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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇私はユメ◇

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夢の紫蘇

ひとつ、もうひとつ、又ひとつと食べていたらラムネがなくなってしまった。

リラに渡そうと思っていたのに、ついつい後引く味で食べきってしまった。


ユリに頼んだら又作ってくれるだろうか?


「ユリー、ラムネ食べちゃったのにゃ。もう作れないのにゃ?」

「あら、おはよう ユメちゃん。ラムネ作る?」

「作れるのにゃ?」


ユリはなにか畳ながら答えていた。

洗濯物かな?


「材料的には可能よ。かき氷シロップはないけど、天然色素で色付けすれば良いしね」

「何を使うにゃ?」

「青は、バタフライピー。赤は、ビーツ。黄色はあれば、くちなしね。香りがしないけど、味はあまり変わらないと思うわよ」

「手伝うから作ってにゃ!」

「良いわよ。今から作る?」

「お願いするにゃ!」


良かった。作ってくれるらしい。


「黄色がすぐには用意できないから青と赤だけで良い?」

「それで良いにゃ!」


ユリは、袋の中に粉類を入れ、赤い色水を入れて良くもみもみして混ぜてから、重曹を入れて又混ぜていた。


「にゃ! バタフライピーは青いのに、入れたら桃色になったにゃ!」


なにか失敗してしまったのか?


「クエン酸が入っているからね」

「青いラムネにならないのにゃ?」

「重曹を入れれば、又青くなると思うわ」


そう聞いて安心したのに、重曹を混ぜたら、ぶつぶつな色になった。


「青いところと青くないところがあるにゃ・・・」

「粗い目の網で濾して良く混ぜると均一になるわよ」


ユリは、大きな網を持ってきてぶつぶつなラムネの素をぎゅぎゅっと手で濾していた。


固まりがなくなりサラサラの状態になった。


「あ、計量スプーン同じの二つ無いわね・・・ならこれを使いましょう」


ユリはハートと、星と、三角形が並んでいる型を2つ持ってきた。

ユリが作った赤い方のラムネの素をハートの型に入れて、同じ型で押していた。

邪魔な分をきれいにしてから木のまな板の上に、ひっくり返していた。

ハート型のラムネがたくさん出来上がった!


「凄いにゃ!」

「青いのはどの形にする?」

「星が良いにゃ!」

「失敗しても直せるから、ユメちゃん作ってみる?」

「やってみるにゃ!」


同じように作ったのに、全部崩れてしまった。


「にゃー! 崩れたにゃー」

「押し込みが弱いのかもしれないわね。体重かけて押し込むと良いわよ」

「にゃるほどにゃー」


ユリに言われた通り、力を入れて乗っかるように押し込んで作ってみた。

今度は形がきれいに出来上がった。


「きれいにできたにゃー!」

「良かったわね」


ユリが良いと言うので、赤いラムネの素も全て使って作った。


「今日一日乾燥させると良いわよ」

「わかったにゃ」


ソウが様子を見に来た。


「何やってるの?」

「ラムネ作ったにゃ!」

「あ、これラムネなんだ。この星型どうやったの?」

「製氷皿よ」

「へぇー。売り物みたいに綺麗にできるもんだなぁ」

「ユメちゃんが作ったのよ」

「凄いなユメ!」

「リラに渡すのにゃ!」


ソウはラムネを売る話をユリとしていたと思ったのに、気がついたらジュースの話になっていた。


でも良く聞くと、紫蘇ジュース?

赤い紫蘇?


「赤い紫蘇にゃ? どっかで見たにゃ」

「え、生えている場所があるの?」


ユリが聞いてきた。


「葉っぱ、良い匂いだったにゃ」

「ユメちゃん、思い出してー」


あれ?重要なの?


「たぶん、パープル邸にゃ」

「よし、今から行こう」


そんなに重要なの?


「昨日も行った気が・・・」


ユリのぼやきを聞かずソウは転移した。

仕方なく、転移してついていった。


ソウがハンドベルを鳴らしていた。

すぐにメイドがやって来た。


「庭の草を貰っても良い?」

「草でございますか?ただいま聞いて参ります」


ソウの問いかけに、メイドがかなり困惑していたけど、それで良いのだろうか?

