夢の箱入
休憩室で、リラと話しながらリラのノートを見せもらっていた。
色つきのレシピは、とても見やすくまとめられていた。リラによると、このノートは清書版らしい。
私がいなかったときに教わったらしい作り方などがたくさんのっていた。
そこへ、ユリが呼びに来た。
なんと、魔動力機器のトロピカルが、もう来たというのだ。
チラッと、ユリは今日も休めないのかもしれないなぁと思った。
それでも、話は面白そうなので、一緒に聞くことにした。
ユリがソウも呼んできたらしく、全員で話を聞くことになった。
揚々と説明し、食いぎみにユリに話しかける姿に、ユリが若干引いてるなぁーと感じた。
新しい夏板は、温度設定がかなり細かくできるらしく、使いやすそうだった。
「それでですね!こちらを5台お持ちしました。従業員の方が使われるとのことで、こちらに何人いらっしゃるか私は伺ったことがなかったため、当店の使用人に確認いたしましたところ、最大5名だと報告を受けましたので、5台です」
なんか、私の分まで有るみたいだ!
トロピカル、よくやった!
私の分は、リラに譲ってやろう。
「お気遣いありがとうございます。それで、おいくらになりますか?」
「湯浴み用に転用という新しい視点の権利は、譲っていただけるのでしょうか?」
ユリがリラの方を振り返り聞いていた。
「リラちゃん、権利主張する?」
「主張するとどうなるのですか?」
「売れる度、分け前が入るのだと思うわ」
「今回のをお安くしていただけるなら、主張しません」
今度は私に聞いてきた。
「ユメちゃんはどうする?」
「要らないにゃ」
「だ、そうです」
ユリはトロピカルの3人に、宣言してからケーキをすすめていた。
「・・・はい。ケーキ食べていきます?」
「ありがとうございます!」
ユリが厨房にケーキを取りに行ってしまったので、リラと一緒に追いかけた。
リラがいまいち話がわからなかったのか、ユリに確かめるように聞いた。
「ユリ様、いくらになったんですか?」
「タダで良いって」
「本当ですか!?」
リラはニコニコと喜んでいた。
「リラちゃん、モンブラン出してくれる?」
「はい!!」
「ユメちゃん、お茶を、」
「持って行くにゃ!」
ユリが少しでも休めるように、お茶を出すことにした。
ついでに黒猫クッキーも渡すと、すごく喜ばれた。
リラとそのまま店に残り、テーブルを拭きながら話をした。
「リラ、私の分も持って行って良いから、家で使うと良いにゃ」
「え、何台もあっても同時に使わないですよ」
「予備で持っていくと良いにゃ」
「じゃあ、壊れたらお願いします」
「ごちそうさま、おいしかったです。ユリ・ハナノ様によろしくお伝えください」
「はい!ありがとうございました」
少しニヤニヤしたように、たまに顔を崩しながらトロピカルの3人は急いで帰っていった。
少しして、おやつの時間になった。
席に座った順に注文を聞くと、いきなりポテトサラダと、ポットパイは売り切れた。そして全員モンブランとお茶か冷茶のセットだった。
みんな知らないものをよく注文するなぁーと思いながら注文を聞いた。
ユリに注文を伝えると、出せるものだけ先に出してください。と言われたので、ポテトサラダとモンブランと冷茶を、リラと手分けして出した。
リラは厨房に行ったまま戻ってこないので、お店を見ていることにした。
お茶を飲みきってしまった人にお茶を注ごうと厨房へいくと、なにか作っていた。
「ひとつ作ってみると良いわよ。今ここにある分は、売り物じゃないから失敗しても大丈夫よ」
「はい!やってみます!」
リラだけ良いなぁと見ていたらユリに声をかけられた。
「ユメちゃん、1つ作る?」
「作ってみるにゃ!」
おもしろそうだ、コレがポットパイかな?
