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第3章02話

第3章02話


「各神社が手伝ってくれる事になった。小者からの報告は神社単位で私に来る」


「神社の神様達が手伝ってくれるのですか?」


「アチコチで陰陽師達が悪霊を祓わないで、小者狩りをやっているので神社に逃げ込む小者まで出て困っていたらしい」


「後はどうやってその神社に行くかだな」


「私が飛ばしてあげる」


 天狗さんに水神様が言っていた。


『水美も行った事のない所に飛べるの?』


『私の力では無理だが、行く先の名前とか目標が有れば水の里から飛翔で行けるぞ』


『それは便利だ!』


『水の全く無い場所は無理だぞ』


『だよね』


「天狗は陰陽師と相性が悪いので、殆ど哲司殿に頼る事になる。手伝いで出せるのは宣姫と知世殿くらいだ。2人供、水郷城に戻れる飛翔を持っているから大丈夫とは思うが」


「十分です」


 突然、警備隊の人が来た。


「城下の道具屋に許可の無い者達が現れたとの事」


「俺、行きます!」


 飛翔で道具屋に着くと道具屋は結界を張り、5人が護符を手に詠唱していた。


『水美は左の2人』


『任せろ』


「氷球」


「氷球」


 周りの2人は氷球で、真ん中の奴は左肩から腕を切り落として、右太腿を刀で地面に突き刺し逃亡を止めた。


『水神様!』


『任せろ』


 水神様が陰陽師らしいのを持って行ったようだ。何か情報が取れるだろう。

 警備隊が片付けを始めている。

 知世さんと宣姫達も現れた。


 水美が陰陽師達の財布と持ち物を集めてくれた。


『詠唱中の不意打ちは楽で良いな』


『水美は強いからね。俺も相手を凍らせられれば楽だけど』


『氷結か……哲司はギリギリだな』


『貰えるの!』


『良いが儀式を終わらす体力は有るのか?』


 水美がドキッとする程綺麗な笑い顔で言った。


「御屋形様、大変お世話になりました」


「奴等は強盗?」


「飛行数珠を求めたいと言ったので、水郷城居住者の証明を御願いした所、いきなりあの状態に」


「飛行数珠って有るの?」


「お値段は高いですが、少量有ります。奴等は笹美城で転売を考えていたと思います。最低でも10倍くらいには売れますから」


「幾らするの?」


「水郷城の居住者は1500金貨です」


「2本ある?」


「2本が全在庫です」


「知世さん、宣姫、こっち」


 2人が興味津々で現れた。


「2人に飛行数珠を買ってあげるから、使い方を習っていて」


「毎度有り難うごさいます」


 店主がニコニコしている。


「お金を取って来るよ」


 屋敷に帰って寝室の金庫から3000金貨を持ち出した。100金貨ずつ袋に入っているので30袋だけど、足りなかったら困るので1袋余分に持った。


 道具屋に行くと宣姫達が居ない。


「はい3000金貨。数えてみて」


 番頭さんが必死に数え出した。


「あいつ等は?」


「試験飛行中です。目立たないように透明になって頂いております」


 飛べるの宣伝する必要は無いので、道具屋さんの心遣いが有り難かった。

 ジッと見てると確かに既に飛んでいた。気配で少し感じる。

 一眼姫とピョコリ瓢箪も飛んでいる。ピョコリ瓢箪は器用で結構色々な事が出来る。不思議な妖怪だ。


『2人供嬉しそうだな』


『俺は居るのが分かるくらいで、そこまで分からないよ』


『哲司の透明と気配がもう少し強くなると、表情まで分かるようになる』


『そうなんだ』


『今の哲司は氷結だ。体力は大丈夫か?』


『……お手柔らかに』


『それは無理だな。する事をしないと渡らない』


 水美がニヤリと笑った。


「御屋形様、丁度3000金貨いただきました」


 数え終わったらしい。


「また何か珍しい物が有ったら宜しく」