結構待たされたのは、誰も判断できなかったんだろうなと思った。


ラベンダーが来てユリと話していた。


「ユリ先生!」

「ラベンダーさん。突然来てごめんなさいね。たぶんお庭にある草で、欲しいものがあって・・・」

「いえいえ、ようこそお越しくださいました。ただ、父も母も不在にしておりまして、(わたくし)でわかることでしたら」


よし、さっさと用件を伝えよう!


「赤紫色の葉っぱにゃ。東側に生えてたにゃ!」

(わたくし)もご一緒してもよろしいですか?」

「むしろ、ご同行願います」


場所を把握しているのは私だけなので、みんなを連れて歩いた。

途中でどんどん人が増えていき、到着する頃には10人以上いた。


「ユリ、これにゃ?」

「確かに赤紫蘇ね」

「お!これで紫蘇ジュースが飲める!」

「ユリ先生、何か作るのですか?でしたら厨房をお使いくださいませ!」

「あ、うん・・・」


ユリはハサミを持った男性に声をかけ、赤紫蘇を切ってもらっていた。

種が残るように全部は切らないでと言っていた。


いつのまにか、白衣の男性も増えていた。


いつもの厨房に来るとユリが指示を出して作業になった。


「枝から葉っぱだけをもいで、良く洗います」


面白そうなので参加することにした。


「洗っている間に鍋に湯を沸かします」

「何度洗っても汚れがあるのですね!」


ラベンダーも葉っぱを洗っていた。

確かに、なかなか汚れがとりきれない。


「そうですね。3回位は水を変え洗った方が良いです」


たくさんの人が葉っぱを洗っていた。

洗っているのが女性ばかりなので、ソウは参加しにくいのか困った顔で見ていた。

白衣の男性は、火加減を見ている。


「ソウ、砂糖量ってもらえる?」

「Ok! 手伝わないと飲めなさそうだよな!」


ユリに頼まれたソウは、嬉しそうに砂糖を量っていた。


みんなで洗ったので、たくさん有った紫蘇も洗い終わった。ちょうどお湯も沸いたようだ。


「洗ったこの葉っぱをしっかり茹でます」


数えると、鍋は全部で5こ有った。

ユリは紫蘇を5つに分けると、鍋に入れていった。


「10~15分しっかり茹でたら、網などで濾します。使うのは液体の方です」

「なんだか赤黒いですわね」


鍋を覗いたラベンダーが呟いていた。


「ここに、魔法の粉を加えます」


ユリがひとつの鍋に持ってきた粉を入れた。


「うわ!綺麗な色になりましたわ!!」


ラベンダーとマーガレットが驚いていた。

私も驚いた。


「お酢でもできます、ふふふ」


ユリが楽しそうに笑っていた。


「お酢を!」

「かしこまりました!」


ラベンダーが言うと、メイドが急いで取りに行った。


「順序はどちらでも良いので、砂糖を加えてください」

「はい」「はい」「はいにゃー」


お酢の前に、砂糖を溶かした。


メイドは、色々な酢を持ってきた。

ユリが選んで、色のついていないお酢を入れていた。


「これで出来上がりですか?」

「冷えたら、氷水で割って飲むと美容に良いらしいです。あと、アレルギー緩和にも良いらしいです」


ユリの説明途中で、あからさまに雰囲気が変わった。

美容は永遠のテーマだ。仕方ない。

頼む前から瓶が集まって、よかったと思う。




鍋ひとつが、ワイン瓶5本分くらいだった。

ユリが粉を入れた鍋は少し大きくて、6本になり、合計26瓶になった。


私たちに6本貰った。

買わずにできたと思えば凄いことだと思う。



「この半端に余って混ぜた残りは今ここにいる皆さんで飲んでみましょう」


ユリは全員分の紫蘇ジュースをつくってみんなに振る舞っていた。


「うわー!きれいですねー!」

「綺麗な色にゃ!」

「どうぞー飲んでみてください」


「あ、美味しい!」「美味しい!」

「うまいな!夏の味だ!」

「美味しいにゃ!」


「今まで花の可愛い雑草だと思ってました」


誰かが呟いていた。


「その花も食べられますし、この草は色々使い道があるんです。私の国では、赤紫蘇と呼びます」


ユリが色々説明して解散になった。


楽しく作って、美味しく飲んで、面白かった。

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