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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇私はユメ◇

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夢の激怒

『ソウ、ユリに、ここは異界じゃないのか?と、聞かれたにゃ!!どうするにゃー!!!』


とりあえず、ソウに以心伝心で文句を言っておいた。ユリはローズマリーたちと話していたので、こっちを見ていなかったようだ。


すぐにソウはとんできた。


「ユリ、ちょっとユメに用があるんで借りて良い?」

「あ、はい」

「ユメ、悪いなー、ちょっと来てくれるか?」


手を繋ぎ、ソウはわざわざ転移した。

ここはソウの部屋だと思う。


「ユメ、それでなんて答えたんだ?」

「ここが異界なのは確かにゃ。この国は、魔力がないと住めないにゃ。魔力がないと酩酊してそのままになるにゃ。と答えたところで、メイドが迎えに来たにゃ」

「ありがとう。気を使ってもらって悪いな」

「ユリに言わないのにゃ? ここがどこであるかをだにゃ」


「・・・守秘義務があるんだよ。政府の」


ソウは渋々と言った感じて話した。


「ソウは役人なのにゃ?」

「まあ、そうだな。スパイではないけど、秘密調査官ではあるな」

「私に言って良いのにゃ?」

「この国のトップだからな」


トップなら言って良いのか?


「誰に秘密なのにゃ?」

「ユリを含む転移組の全員だ」

「ユリもなのにゃ!?」


ソウはユリが大事で、ユリだけは欺かないものだと勝手に思っていた。

違うのか?


「ユリと、仕事、どっちが大事にゃ?」

悋気(りんき)を起こした恋人みたいな質問だな」

「真面目に答えるにゃ!」


ムッとしたソウが答えた。


「ユリの方が大事に決まってるだろ。だけど、報告を怠ったら、俺ここにいられなくなるし」

「何を報告してるにゃ?」

「転移組が無事かとか、問題は起きてないかとか、精神的に参っていないかとか。要は、文明レベルを落としても人は生活が可能かどうか。だな」


ユリを欺いていると言うほどではないのか。


「今度ユリに聞かれたらなんて答えれば良いにゃ?」

「わからないと言っておいてくれ。ユメはゲートはできないんだろ?」


ソウがここまで言ったのだから告げておくか。


「できなくはないにゃ。この国のゲートは越えられるにゃ。他のは無理にゃ。なので、できないことにしてあるにゃ」

「どういう意味だ?」

「今なら自分で張った結界は越えられるにゃ」

「そういう意味か」


「ソウ、以前、ソウが入れない結界があったにゃ。あれ、今は入れるにゃ」

「なんでだ?」

「王の間の玉に登録したにゃ。あの結界は、国王権限の結界にゃ。開かずの塔の私の部屋にも行けるにゃ」


「よし、今いってみよう」

「なに言ってるにゃ」


そして気がついた。ここはパープル邸のソウの部屋ではない。

城のソウの部屋だ。


服ができてから来るって何度言ったらみんなわかるんだ?ソウを含めて。

面倒だから城には来たくないのに。

良い思い出もないし、なるべくなら近づきたくもない。


「帰るにゃ。ここは嫌にゃ。ユリが心配してるにゃ」

「あーうん」

「ミルフィーユ食べるのにゃ!」

「まだあるかなぁ」

「なかったらソウに怒るのにゃ!」

「弁償できないから帰るか!」


そしてパープル邸のソウの部屋に戻ると、ユリが待っていた。


「うわ!ユリ!」


ソウが叫んだ。


「アルストロメリア会、終わったんだけど・・・」


え!ミルフィーユ終わっちゃったの?


「ソウのバカにゃ!ミルフィーユ食べたかったのにゃ!!」

「ユメ、ごめん・・・」

「ミルフィーユ残してあるわよ。ラベンダーさんに頼んで、私が作った分は全部残してもらったの」

「ユリ!ありがとにゃ!ラベンダー偉いにゃ!」

「ふぅ、命拾いした」


そのあと厨房にリラを呼びに行って、みんなで帰った。

お店につくと、ユリがお茶とミルクと一緒にミルフィーユを出してくれた。

倒して食べるのが正式だとユリは言っていた。

話には聞いていたけど、面白いお菓子だと思う。


ミルフィーユはとても美味しかった。

ユリはあまり好きじゃないらしく、食べなかったみたいだ。




夜。


ご飯を食べた後、ソウが部屋に来た。


「ユメ、昼の疑問の答えを聞こう」

「何を知りたいにゃ?」

「ユメは来年も俺たちと一緒に居られるのか?」


「ズバリだにゃ。もう少し遠回しに聞かれると思ったにゃ」

「遠回しに聞いて、ごまかされても意味がない」

「可能性は限りなくゼロにゃ」

「ユメこそ、ユリに言わないのか?」

「ユリになんて言うにゃ。足りない魔力に生命力をつぎ込むのにゃ。それに、今の貴族の魔力が少ないのは、私のミスにゃ。責任はとるべきにゃ」


「どうにかならないのか?他に方法はないのか?」

「代わりの犠牲者が出るだけにゃ」

「ユリには、ユリだけにはちゃんと伝えろよ」

「・・・わかったのにゃ」


ソウも私も、ユリが大事だからこそ言えない。

言ったら最後、ユリは巻き込まれに来る。


ユリには幸せに生きていて欲しい。


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