「少し潰すつもりで、ギュキュっとしっかり留めてね」
「これで良いですか?」
「はい。なんなら2つずつ作っても良いわよ」
ユリは焼けたポットパイをもって、お店に行った。
「ポットパイをご注文のお客様ー」
店から、ユリの声が聞こえた。
「リラ、教えてにゃ」
「はい!この丸く切ったパイ皮の回りに刷毛で溶き卵を塗ってから、シチューの固まっている器に被せます」
「塗ったにゃ」
「被せたら、しっかりくっつくように回りを潰す感じにしっかり押さえます」
「潰したにゃ」
「そしたら焼く前に、上に溶き卵を塗ってオーブンで15分焼くそうです」
「簡単にゃ!」
「もうひとつ作りましょう」
「わかったにゃ!」
ユリがお店から戻ってきた。
「食べるときに焼くから、冷蔵庫にしまっておいてね」
リラと一緒にポットパイをしまい、店を見に行った。
リラがお客の質問に答えていると、買って帰る客が来た。私が対応しよう。
「モンブランは、いくつまで購入可能でしょうか?」
「ユリに聞いてくるにゃ」
厨房へ行き、ユリに聞いた。
「ユリ、モンブランだけ買いに来たにゃ。何個買えるにゃ?」
「いくつでも良いわよ。持ち帰る冬箱があるなら」
「伝えてくるにゃ」
店に戻り、客に伝えた。
「持ち帰る冬箱があるなら何個でも良いにゃ。ケーキは箱入りで売ってるにゃ1個入り、2個入り、4個入りがあるにゃ」
「20個ほしいので、箱はお任せします」
厨房へ行き、ユリに伝えた。
「20個にゃ」
「4個入りの箱、5箱で良いかしら?」
「大丈夫にゃ」
「すぐ作るわ!」
ユリはすでに組んであるものを冷蔵庫から出していた。2袋渡され、ユリが3袋もつらしい。
「ありがとうございます。21000☆です」
「ランチで食べて、これは!と思ってね。希望数が買えて良かったよ」
ケーキを持っていくと、人が増えていた。
お金を払っている人は、私に注文した人で、ユリと話しているのは、貴族のようだった。
「栗が手に入らないと作れないので、今年はこれで最後かもしれませんが、お口に合ったようで良かったですね」
「また、ランチに来るよ」
「はい。よろしくお願いします。ありがとうございました」
その後もモンブランを買いに来る人は多くて、モンブランはよく売れた。お店でおかわりをする人もいた。
お店が落ち着いて暇になったので厨房を覗くと、ユリに声をかけられた。
「リラちゃんかユメちゃん、大きいココット洗ってもらえるかしら?」
「私が洗うにゃ。何個にゃ?」
「50個位お願いします」
「わかったにゃ」
内倉庫から大きいココットをだしてきて55個洗った。その間リラは何かを量っていた。
「すみませーん!」
「はーい」
店から呼ばれてリラが行った。
ユリは野菜を切って何かを作っていた。
リラがモンブランを取りに来たので、少し手伝って箱に詰めた。2個入り5箱に、4個入り10箱だった。
落としたり転んだりしないように、分けて店に持っていった。
モンブランを渡し終わると、お客が大分入れ替わった。
おにぎりの注文は私が作り、ホットサンドはリラが作った。ユリが安心して仕込みができると喜んでいた。
「クロ猫ッカン売り切れましたー」
リラが報告に来た。
「作るにゃ?」
「お願いします!」
冷蔵庫のあまりのパイ生地と、新しいパイ生地をもらい、クルミとスライスアーモンドとグラニュー糖を混ぜて型に入れた。
新しいパイ生地を薄く伸ばして一度冷やしてから猫型で抜いた。1枚ずつ乗せ、丁寧に砂糖入り溶き卵を塗った。
ユリはなにか作っていたので、クロッカンができたと伝え、ユリのそばにおいて、店にいった。
すぐに焼いてくれたらしい。まだ熱いうちに、結構な数が売れていた。
「本日の持ち帰ることができるケーキは外に書いてあるものだけでしょうか?」
「そうにゃ」
「では、後で参ります。取り置き願います。1個入り30箱です」
「ユリに聞いてくるにゃ」
取り置きが、聞いて良いかわからなかったので、ユリに聞きに来た。
「ユリ、モンブラン1個入り30個って言われたにゃ」
「持ち帰れるなら構わないわよ?」
「あとで取りに来るからって言ってるにゃ」
「私が対応します」
「ありがとにゃ」
ユリが話をしたら、注文が、38個に増えていた。
ちょっと驚いた。
ユリが38個を箱にいれて避けていた。
見に行くと、「代済み」と貼ってあった。
ユリはもう一度店に来て、お客の話を聞いていた。
色々質問されていたけど、どれも笑顔で答えていた。
ユリはすごいな。




