

それを運ぶ頃には全席入れ替わり、新しく注文を聞いた。


「オムライス1、カレー3、フルセット4にゃ!」

「オムライス3、フルセット3です」

「私が注文を通しておくにゃ」

「はい」


イリスはお茶と冷茶とサラダを用意し出した。


「オムライス4、カレー3にゃ!」

「オムライス4、カレー3了解です!」


パイとケーキを用意し、カレーをよそって、出し終わる頃にオムライスができて、全てを出すとイリスが聞いてきた。


「ユメちゃん、いつもこんな感じですか?」

「いつもは人手がたりないから、プレートに全部乗せてから運んでたにゃ」

「成る程、それだと全部出来上がるまで食べられないのですね」

「ユリは来店する客全てに提供したいらしいにゃ」


「4人テーブルに、椅子を増やしたらダメなのですか?あのテーブルはかなり広いので、充分座れますし」

「他は知らないけどにゃ、普通は、知らない人は同席しないにゃ」

「そうですね」

「この店は、席が少ないから、空いた順に、同席して座るにゃ」

「え?そうなのですか!?」

「貴族と平民が同席する不思議な店なのにゃ」

「では、一緒に注文とってはダメな場合があるのですね」

「初めて来る客はそうかもしれないにゃ」

「その辺は教えてくださいね」

「わかったにゃ」


客が入れ替わると、一人で来た人や、同席で座る人が増えてきた。

そういう客は、注文を決めるタイミングがバラバラになってくる。


「黒猫様、オムライスとケーキセットください」

「私も同じで」

「お茶は温かいのと冷たいのがあるにゃ」

「私は温かいので」

「私は冷たいのを貰おうかな」

「オムライス2つ、ケーキ2つ、お茶と冷茶にゃ。持ってくるにゃ」


他はまだ決まらないらしいので、注文を通した。


「オムライス2にゃ」

「オムライス2、了解です!」


イリスの方は、客が悩んでいるらしく色々聞かれていた。


「今日のデザートのショートケーキって、どんなデザートですか?」

「生クリームたっぷりで、美味しいフルーツが挟まっていて、四角いお菓子です」

「いまいちわからないけど、美味しそうだ。それを頼むよ」

「ケーキセットでよろしいですか?」

「ああ」

「バターチキンカレーとケーキセットですね。お茶は温かい物と冷たいものがございます。どちらになさいますか?」

「おすすめは?」

「冷たいお茶です。個人的にですが」

「ならそれで」

「ではお持ちします」


イリスは何も教えなくても、特に困ることなく仕事をしていた。

今までのポンコツぶりが嘘みたいだ。



時間的に最後の客の注文を出し終わった頃、ユリが店に顔を出した。

ユリがイリスに何か話しかけると、イリスはニコニコして厨房へ行ってしまった。

そんなイリスを見送っているとユリが話しかけてきた。


「ユメちゃん、お疲れさま。今日は全部頼っちゃってごめんね。大変だったでしょ?」

「イリスが予想外に有能で楽だったにゃ。今までのあのポンコツぶりはなんだったのにゃ。レギュムが、『仕事はできる』と言ったのがよくわかったにゃ」

「あ、そんなになのね」


ユリは知っていた上で納得した感じだった。

まあ、注文を通したり運んだりを見ていれば、優秀であることはわかっていたのだろうし。


空いたテーブルの食器をユリと一緒に下げ、最後の客が帰るまで私は店で待っていた。

食べ終わった客は、すぐに支払いをして帰っていった。その食器を下げると、既にオムライスができていて、ソウも帰ってきていた。


このオムライスは、ほとんどリラが作ったらしい。マーレイとイリスが、涙目になりながら食べているのが印象的だった。


先に食べ終わったユリとリラは、厨房に何かを取りに行った。


「紅茶のシフォンケーキよ。ソウは二つね」

「お、サンキュー!」

「おもしろいケーキにゃ」


生クリームがたっぷりかけてある。


「ユリ様、もうひとつの方はどうするのですか?」

「味見のために食べたいなら食べて良いわよ。今食べないなら夕飯の時に食べるけど」

「お客に説明できるように今食べるにゃ!」

「それもそうね。今食べる人ー」


全員、手をあげていた。

ソウは3個目だけどまだ食べるの?


「じゃあ今度は、ユメちゃんとイリスさんに手伝ってもらおうかしら」


そうか、さっきはリラに説明するためだったのか。

ユリが出してきたケーキは、中が桃色できれいだった。オレンジの香りがする。

オレンジピールと紫芋の粉が入っているシフォンケーキだといっていた。


「切っておくから、皿にのせたら霧吹きをして、レードルで1杯この緩い生クリームをかけて出してね。はい、みんなの分を作ってみて」


言われた通り作ってみた。

難しいことはなく、皿にのせて霧吹きして生クリームをかけるだけなのですぐに出来上がった。

イリスも手早く作っていた。


「ソウ、足りなければもうひとつ食べても良いわよ。あと、ショートケーキもあるわ」


ユリはソウにどれだけケーキを食べさせるつもりなんだろう?

5個?さすがに無理なんじゃないかなぁ?


シフォンケーキはどちらも美味しかった。

でも、また食べたいのは、オレンジピールの方だなぁと思った。

ユリがみんなに聞くと、回答が男女に別れた。

この桃色が素敵なのに、ソウは桃色がショッキングだと言っていた。

そもそも、紅茶のシフォンケーキは、ソウが食べたいと言ったから作ったらしい。



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