第12話 最強プレイヤー
「今更何言ってんの。もちろんだよ、レンくん。」
ありがとう、シーナ。
そして、俺はシーナの手を引き建物から飛び降りた。
×××
目を覚ますと見たことのない天井が視界に入る。
「シーナは!」
「大丈夫だよ、君と一緒に生き残ったさ。」
「お前は……っ。」
47-19。
初めて出会った時にいきなりナイフで攻撃してくるわ、おかしなゲームをさせるわ、目の前で殺人するわ。
迷惑なやつだ。
「あ、僕のことはカムイって呼んでもらえるかな。」
「カムイ……?」
自称カムイのカーソルを見るとカムイと名前が表示されている。
「あれ……名前。」
「生存者は名前を決めさせられるんだよ。ランク1終了時に、ね。けど、君と彼女は眠っていたからね。それで役所のようなところがあるんだけど、そこへ来るよう伝える、伝言係ってわけだよ。」
「そ、そうか。それはありがとな。」
癪だがそういう事なら助かった、と言うしかない。
「ん、んん。……え?どこ?」
ちょうどシーナも起きたようだし、行くとするか。
×××
「この度はランク1の突破おめでとうございます。それでは御二方には名前を決めていただきます。」
「俺はレンで。もうそれがしっかりくるんで。」
「あ、じゃあ、私はシーナで。元からそうする予定だったし。」
そう言うと、自分のネーム欄が変わりレンとなった。
シーナのカーソルにも同様にシーナと出ている。
こんな簡単に名前って出来んだな。
「それと御二方は奥で待ってる人がいますので、そちらへ。」
「俺らを待ってる人?」
そう聞き返し、案内されるがままに奥の部屋へと進む。
そこには四角い何かが置いてあるだけの部屋だ。
その四角い何かから何かが飛び出し、それは喋り出す。
『誠におめでとうございます。ランク1では実にすごいものを見せてもらいましたよ。』
みんなは多分追いつけてないと思う。
俺があの後、何が起きたのかを説明するよ。
そう、unknownから逃げるため飛び降りた後に何が起きたのかの話だよ。
×××
俺は箱を出したんだ。
そう、あの無能才能の箱をさ。
けどあれは無能なんかじゃなく、ランク1では限りなく最強に近い才能だったんだよ。
幾度となく発動して、すべてが何も起きない。
能力ってのは必ずデメリットがあるようなんだ。
だとしたら、何も起きなかったり、不利な効果が発生するのが普通なはずだ。
だが、この箱は不利な効果を発動せず何も起きないばかり。
この才能のデメリットは説明だったんだよ。
俺は説明のせいで、この箱は何かがしまわれている。
という先入観にとらわれていた。
けど、そもそも箱ってのはしまわれている物じゃなくて、しまう物……何かを入れる物なんだ。
それにこんなに頑丈な箱だ、どうやったって傷すらつかない箱。
さぞかし大事な物を入れるためなんだろう。
そして、箱のサイズ的にもまさか人が入れる、とは予想もしないしな。
箱の空間に手を入れたら案の定、俺とシーナは箱の中へと入れたんだ。
それから俺らは安心したからか、眠ってしまって今に至る。
あの箱は俺にしか開けられない仕様になっている事から、生き残る事が勝利条件のランク1では最強に限りなく近く、デメリットは説明文がまず嘘を使っている、という点だ。
×××
そんなこんなで俺とシーナは生き残れたんだ。
『誠に見事でしたよ。まさか、あれのカラクリに気付くとは。』
「ふざけた才能だ。気付けなきゃ本当にただの無能才能じゃねぇか。」
『それでも貴方様はそれに気付き勝利をその手に掴みました。』
調子のいいやつ。
でも確かにこいつの言う通り、俺は勝ち取ったんだ。
勝利を……命を……この手に。
『一応ここは休憩地になっていてですね。レベルなど関係なくステータスが一定化され、次のゲームへの準備をする場となっております。期間は特にございません。ただ、いつゲームに参加させられるかもわからないのでしっかり準備をしておいてください。』
「あぁ、わかったよ。」
ったく、次のゲームがいつかもわからんって嫌な性格しすぎだろ。
『あぁ、それとこの空間での殺人もOKとなっていますので、お気をつけて。』
出来れば最後のそれは知りたくなかった。
いや、知ったからこそ気を付けられるから良いんだが。
この場に来てもここが殺したり殺されたりする空間なのは忘れられないんだな、と思うと憂鬱だった。
×××
そんなこんなで役所を出ると聞き覚えのある女性の声がした。
「あ!レンだよね?レンでしょ!」
けど、こっちに来てから話した女性なんてシーナくらいで……って事はここに来る前の知り合い……?
「私だよ!私!」
「新手の私私詐欺かなんか?」
「ちっがーーーう!!!笠音 千穂!幼なじみの顔も忘れたの!?」
俺の幼なじみ、同い年で彼女がこっちに来たのは半年前、誕生日を迎えてないからまだ19だったかもしれないな。
「それで千穂、お前何してんだ?ここで。」
「ここではミホって呼んで!」
ミホ?ミホって確か……。
「なあ、千穂、ミホって────」
「そんな事より!ランク2はチーム戦でね、私チームリーダーなの。それでメンバーがレンとそこの子になってるのよ。」
ランク2はチーム戦で……そのパーティが俺とシーナと……千穂。
「おい。それって大丈夫なのか?生き残れるのか?」
「は?バカにしてるの?」
彼女は、右足を大きく右へ踏み込み、全く膨らみのない胸部へと手を当てドヤ顔をする。
「私、55期最強プレイヤーなんだけど?」




