第14話 拭え!恐怖を!
「あの時のゲームを、もう一回さ?」
今の俺らはステータスも一定にされ、才能もない。
俺の勝機は十分にある。
雨も振り始めてる、早く見つけてやらなきゃ千穂の体も心配だ。
「ああ、わかった。そのゲームやってやるよ。」
「あはははは。……君はやっぱり、素晴らしいよ。」
だが、時間がないんだ。
「ルールの変更だ。俺がお前からナイフを取るのが勝利条件、お前の勝利条件は俺の首にナイフを1回当てる、だ。」
「一本勝負……って事だね。君はどこまでも僕を退屈させないよ。」
カムイがナイフを取り出すと同時に俺はカムイへと向かって走る。
卑怯かもしれない、それでも俺はすぐに終わらせて見つけなきゃならないんだ。
俺はカムイのナイフを持つ腕を掴み、そのまま押し倒す。
そして、その腕の手首を強く握り、そのままナイフへと手を伸ばす。
体術があろうと体勢が取れてなきゃ、ベテランでもなければ技を使えないはず。
そう睨んだが、案の定っぽいな。
そうしてる間に、俺の首に冷たい何かが触れた。
ナイフを持っていた腕とは逆の手に握られるナイフ。
それが俺の首に当てられていた。
ゲームは呆気なく終わる。
もう少し白熱した展開を予想した人もいただろう、だけど終わってしまったんだ。
驚く程にあっさりと。
「僕はナイフ1本とは言ってなかったはずだよ、ね?」
「はあ。ほら、何でも命令しろよ。」
もう、終わったんだ。
俺は冷静に欠け、ゲームに挑んだ。
それで負けたんだ、言い訳の余地すらない。
「え?何のことだい?今回のゲーム、僕が勝った時の条件は何も言ってなかったはずだよ。」
そういえば、こいつはこのゲームで自分が勝った際の事を口にしてない。
「まあ、そうだね。あえて言うなら……これを見てみなよ。」
俺宛に何かが送られてきた。
それに目を通した、俺は絶句した。
「……嘘、だろ。」
「それが真実だよ。」
「カムイくん……!?」
カムイの後ろから幼い女の子の声がした。
「ああ、ナナカちゃん。どうしたの?そんな声を荒らげて。」
「どうしたの?……じゃないです。こんな雨の中、傘もささずに……はい、これの中入ってください。」
そういうと彼女は自分にさしていた傘にカムイの事もいれた。
「ははっ。相合傘、だね。」
「……っ!?も、もう……からかわないでください。」
そんなものを見せられても正直反応に困る。
「なあ……カムイ。これは本当なのか?」
「信じるかは、君次第だよ、じゃあね。レンくん。」
カムイに見せられたそれは真実だと認めるには余りに受け入れ難いものだった。
×××
「教えてください、ミホさんについて。」
「あ、シーナちゃん、雨降り出したし戻ろう?このままだと風邪引いちゃうよ。」
やっぱりミホさんは話したくないんだね。
「動きません、ミホさんについて教えてもらえるまで、私は戻りません。」
「なんで、そこまで知りたがるの?」
「ミホさん……チホさんは私の大事な仲間だからです!」
まだ会ったばかりで、ランク2でのチームってだけ。
そう言われちゃったら確かにそうだけど……、だけど!
私は周りにそれだけ、と笑われても、たったそれだけにも真剣に向き合いたい!
「……ミホって名前は、双子の妹の名前なの。」
「……え?」
私が望んだ事だけど、いざいきなり話し始められると戸惑った。
「レンは事情を知ってるから気付いてるんだろうけど、私とミホは同じ55期としてこのデスゲームに参加したの。」
「それじゃあ、もしかしてミホさんは……。」
私でもそこまで言われれば察せる。
一緒に参加したはずの、姉妹の名前を使うなんて、そんなの間違いなく。
「そう、ランク1で死んだの、ミホは。」
妹のミホはランク1の時点で、55期で最強のプレイヤーになってた。
協力を結んでる私もレベル上では最強。
私たちは55期最強のタッグだと思ってた。
そんな余裕が私たちに隙を生んだ。
まあ、私たちってより、私が足を引っ張ったの。
ミホは私を庇って死んだ。
ミホはいつも言ってた。
私たちは最後までたどり着こうって、それでレンを待っててあげようって。
だから、死んだミホの意思を継ごうと私は名前をミホにした。
けど、55期最強プレイヤーにはなれても、上には上がれなかったの。
怖いの。
上がろうとする度にミホがこういうの
「私だけ置いて上に上がるんだ。」
って、私を止めるの、それが私は怖くてしょうがない。
私はミホを置いて、上へなんて……そんな事できないよ。
私はミホと一緒に……。
「ミホさんは今もいますよ。綺麗事かもしれないですけど、チホさんがそんなに大事にしてるミホさんならずっとチホさんの傍にいると思います。」
「それでも私だけ上がるなんて……。」
「尚更、上がりましょう。」
そうだよ、上がらなきゃダメじゃん。
そんな事があったなら尚更上がらなきゃ!
「命をかけて守ったチホさんがこんなとこで止まってたら、それこそミホさんが報われないです。だから、上がりましょう。上へ。」
私はミホさんへ手を差し出す。
彼女はそっと私の手を握ってくれた。
それに応えるように空も晴れて、私たちの1歩に相応しい舞台だと思う。
「じゃあ、レンくんを探しに行きましょう。」
「そうね、話さなきゃいけない事もあるし。買い物もしなきゃ!」
「買い物って武器とかですか?」
この金って、ものはそんなに重要なのかな。
武器なんて買っても私には扱えない気もする。
「そうだよ!武器とスキル!」