 挨拶をして帰ろうと思っていると、水神様が山の近くの空中で作業をしている。移動して側に行くと、空間の割れ目を修復していた。


「哲司殿か、あいつが吐いて割れ目が分かった。先日の牛鬼も此処を使ったようだ」


「意図的に作った空間の割れ目ですか?」


「自然に出来た物を利用しているようだ。後3ヶ所見つけている今日中に修復しておく」


「ご苦労様です」


 振り向くと知世さんと宣姫がいた。


「俺は仕事に戻るから」


「えー! 旦那様、透明になっているのに、見えるのですか?」


「そんなもの分からなかったら、とうに死んでいるよ」


「宣姫! また哲司殿に高価な物を!」


 水神様が宣姫を怒鳴りつけ、宣姫が縮こまっている。


「まあまあ、陰陽師狩りで使いますから」


 仕事に戻る事にして水の里に行った。


『哲司、風呂だ』


 水美と風呂に入る。気分が落ち着いて来た。


『哲司は朝からドタバタしていたからな、少し疲れているのだ』


 風呂から上がって水美は鱒寿司を出してくれた。何時食べても水美の鱒寿司は美味しい。


『軽い物で済ませておかないとな』


 少し休んでから氷結を貰う事になった。本当に時間がかかり、体力を使ってしまった。


『少し力不足だったな。だが渡す事は出来た。哲司にもう少し力が有ると、知世が哲司からゴッソリ持って行く時のように、自分から引き抜いて行くのだ。力不足だと此方から押し込む形になる』


『だから時間と体力が要るんだ。水美に迷惑を掛けてしまったね』


『大丈夫だ。気にするな』


『でも、これで水美と2人で多人数をまとめて戦闘不能に出来るね』


『そうだな。楽しみだ。氷結の練習を暫く続けよう』


 風呂に浸かって話をしているうちに、体力が回復して来た。


『水神様が呼んでいる』


 水郷境に行った。


「水郷城の空間は完璧になった。気になって水郷境を見に来たら結構ボロボロなのだ」


 俺と水神様が神社の前で話していると、小者達が集まって来て見物している。

 天狗さんも現れた。


「俺も手伝うぞ」


「意図的に作られた空間の裂け目が、分かっただけで9ヶ所有る。光らせておいたので、修復して行く。哲司殿と天狗の再生なら修復出来る筈だ」


 修復は再生で出来るのを初めて知った。


『哲司の再生は相当強い。だが空間の裂け目が深いからゆっくりやるぞ』


 水郷境神社の近くの空の裂け目から、修復を始めた。水美の指導の元で丁寧にやっていると水神様が見に来ても満足げに天狗さんの所に行き、何か揉めていた。

 小者達も裂け目を見つけ出し、報告して来るので直ぐに対応する。危険が減るので小者達も協力的だ。


「好き放題に割れ目を作っていたようですね」


 小者達が教えてくれた裂け目を修復していると、水神様が来て怒っている。


「分家の連中が何でも自由にさせていたようですね」


「余り裂け目を作られると空間が乱れる。今日中に終わらせますよ!」


「使い終えても修復しなかったようですね」


「陰陽師の能力が低いのだろう」


 水神様も小者達に連れられて、違う場所に行った。

 疲れて来たのか天狗さんも見物に来ている。


「哲司。水郷城と水郷境が終わったら、天狗の里も手伝ってくれんか?」


「良いですよ」


 天狗さんがダラダラしていると、小者達が天狗さんを引っ張って行った。


『思いの他、忙しい日になってしまったな』


『後で、皆で御飯に行こうよ』


『楽しみだな』


「修復も終わったし、暗くなって来て疲れたので、探索は小者達に頼んだ。今日は解散しよう」


 水神様も消耗している。


 水郷境の上空で空中戦をやって遊んでいる2人と2妖怪を見て、水神様がムッとしているのを見て水美が笑っていた。



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