夢の激怒
『ソウ、ユリに、ここは異界じゃないのか?と、聞かれたにゃ!!どうするにゃー!!!』
とりあえず、ソウに以心伝心で文句を言っておいた。ユリはローズマリーたちと話していたので、こっちを見ていなかったようだ。
すぐにソウはとんできた。
「ユリ、ちょっとユメに用があるんで借りて良い?」
「あ、はい」
「ユメ、悪いなー、ちょっと来てくれるか?」
手を繋ぎ、ソウはわざわざ転移した。
ここはソウの部屋だと思う。
「ユメ、それでなんて答えたんだ?」
「ここが異界なのは確かにゃ。この国は、魔力がないと住めないにゃ。魔力がないと酩酊してそのままになるにゃ。と答えたところで、メイドが迎えに来たにゃ」
「ありがとう。気を使ってもらって悪いな」
「ユリに言わないのにゃ? ここがどこであるかをだにゃ」
「・・・守秘義務があるんだよ。政府の」
ソウは渋々と言った感じて話した。
「ソウは役人なのにゃ?」
「まあ、そうだな。スパイではないけど、秘密調査官ではあるな」
「私に言って良いのにゃ?」
「この国のトップだからな」
トップなら言って良いのか?
「誰に秘密なのにゃ?」
「ユリを含む転移組の全員だ」
「ユリもなのにゃ!?」
ソウはユリが大事で、ユリだけは欺かないものだと勝手に思っていた。
違うのか?
「ユリと、仕事、どっちが大事にゃ?」
「悋気を起こした恋人みたいな質問だな」
「真面目に答えるにゃ!」
ムッとしたソウが答えた。
「ユリの方が大事に決まってるだろ。だけど、報告を怠ったら、俺ここにいられなくなるし」
「何を報告してるにゃ?」
「転移組が無事かとか、問題は起きてないかとか、精神的に参っていないかとか。要は、文明レベルを落としても人は生活が可能かどうか。だな」
ユリを欺いていると言うほどではないのか。
「今度ユリに聞かれたらなんて答えれば良いにゃ?」
「わからないと言っておいてくれ。ユメはゲートはできないんだろ?」
ソウがここまで言ったのだから告げておくか。
「できなくはないにゃ。この国のゲートは越えられるにゃ。他のは無理にゃ。なので、できないことにしてあるにゃ」
「どういう意味だ?」
「今なら自分で張った結界は越えられるにゃ」
「そういう意味か」
「ソウ、以前、ソウが入れない結界があったにゃ。あれ、今は入れるにゃ」
「なんでだ?」
「王の間の玉に登録したにゃ。あの結界は、国王権限の結界にゃ。開かずの塔の私の部屋にも行けるにゃ」
「よし、今いってみよう」
「なに言ってるにゃ」
そして気がついた。ここはパープル邸のソウの部屋ではない。
城のソウの部屋だ。
服ができてから来るって何度言ったらみんなわかるんだ?ソウを含めて。
面倒だから城には来たくないのに。
良い思い出もないし、なるべくなら近づきたくもない。
「帰るにゃ。ここは嫌にゃ。ユリが心配してるにゃ」
「あーうん」
「ミルフィーユ食べるのにゃ!」
「まだあるかなぁ」
「なかったらソウに怒るのにゃ!」
「弁償できないから帰るか!」
そしてパープル邸のソウの部屋に戻ると、ユリが待っていた。
「うわ!ユリ!」
ソウが叫んだ。
「アルストロメリア会、終わったんだけど・・・」
え!ミルフィーユ終わっちゃったの?
「ソウのバカにゃ!ミルフィーユ食べたかったのにゃ!!」
「ユメ、ごめん・・・」
「ミルフィーユ残してあるわよ。ラベンダーさんに頼んで、私が作った分は全部残してもらったの」
「ユリ!ありがとにゃ!ラベンダー偉いにゃ!」
「ふぅ、命拾いした」
そのあと厨房にリラを呼びに行って、みんなで帰った。
お店につくと、ユリがお茶とミルクと一緒にミルフィーユを出してくれた。
倒して食べるのが正式だとユリは言っていた。
話には聞いていたけど、面白いお菓子だと思う。
ミルフィーユはとても美味しかった。
ユリはあまり好きじゃないらしく、食べなかったみたいだ。
夜。
ご飯を食べた後、ソウが部屋に来た。
「ユメ、昼の疑問の答えを聞こう」
「何を知りたいにゃ?」
「ユメは来年も俺たちと一緒に居られるのか?」
「ズバリだにゃ。もう少し遠回しに聞かれると思ったにゃ」
「遠回しに聞いて、ごまかされても意味がない」
「可能性は限りなくゼロにゃ」
「ユメこそ、ユリに言わないのか?」
「ユリになんて言うにゃ。足りない魔力に生命力をつぎ込むのにゃ。それに、今の貴族の魔力が少ないのは、私のミスにゃ。責任はとるべきにゃ」
「どうにかならないのか?他に方法はないのか?」
「代わりの犠牲者が出るだけにゃ」
「ユリには、ユリだけにはちゃんと伝えろよ」
「・・・わかったのにゃ」
ソウも私も、ユリが大事だからこそ言えない。
言ったら最後、ユリは巻き込まれに来る。
ユリには幸せに生きていて欲しい。




